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狂おしく甘い調教
面白かったです。
最初は、弓月さんの定番で『不幸・不憫な健気受』に、いつもならお金持ちの格好いい男が来るところをちょっと捻って『丁寧語の世話係(ボディーガード)』か、でもまあベタ甘で相変わらずなんだろうな、と読み出したら・・・
ボディガード・史道(攻)が 犬 だ っ た 。しかも、忠犬には違いないんですが、ハァハァしてた!ちょっとズレると狂犬です。実際ズレてたし。
あ、どうでもいいですが所謂BLの属性ワンコじゃなくて『わんわん』です。
とにかく、全体的・特に中盤からは、そこはかとなく(終盤以降はハッキリと)狂気が漂うんですが、決して行き過ぎてない。少なくとも私基準ではこれぐらいならOKです。この危うい雰囲気がとてもよかったですね。いえ、通常営業の『ベタ甘王道』の弓月さんも好きなんですよ。
有羽(受)は、過去の誘拐事件のPTSDを抱え、対人恐怖症で執事と誘拐のときに助けてくれたボディガードとしか接することがないんですね。
もうこれは『不幸・病弱』な弓月さんの典型的な受そのものだな~と思ってたら、弱々しいだけじゃなかった。優秀な頭脳を持ち、時に強かで冷酷とも言える面も見せるんです。
メインのキャラクターは、2人ともなかなか魅力的でした。
まさしく2人だけの世界なんですが、執着は無駄なくらいあっても、理不尽な暴力や『無理矢理』がなかったのが、私はいちばんよかったです。我慢し切れてはいないんだけど、それでも史道に分別というか最低限の忍耐力はあったので。
緩め・温めの『狂気』と『閉ざされた世界』でした。
あとは脇キャラクターで、義母はありがちで『やっぱり』でしたが、義兄の馨一が意外にもイイ人だったので、なんとも気の毒でしたね。でも、この義兄を安易に悪者にしなかったのはよかったと思います。そのせいで、この義兄の境遇を思うとちょっと苦しいくらいなんですが。
ラストのSSでは、有羽パパの意外性に愕然としました。こういう人だったのか!?本編からはまったく想像もできないキャラクターでしたよ。
う~ん、しかしネタとしては確かに面白かったんですが、正直これは余計だった気がします。単に史道と有羽のあまあま後日談の方がよかったな。
子供の頃誘拐され殺されかけた事のある資産家久瀬家の当主有羽(ゆう/16才)は、対人恐怖症になり老執事・長岐と自分を救ってくれたボディガードの史道の二人に守られながら豪邸で暮らしている。
そんな中、義理の兄・馨一(大学生)が有羽の”ある噂”を聞いて訪ねてくるのですが、そこから有羽の穏やかな生活が少しずつ変わっていくことに。
対人恐怖症ゆえに、義兄とも殆ど顔を合わせた事がないのですが、義兄は久しぶりに見た義弟があまりに可愛くて幾度も訪れるようになりますが、それがただの主人であった有羽とボディガードであった史道の関係を崩していきます。
極度の対人恐怖症、そして莫大な財産を受け継いでいる当主ということで、割と世間知らずなところのある有羽なのですが、実は意外な性格も秘めていたり。
沈着冷静で何事にも動じる事のない史道も、二人の関係をかき回す義兄に焦ったり(顔には出ていないけれど、内心は焦ってるに違いない!/笑)と、最後まで読むと第一印象が変わってくるような気がします。
三角関係に、お家騒動と2本立てで話が進んでいくので、恋愛だけより…という方には良いのではないでしょうか?
オマケは、有羽の父がまだ生きていた頃のお話になります。
文章が軽くて終始のれなかった。最後の方斜め読み。。
設定は一ひねりしてあってよかったです。美人で幼いが優秀なおぼっちゃま、有羽が受け。トラウマがあり世話係の史道にしか心を許していない。
史道は徹頭徹尾、ご主人様に尽くします。でもHはオレ様キャラで。両思いのCP、あまあまです。
そこへ、陰謀を企む義母や、横恋慕する義兄が絡んできますが、強い攻め様が救う、というパターン。
だけど、文章や言葉遣いがどうもだめでした。なんか軽いというか。。
一つ、なよっとした美人幼受けが有能で、仕事の話になるととたんに冷静沈着頭脳明晰キャラになるのがよかった。
こういうギャップのあるキャラはいいかもしれない。