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大人×子供なのですが、大人と言ってもひねくれているし、子供といっても妙に大人びています。
二人ともひねて変わった性格をしていて、なかなかすんなりくっつかない。でも恋とは自分の思い通りに行かないもので、せつなくて苦しいものだとしみじみ伝わってきます。
ちょっと古い本だけど、読んでよかったと思う作品でした。
主人公の淳史はIQが高い天才児で海外で育ちますが、今は地元の高校に通っていて、担任の国坂と付き合っています。
この付き合うっていうニュアンスが微妙すぎて、ちょっとふわふわした関係の二人。
キスしたり、家に行き来したりは普通の教師と生徒の域を超えてるのですが、恋人かというとなんか違う。
国坂は子供とはセックスしないと言うし、女性とお見合いをするとも言うし。なんていうか、けっこう意地悪なキャラだなあという印象でした。
優しいんだけど、素直でなく、わざときつい事をいったり気のないふりをしたり。
淳史は国坂が好きで好きでたまらないけど、プライドが高く素直に縋り付くことをしません。もし縋り付いても、国坂は軽く振り払ってしまうんですね。
でも必要以上に仲はいい。この関係は、じゃあ一体なんていうんだ?て感じでした。
国坂の態度が、おとなげなく、ほんとに教師なのかという感じなので、大人×子供によくありそうなしっかりした大人て感じではなかったです。どっちかというと大きな子供みたいな…。でも歳の差カップルの醍醐味はきちんと味わえるので不思議です。
頭がよくプライドの高い淳史がなりふり構わず国坂に好きだっていうところはすごくギュッとなりました。
国坂は淳史を本当にただの遊び相手と思ってるかというとそうでなく、ちゃんと大事にしてるんだけど、それに気付いて認めるまでが長いです。
ただのガキじゃないか…て、自分に言い聞かせるように何度も言います。
でも天才児として回りから見られてきた淳史は、その「ただのガキ」として扱ってくれる国坂だから好きなのです。
自分をただの子供として扱ってくれる国坂を「いい先生」だと言っています。はたから見れば国坂はただの型破りで奔放でちょっといい加減な教師なんですが。
別れそうになったり引き止めたり、ほんとうにいつでも切れそうな細い糸で繋がっているような二人。でもその糸が切れないのはほんとうにギリギリなところでやはり国坂の「大人」の部分が働いていて、二人の絆を守っているからだと思います。
そういうところが垣間見えると、やはり国坂は「大人」でかっこいいなぁと思います。
その国坂が、最後になりふり構わず敦志を抱きしめてくれるシーンは同じくらいギュッとなりました。これが恋愛小説だよなあ…という感じの、情熱的な熱さをもらえた作品でした。