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表題作SH(シュガ-ハイ)

柘植冬悟
組織犯罪対策課刑事
早瀬馨
麻薬取締官

同時収録作品SH(シュガ-ハイ)

菅田久嗣
麻薬取締官主任
早瀬馨
麻薬取締官

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

俺は餌ですから
警察は信用できない。麻取の早瀬は、柘植に捜査から手を引くよう要求する。そんな早瀬を面白がり、戯れに迫る柘植だったが……。

眼前に並ぶ冷たい骸――柘植冬悟は合成麻薬『SH』によって、すべてを奪われた。あれから六年、組織犯罪対策課に所属するキャリア崩れの刑事・柘植は姿を変えて広がりだした『SH』の捜査中、恐ろしく美人で勝ち気な麻薬取締官・早瀬馨とかち合う。警察対麻取。捜査の主導権を巡り交渉は決裂。ところが麻薬取締部の内通者がらみで取引がしたいと、早瀬は再び柘植に近づいてくる。だが捜査は、思いも寄らぬ方向へと進んでいき……。
『SH』を巡り、封印されたパンドラの箱が開く!
出版社より

作品情報

作品名
SH(シュガ-ハイ)
著者
井上ハルヲ(オハル) 
イラスト
佐々木久美子 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576082042
3.5

(35)

(9)

萌々

(10)

(11)

中立

(1)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
10
得点
119
評価数
35
平均
3.5 / 5
神率
25.7%

レビュー投稿数10

骨太な作家。すごいポテンシャルを感じるな。

えー、数年前から「オハル」には注目しているオレですが。
デビュー作がこれってやっぱタダモノじゃないわこの人…。

全体としては荒っぽいところもあるし、伏線回収が甘いところもある。
ミステリーないしはポリシエ小説としてはちょっと単純すぎるんだな。
早瀬とその上司である菅田、また菅田と柘植の因縁ももうちょっと食いついて書いてほしいところもある。
英田サキや中原一也もそうだがどっか柴田よ●き風味…といえばそうだしー。
がっ!!!!!
キャラ造型も次を読ませる力もすごいあるんだよなぁ…。
普通のポリシエ作品とBLの折衷作として面白い。

1年1冊ペースの寡作作家ではなく、年せめて2~3冊ペースの作家だったら
英田サキと同等かそれ以上に評価されてもいい作家になりうると思うんだ。ウン。

この人の超いいところは「組織」や「社会」を前にした無力感が書かれている、
かっこよかったり美形だったり優秀だったりしながらも、
きわめて「フツーの人」感があるキャラクター造形でござる。
そういう親近感はちょっとフツーのBL作家には珍しいんだよね。
BLのキャラってひたすらキラキラしていて、正直、オレなんぞはそれが鼻についてしょうがない!っていうことが時々ある。
そういう中にあっては極めて骨太な人物が魅力的。
早瀬の一見、完璧そうでいてもろいキャラなんてすごくグッとくる。

うーん、これ、シリーズ化しないのかなぁ。

9

ココナッツ

お返事ありがとうございます!
今年、井上ハルヲに改名して出版された『劣情宅配便』が路線が変わってびっくりしてしまったのです、今までの3作はどっかいっちゃったの?かしら?と(^^;;
ただ、同人誌の方は固そうな物を連載されているようで、わたしもそちらが気になります。

ofnotice

あいあい、はじめまして。答姐では時々お見かけしておりまする~。
いや、オハルさん、非常にいい作家だと思いますよ。
作風変わったかなぁ?
うーん、基本路線は同じかと。文やつなぎのまとめ方が若干、うまくなったーってだけじゃないかと思いまする。いかんせん、商業作品は3本だけなので、それ以上の判断はできませぬな(笑) 
こういう作家さんこそ、四半期に1冊ペースぐらいで読みたいですねん。
そういえば、腐友からPN変えて同人誌出してたーなんて話を聞いたんですけれども。
オレが「テミスの天秤」レビューでオハルってPNはなんだかなーとつぶやいたのが原因か?(汗)
それまでオハルはいいぞいいぞ連呼しまくっていたオレですが、SHで「これは同人誌買わないと…」って気になっておりまする。

ココナッツ

ofnoticeさま

ofnoticeさま、はじめまして。ココナッツと申します。

こちら、オハルさんの作品の中で最強ですね。
だんだんと作風が変わってしまっていますが、わたしもSH続けられれば良いのになあと思っています。
やっぱり編集部的には、キャッチー(改名された後の新刊のタイトル見てびっくりしました)なものの方が良いのかもしれませんが。
SHのレビューがあって嬉しくてコメントさせて頂きました、失礼いたしました(^^;;

P.S. 本当は一つお聞きしたいことがあったのですが別作品についてでしたので、またそちらに改めて書かせて頂ければと思います。

人物相関図に萌える~(笑)!

面白かった!感覚的にはお得な感じ。事件もののストーリーに、このキャラたちがこういう関係性だったら良いのに!っていう、一般作品なら二次創作で成立させるしかない設定が加わった、妄想腐女子の夢が叶えられたような喜び。
仕事上の因縁と恋愛トライアングルが絡み合い、人物相関図が最高の萌えどころだった。

文章そのものは読みやすい。両者の視点で描写され、ときに神視点に近くなる。柘植と早瀬では読み手との距離感が違い、なんとなく早瀬の内面が遠いような気がした。事件もの向きで堅い雰囲気にぴったり、心理描写には向かない書き方だと思う。

恋に重きを置いて読みたいならオススメできないが、事件とBLの色が綺麗に噛み合っている感じが私はすごく好き。
恋愛というより状況から流れていく気持ちを描いていて、甘さや共感を誘う描写はない。事件を追う中で恋に悩まれるとどうしても安っぽく感じてしまうことがあるため、この汚職塗れの世界観を保つのにちょうど良い塩梅だった。

主人公の柘植は過去の件をもっと知りたかった。上層に敵が複数いる点がキレ者である説得力になってはいたが、最後にやっと顔を出したラスボス?っぽい人物との因縁が曖昧。周囲が評する以上の性格も見え辛かったかな。
一歩引いて見る主人公としては行動がはっきりしていてとても好き。早瀬に連絡をもらっただけで浮かれてホテルに直行しようとするあほっぷりがあほすぎて良い。オッサンだったとなぜか妙な安心がある(笑)

早瀬は菅田に惹かれるところは共感ゼロだが、こういうキャラなら柘植にずぶずぶハマっていきそうだなあと納得。人間的なところに興味が生まれ、もっと読みたいと思わされる。柘植相手だと敬語の誘い受けになるとこも好き。

ラストは二人して可愛すぎることをやっていて、照れながら萌えた。

未回収の伏線があり、これで完結と言われると困るが、これがシリーズ一作目なら神評価。といっても一応出ている続編でも綺麗に終わっていないらしく、続きは期待薄っぽい。困った。
この作者さんの他の作品を読み漁ろうかな。

1

うまい!と唸りました

オハルさんの本は初読みです。
文体の特徴は良くわからないのですが、硬い内容ながらスイスイ読めました。
先は若干読める部分はありますが、とにかく「うまい!」という感じです。


攻めの柘植は組対課のキャリア刑事。
キャリアといっても落ちこぼれで、兄と義姉を殺害された過去があります。

麻取の早瀬は潜入捜査官。
見た目の美しさに反して意志も気も強く、職務と上司に忠実な男です。


内容はけっこうハードめです。
『SH』という麻薬の摘発に警察と麻取が縄張りを争ったり、潜入捜査している早瀬とその早瀬を捨て石のごとく扱う上司の菅田、そして柘植の肉親の惨殺。
てんこ盛りです。
しかしこのハードさや痛さも柘植の飄々としたキャラで冷たい雰囲気にはならず、柘植が早瀬に手を出そうとして返り討ちにあうなど思わずニヤリとしてしまうシーンも。
多分、主人公たちもそうですが周辺の人物たちのキャラ設定が絶妙なせいなのだと思います。
小説なのですからフィクションなんですが、それを読んでいる最中に意識させません。
柘植の上司・那須はカッコ良い(ビジュアルという意味でなく)ですし、早瀬の上司・菅田は「クソ野郎め!」と罵りたくなるほど。

警察ものがお好きな方には、ぜひ手にとって頂きたい一冊です。
オススメです!!

12

ココナッツ

茶鬼さまへ

茶鬼さま、はじめまして!
コメント頂きまして、ありがとうございます。

オハルさんは本当に出版物が少ないのですね。
しかもわたし、こちらの本を入手するのにけっこう苦労しました(苦笑

以前は硬い痛い物も読めていたのですが、最近はほのぼのした物ばかり選んでいました。
多分、読後落ち込みたくないんですねー。
でも『SH』は、とにかく登場人物が誰も彼も魅力的で面白かった!と素直にオススメできました。
他の本もぜひ、挑戦してみたいです。

しかし、修正はもう少し長い間出来ると良いですね。
萌も2個がなかったなんて!
わたしは確か10月くらいからのレビュー参加でしたので、恵まれていたのですね(汗
今の段階でも、中立としゅみじゃないの間があれば困らないのになあと思ったりしていますので。

茶鬼

はじめまして、ココナッツさま

実は私はオハルさんの作品が大好きでして、ココナッツさんがレビューされているのを見つけて、しかも高評価ですごく嬉しくなりました☆
それで思わずコメントしてしまいました。
自分がレビューの時、まだ萌×2がなくて評価が萌×1なのが修正できなくてとても残念です。
商業で出ている本は少ないですが、もっと皆に知ってもらいたい作家さんだと思います。
すみません、嬉しくてつい。。。失礼しました。

ビター・ハイ!

新宿鮫ならぬ新宿ツゲという感じで、設定自体は既視感があるし
ストーリー展開も見当がつく話なのだが
それでも、甘みを抑えた作風や個性際立つキャラは魅力的。


かつての事件で、キャリアでありながら不遇なポジションにある柘植。
所轄で持て余されながらも、心は警察官としての熱を失っていない。
彼が捜査の途中で出会った麻薬取締官の早瀬。

柘植のキャラは、最初のエピソードが未消化な感じもあり
イマイチピンぼけな印象もあったが、
一方、今時の派手で綺麗な容姿の中に激しさを秘め一人戦う早瀬がいい。


この早瀬の美しき孤独が、ツボ。
まるでナイフの切先に立つがごとく、非常にスリリングな立場、
本当は認めて欲しくて温もりが欲しくて、でもそんな心を奮い立たせて
そこに自らの足で立とうとする早瀬に、心鷲掴みだった。

そんな彼に惹かれてながら、それがどんな想いなのか戸惑う柘植。
薬でラリっている早瀬の淫らでエロチックな様は、なんとも萌えた。


柘野上司の那須、悪役の菅田、など脇役もキャラがしっかりしていて
一息に読ませる作品になっている。



※ところで、マトリ(麻薬取締官)。
 BLに限らず小説や映画の世界ではおなじみだけれど、
 実は日本に260人程しかいない、厚労省の特別司法警察員。
 薬学部出身者が多いと知った時にはへえー!と思ったものだが、
 そのあたりのこともよく分かる作品だった。
 http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg1455.html
 http://www.nco.go.jp/shimei.html

9

本格派

帯『俺は餌ですから』

警察落ちこぼれキャリア攻×麻薬取締官受で、「SH」と呼ばれるドラッグ操作を巡っての事件捜査モノなんですが、これがなかなか本格的な描写で、文章も上手くて読ませます。
事件描写に加えて、登場人物も一癖も二癖もあってキャラ立ちしてるって言うんでしょうか、ひじょうに魅力的。
攻が受を2回犯そうとして、2回共撃退されちゃうのもいい。
確かに成人男子同士だったら実際はそう簡単に犯されないと思うんですよ、その辺がリアルっぽくて良かった。
結局、ドラッグで興奮状態のままセックスへとなだれ込むんですがエロ描写もですね、雄臭くてよろしかったです。

英田サキさんの事件モノを好きな人はこの作品もおそらく気に入るんじゃないかなあ。そんな風に思いました。

5

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