ボタンを押すと即立ち読みできます!
おバカなタイトルつけましたが、本編はいたってドシリアスです。
怖いし気持ち悪いやつなのに、必死に勢田を思う気持ちがかわいくて
切なくて...
この前『初恋姫』で萌え笑わせてもらった凪良さんですが、
今回はテレビドラマにでもなりそうなシリアスな展開に泣かされました。
日永は正直周りにいたら狂ってるとしか言いようのない人物です。
バイオリンと勢田以外に興味はなく、勢田の家の周りをうろついては
通報され、勢田をいじめたクラスメイトを殴っては転校する。
今まで読んできたBLの中でこんな気味悪い主人公っていなかったなぁ~
あらゆる意味で衝撃作でした。
でも、記憶を無くした勢田に必死に尽くす姿が健気で切なくて...
実際に自分がそこまで執着されると怖いだけなんだろうけど、
日永にとっては勢田の存在が全てなんです。
その執着が子供のように一途な思いからくるものだと思えば
かわいくすら思えてくる。
そう思いながらも凪良さんは何度も裏切ってくれて、
日永の執着が狂ったように加速していき勢田を追い詰める。
勢田は逃げ出すものの、記憶がない状態では他に行き場もなく
日永の元に戻るしかない。
二人の距離は縮まることなく広がるばかりで、もどかしくて仕方ない。
そんな中やっと勢田に受け入れられる日がくる。
雨の中、勢田が日永を迎えにきて、自分から日永に心も体も許して
抱かれようとする。
もう、もう、この場面切なくて、キュンキュンで涙ポロポロ。
そして運命の時、勢田の記憶が戻る日がくる...
ラストはハッピーエンドだとわかってても、記憶が戻ってからの
残ページ数が少なかったら、どうまとめるのかドキドキしました。
ちょっと駆け足感はありますが、焦らされて焦らされてやっと
心から想いを通じ合わせた感動はひとしお。
ツンデレな勢田にブンブン尻尾振ってひたすら尽くす日永が幸せそうで、
これからは勢田の言いなりになってるワンコ姿が目に浮かぶなぁ~ww
凪良さん、この本のプロフィール紹介で「大っきい攻×大っきい受」が
マイブームと書かれてますが、サクラサクヤさんのイラストは
それにピッタリでした★
エチの時のカットでも、しっかり男の体をした受になってます。
一方、凛々しい顔立ちとガッシリした体つきのわりに
泣くわ、土下座するわ、ヘタレまくりな攻。
素直に胸の内を告白してたらこんな遠回りすることなかったのに、
勢田への執着愛がストーカーという手段に走らせ、
ずいぶんお互い傷付くことになってしまいました。
勢田は記憶を無くす前も後も本当の意味で家族の愛を受けられず、
日永の一途な気持ちが何よりうれしかったのだと思います。
もしかしたら、恋愛というより家族愛になっているのかもしれませんね。
執着攻めが読みたいと思い、こちらでいろいろ探していたらこの作品に当たりました。
執着攻めというと受け視点で、無敵な攻め様からの執着にうふふとなっていましたが、今作はそのような執着攻めとは趣きが全く違います。
まず攻め視点だし、無敵ではないし、思っていたよりもストーカーでした。
ストーカー特有の盲目的な思い込みの激しさにゾクっときてしまったほど。
初めは引き気味でしたが、読んでいくうちに日永にどんどん感情移入してしまうのですよね。
最終的には彼の半端ない不器用さが素晴らしいとすら思いました。
いくら長身のイケメンでも、中身がストーカーだと普通は気味が悪いと思います。(挿絵にだいぶ助けられました。)
でも気付いたら日永を応援してしまっているのです。
なぜかって、好きだけど苦しいっていう切ない気持ちがめちゃくちゃ伝わっきて心を揺さぶられまくるからです。
あと他の方も書かれていましたが、自分はちょっとおかしいという自覚がある所。
それらの気持ちをうまく表現も処理もできず、常にいっぱいいっぱいで不器用な所がかわいそうで…(; ;)
前半は勢田をバイオリンと同列に置き、人として見ていなかったと思います。
嫌われていく悪循環に入ったとしか思えなくてハラハラしました。
しかし後半になるにつれて勢田のことを一生懸命考えるようになってからは、とにかく日永が可哀そうでいじらしくてそれだけで涙が出ました。
2人がくっついて本当に良かったです。
その気持ち以上に、日永には人と接する温もりをいろんな人から感じられるようになって、彼の世界が少しでも広がったらいいと思いました。
その片鱗を後半で伺うことができてとても嬉しかったです。
頼むぞ勢田君という感じで、なんだか母親とか父親になったような心境になりました(笑)
日永の一生懸命さと彼なりの成長に心がとても潤いました。
勢田に恋焦がれ、ただ見ているだけでいいという日永の純粋さ。ただ、ただまっすぐで、ほかに何もいらないと、勢田だけをひたすら見つめています。
勢田が傷つけられることだけにおびえ、自分が勢田を傷つけることだけを嫌悪し、ひたすら犬のように勢田の笑顔を待ち続けます。
せつないです。見ていてかわいそうです。
何を考えているかわからないとか、ストーカーする気持ち悪い男と表現されても、憎めないです。日永のすべてのエネルギーが勢田に向かい、自分でもどうしようもない、止めることのできない恋焦がれる気持ちに翻弄される哀れな男です。
あまりに不憫で、勢田も、自分の気持ちが同情か恋愛か分からなくなります。
誰だって、悲しげに見上げる切ない瞳をみたら、「まあ、しかたない、つきあってやる」って気持ちになりますよ。日永の孤独な魂が救われるラストに、よく選んでくれた、この不器用で、頑固な日永をと、勢田に感謝をおくり、日永を応援していた自分に気付くことでしょう。
私がまず思ったのは、「この攻めのやってることって、監禁レイプしちゃうイケメンの俺様攻めとかよりも実は電波度が低いんだよなー」と。
やったこと“だけ”を見るならだけどw
攻めのしてることが、きっちり「悪いこと」だと作中で認識できるストーリーにしてくれてたのが良かったです。
また過去のストカ行為によって、攻めが制裁を受けているという点も良かった。
「本気で好きだから」を免罪符にして、どんな犯罪的な行為でもok、最後はラブラブハッピーエンド!みたいなBLが多いなかで、これは新鮮でした。
しかしなんで泣かされるんだろな。
嫌いなんだけどな、こういう攻めって。リアルでこんな男がいたら(またこういう壊れ方してる人もたまにいるんだよね、実際)、正直キモくて絶対に近寄らないよ私。
なのに、いつの間にか彼を応援してたし、後半でポロポロ泣いてしまってました。
何故だろう、もしかしたらこんなふうに愛されたいのかも。いやいや、こんな重いのはヤダ。
よく分かんないや。
とりあえず凪良ゆうさんには、この調子でやられっぱなしです。
ごめん、私はこの作品「神」です。BLだからこそのファンタジーが描かれていると思う。
確かにこの攻は、犯罪者です。不器用を通り越して、変質者の域にいっちゃってると思う。例え、背が高く顔もよく、バイオリンがうまくても、現実にはダメでしょう。
でもねえ、幼い頃、誰もが持っていたはずの、子どもじみた独占欲とか、愛されたい気持ち。それを、この攻は、心の奥からえぐり出して、癒して、読者に戻してくれる、そんな存在な気がする。私は好きだ。
また、凪良さんの作品に泣かされちゃったよ。一番泣けたのは、配送センターの主任が、仕事を辞める攻を追いかけてきて「お疲れさま。長い間、真面目に働いてくれてありがとう」っていうシーン。なぜか、ここ。
社会性皆無だった攻も、優しい上司とかに恵まれ、だんだん成長してくんじゃないかなって思えたシーンだったからかな。
「勢田だけが好きだ」とか、ガチガチに頑なだった考え方もいつかほぐれ、いつか別の人間も(色々な意味で)好きになったりするんじゃないかなあ、なんて思っちゃったよ。