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主人公の榛は、亡くなった兄の幻影に悩まされています。
どこかに向かう途中、事故に遭い返らぬ人となった兄の幽霊を追って向かった先で待っていたのは同じ学校の芦野。
榛は芦野と兄の関係が知りたくて芦野に近づきます。
兄に対する複雑な思いと、芦野に対して芽生えていく感情、芦野と兄の間にあった感情と3人の感情が描かれたお話ですが、三角関係というのもちょっと違う。
お兄さんが生きていれば三角関係になったかもしれませんが、兄が亡くなったことにより、芦野と榛2人が出会うという悲しさを軸にした作品になっています。
登場人物の1人がすでに亡くなっているという設定ですが、暗いお話ではなく前向きで暖かいお話でした。ですが、兄が好きだという芦野が榛に心が移っていくのが少し早い気が・・・付き合っていたわけではないのですが、榛とお兄さんがタイプが全く違うだけに、ちょっとしっくりこない気がしました。
他に2作入っています。
ラストの「水に棲む」というお話が一番好きです。
母親がなくなり2人きりになった義理の父親と息子。
兄弟ものは好きなんだけど何故か親子というのがどうもニガデ・・・ですがこれは親子というより「母親」という存在を間において繋がっていた同居人という感じでした。
大きな存在を欠いてぽっかり穴の開いた2人。
息子である直巳は強く、義理の父親に「義理の息子を育てる義務」に目を向けさせ、生きていかせようとします。
互いに名前で呼び合うのも対等な同居人という感じでした。
共通の「大事なもの」を失った2人がいる空間という、せつないけど1人ではないという未来もあるお話でした。