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表題作三十二番目の初恋

梶山敬之
医者
瑞原想
美容師

その他の収録作品

  • 来ない日の約束

あらすじ

美容師の想が怪我のため、居候することになったのは勤務医の梶山。恋人を失った過去に縛られる梶山に惹かれる想だが…。
出版社より

作品情報

作品名
三十二番目の初恋
著者
椎崎夕 
イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
帰る場所
発売日
ISBN
9784344815285
3.5

(30)

(5)

萌々

(10)

(12)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
12
得点
103
評価数
30
平均
3.5 / 5
神率
16.7%

レビュー投稿数12

今度こそ最後の恋。

心に痛みを抱えた2人が、一生にいたいと手に取り合うまで。
いや~かなりハラハラジレジレでした。


受け様は美容師の瑞原。
同棲中の恋人だと思っていた相手から「結婚するから」と、家を追い出され、トラブルに巻き込まれて 骨折。
おかげで仕事もクビに。
という、散々な出だし。

困った瑞原は、怪我のトラブルの原因でもあった医師の梶山の家に居候させてもらう事に。
こちらが今回の攻め様。

美容師としての腕は立つのに、ダメダメな男としか付き合ってきてない瑞原。
素直で気遣いのできるいい子なのに、どうしてこうろくでもない男にひっかかるかな。

梶山の元で暮らしていく内に、感謝してもらい、尊重してもらって、梶山の人柄に惹かれていく瑞原。

梶山も、瑞原の傍は居心地がよくて、大事にしたいと思うように。

でも、2人とも相手を大事にしすぎて、身を引いちゃうんだよなぁ。
特に梶山は、一体どうしたいのか、煮えきらなくて、なんだよもう~と地団駄を踏みまくりヽ(>o<)ノ

瑞原の態度が相手を増長させてしまった感はあったので、最低最悪な相手に対して、反撃に出たのはスッキリ。
まぁそれも梶山の為にした事でしたけどね。


やっと想いが通じあったけど、まだ梶山に対して遠慮遠慮しいな瑞原で、いつか安心して梶山のそばで笑っていられるといいな(*^^*)
頼むよ、梶山!

0

梶山先生、幸せになれて良かったねぇ

帰る場所シリーズのスピンオフとは知らず、先にこちらを読んだのですが、スピン元を読んでみると、梶山先生が幸せになれて本当に良かったねぇ、と思いました。

本編を初めて読んだ時は、頑ななまでに想を受け入れない姿勢にじりじりしてしまったのも確かで、想がまた一途で健気だからこそ、もっと早くに手を差し伸べてあげればよかったのにぃ!と思わなくもなかったんです。

けれど、う〜ん。あの過去があって、スピン元でのなんやかんやがあって、そして現在。(本編はスピン元の5年後っていう設定です)
今全部読んでみて、あの頑なさだったんだなぁと納得。

そして本当に、想と出会えて良かったねぇと思いました。

仕切り直し〜の方にも梶山先生のSSが載っているとのこと。
正直そちらの本編は読む気はなかったんですが、SS目当てに購入してしまいました。

そして相変わらず。椎崎先生の、ぐるぐるしっぱなしの自己完結型の受けちゃん。
も〜〜〜わかりやすすぎてお決まりすぎて、だから読みたくなっちゃうんですよねぇ〜〜笑

0

いい恋をして成長していく主人公たちを見るのが好き

ずいぶん前にはじめて読んでからたまに読み返したくなる作品です。
頑張ってるのに報われない子がいい相手に出会えて幸せになって行くというストーリーは気分が落ちているときに励まされます。

すごくいい子なのに自己評価の低い健気な子です。
何かよくないことが起きるとみんな自分のせいにして誰も責めない。
それをわかっていて利用しようとする良からぬ輩の都合のいいカモなんです。

美容院を共同出資し将来は入籍しようとまで言ってくれた同棲している恋人から結婚するからと追い出されても、他人の巻き添えで骨折しても、怪我で仕事ができなくなりクビにされても、過去に酷い目に合わされ家族と疎遠になる事態になった相手に再会して都合よく扱われても、みんな自分のせいだと諦め赦してしまってばかりで歯がゆくなります。

けれど初めて、反撃に出た時には拍手しました。
自分ではなく好きになった人を守るために立ち上がったのは偉かった、そしてそんな人に出会えてよかったと思えました。
愛は勇気と力をくれるんですね。
けど、自分はどうでもいいから大事な人を守りたいというのは相手にしてみたら大いに不満で不安でしょう。
そんなところは今後のしつけ次第だとこれからの課題として心にとどめた恋人の想いに救われました。

3

優しい話。

 美容師の瑞原想は、同棲中の恋人に、「結婚するから明日には家を出て行け」と意味のわからないことを言われた店で、たまたまいい男がワインをかけられるところを目撃してしまう。
 呆然とする想だったが、店を出たところでそのワインをかけられた男とすれ違いかけ、おせっかいを承知で、ハンカチを差し出してしまう。
 そこに、ワインをかけた女が再び戻ってき、ちぐはぐな言い合いの末、その女性は想を突き飛ばし走り去ってしまう。
 突き飛ばされた想は、その拍子に腕を骨折してしまう。
 ところが、美容師の想は、それを職場の共同経営者兼店長でもある元恋人に告げると、今度は仕事もクビになってしまう。

 帰る場所も仕事も失った想は、仕方なくワインをかけられた男・梶山の「何かあれば連絡をしてほしい」という言葉を頼りに、彼の家を訪ねる。

 すると「怪我をさせた責任を取る」という梶山の言葉に甘え、彼と同居することになった想。
 当初、生活感のない梶山の家で、息を潜めるように生活をしていたが、ある日、お金を節約するために十分に食べていなかった想は、倒れてしまう。
 そんな想が働けず、お金もないのは自分のせいだから、と、今度は梶山は想と食事をするようになる。
 想は、それを何もしていないのにsてもらうのは悪い、と言い、代わりに家事を一手に引き受けところが、ることになる。
 ところが、生活を共に過ごすうちに、恋人を失った過去に縛られたままの梶山に想は少しずつ惹かれはじめる。

 そんな時、梶山の職場を訪れた想は、過去の恋人と再会する――。


 そんな感じの話でした。
 少しずつ梶山と想が、距離を近づけていくところがとてもしっとりと書かれていて、かなり面白かったです。

 想は、ダメな男ばかりを引き寄せてしまい、今までちっともいいめにはあってこなかったのに、それでも相手を恨むことなく、前向きに生きていて。
 今度も、梶山のことを思って一旦は、引くけれども、梶山がそうのところを訪れて、二人はハッピーエンドなんですが。
 そうやっても、自分が我慢することで、梶山に迷惑がかからないようにしようとする想は、とっても優しくて、でも悲しくて。
 そんな想を、自分の気持ちを認めた梶山が、そっと包み込んでいるのがとても優しい。

 いろいろあったけれども、二人がとっても優しいのでとっても優しい話になっていて、すごくよかったです。
 途中、想が、過去の恋人にいいようにされてしまうところもあって、そこだけかなり痛いような気もするので、そういう痛いのが苦手な人は避けた方がいいかもしれません。

 個人的には、そういうひどい描写がなくてもちゃんといい話に仕上がったんじゃないかと思うので、そこだけマイナスでした。

1

(私にとって)椎崎作品の例外。

たぶん、椎崎さんでは一番(というよりほぼ唯一。もうひとつはスピンオフの『仕切り直しの初恋』ですから)好きな作品です。これはキャラクターがよかったんですよ(単に私の好みとの符合で)。

なんというか、脇キャラクターやエピソードがいちいち陰湿なんですよね。そこは椎崎さんらしいと思うんですが、この作品は珍しく主要キャラクターが私の好みに合っていたんですよ。
確かに想(受)はダメ(アホ)なんですが、ダメの方向性が私の好みの範疇だったんです(いつもは真逆なんです)。今までまわりにロクデナシしかいなかったわりには、本人はホントに健気で性格もいい、その上仕事もできるんですよね。想はもっと報われていい!と思いましたよ。梶山(攻)もクールで冷たい男に見せて、なかなか大人で素敵でした。想にはお似合いなんじゃないでしょうか。

椎崎さんの作品で、主要キャラクターを2人とも(それなりにでも)好きになれるのは初めてで、貴重です。
かなり好きな作品ですね。

3

BL本読むのがやっとだって!

むっちゃ私事ですが片手骨折して最近までギプス状態でしたー。
その状態で再読してたんで「信田、お前無茶言うなーー!!一度手骨折してみろーー!!」と信田へのムカつき度が過去最高マックスでした。
BL本読むだけでも大変なのに(←おい)鋏持ってカットなんざ出来る訳ないだろー!!!
骨折描写部分で想に妙にシンクロしつつ読んだのでもっそい物語に入り込みました。

しかし改めて読むと想はホントにロクデナシにばっか引っかかってますな。
見る目も無いし男運もないんだろうけど、駄目な男ばっか好きになるのって男女問わずあるんでしょうな、そういう心理ってよく分かんないけど実際居るしなー。
でもそれだけに梶山と出会えてホント良かったー!
頼れるし動じないし格好良い!!今までの分を全部取り戻してお釣り位のいいお相手と巡り会えたのが素直に祝福!!って感じです。
過去に色々あった梶山にとっても想が良い相手なのも祝福。
梶山と想の2人カップルはもっそい好きです、結び付いて良かった~とページ閉じてほっと安堵の溜息付いちゃう位に良かった~。

何せ元恋人の信田が全く同情の一欠片の余地のないいっそ清々しい程の嫌なヤツなのでザ・こいつ悪役!!で思い切り腹立てられたのもこの作品の面白さの一つかも。
攻ざまあってこういう時に使うので良いのかな?
あ、元攻ざまあ、なのか?
ちなみに信田は次のスピンオフ作「仕切り直しの初恋」でもちっとも反省してないので更にこいつめーこのロクデナシ最低野郎ー!!って気持ちになりますな。

ともかくこのカップル凄く好きーー互いの距離感が縮まるまでが丁寧に書かれてるとことか想の感情描写とか実にいいです。
好き作品。

2

良い子なんだから良い恋愛してちょうだい!

椎崎さん嫌いじゃないし、椎崎さんの書くグルグル受けも、ギリギリセーフで嫌いじゃないんです。
こう、ひと超えするとウザイって感想しかもてないような、本当のギリギリなんですが、そのギリギリ具合が好きなんです。

なんだけど、このお話は油断した!
受けのグルグル卑屈具合は多分他作品とそう変わらない気がするんですが、このお話に関してはそれに加えて登場した駄目男たちが酷すぎました。
だから、受けのグルグルでかなり減ったHPが更に過去男たちにガッツリ削られて、戦闘不能にて戦線離脱という感じ。
その後攻めのカッコよくて潔い活躍や、受けのちょっとした成長を見たとしても、その時はもう手遅れってくらい、私が重症でした;
奥の手召還しても、もう戦線に戻る気力はなかったよ、ごめんね…という感じ。

過去の男が2人出てくるんですが、どっちも酷い。
ちょっとくらい酷いのは「こんな酷い男なんて別れて正解!」と共感できて、より一層主人公たちの気持ちに添うことが出来るんですが、これはちょっと、読んでいて不愉快になりました。

酷さの方向が、きっと私の好みと合わなかったのかもしれません。
現実的過ぎて、キモチワルイんですよね。
もっとBLドリームな感じの酷さだったら良いんだけど、これは男女でも起こりそうな、素で詐欺やら恐喝やら正式な名前のつきそうな犯罪で、許しがたかったです。
根底に一切「愛」がないのも、腹立たしい。
好きすぎて病んでる感じなら大抵のことはストーリーのエッセンスとして読めるんですが。
ただ、不思議なことに、出てくる駄目男たちに本気で腹が立つだけで、このお話自体に腹が立つわけではなかったのです。
大抵は最低男が出張るお話は、お話自体が読んでいて不愉快って感じになるんですが、気に食わないのはあくまでアイツらだ!って感じで。
そのへんが椎崎さんのお上手なところで、私はきっと椎崎さんの望むとおりの反応をしているんだろうなぁ(笑)とは思います。

そして、立ち向かわずダラダラ流される受けにも、気持ちは分かるけど若干イラッとしました。
そこ泣き寝入りするから何度も同じ失敗を繰り返すんだよ!
と、目の前に居たら正座で説教3時間聞かせてやるところです。
「人が良い」と「馬鹿」は大違いだってことに気付いて欲しいです。

攻めは…好きなタイプなんですが……。
先に『隣に居るひと』で他の男に軽く言い寄ってるところを見ちゃったからなぁ。
出来ればトラウマになっている前の恋人以来初めて気になった人がこの受けであって欲しかったです。
この作品ではそういう扱いになっているので、この作品単独では不満はないのですが。
別にこの梶山と『隣に居るひと』の当て馬を同一人物にする必要はなかった気がします。
というか、別人のほうが椎崎ファンとしては納得いきました。

とはいえ、全体的にはストーリーにグイグイ引っ張られたし、受けは馬鹿交じりの健気だし、攻めはカッコいいしで、楽しみました。
他の方もおっしゃってますが、出来れば金はキッチリ回収して、過去も綺麗に清算して欲しかったです。
「金に拘らないこと」がイコール「清く正しく美しい」ではないよ。

1

ろくでなしホイホイ

やっぱり椎崎さん好きだ!!
丁寧な感情描写で描かれる人たちは生き生きしていて、決してパーフェクトじゃない。
だからこそ読んでいて共感できるし切なくなる。
ロクデナシホイホイで不幸体質の主人公、想が不器用だけど優しい梶山に惹かれていく気持ちがすごくよくわかるのです。
対比として描かれる元彼のサイテーっぷりがまたすさまじいのですが。
勝手に家から追い出しといて愛人にしてやるとか、骨折してるってのに仕事をさぼるなとか、退職金くれっていったら俺にたかるつもりかとかもう本当にサイテー。
お前どんだけ男の趣味悪いんだ主人公と思うと同時に、そりゃ梶山先生に優しくされたらふらりとくるよね!
自身の過去の色々がトラウマになっているせいで、素直になれなかったり、捨て身で梶山のことを守ろうとする想が本当に切なくて切なくて。
自己犠牲とか……弱いんだなあ私。
久しぶりにかなりどっぷり入り込んで読める作品でした。

2

学習出来たでしょうか

切ない系健気受けというカテゴリに収まらないんですよね、このお話の受けちゃんは。
なんて言ったらいいのかなぁ。バカ(おバカじゃない!)なんですよねぇ、もっと上手く立ち回ったらいいのにといいたくなるほど。
しかも、ちゃんと手に職持って自力で生きていけるのに、どうしようもない男に引っかかってばかりで。
ろくでなしな男ばかり引っかかって(引っかけて?)、苦労を背負い込まなくてもいいのにと思うんですが、そういう運命なんでしょうね。
いろんな男と関係を持っていたことを卑下して、梶山と自分は釣り合わないと思っているから、好きだと告げても恋人にして欲しいとは言えないんです。
こんな想だからこそ、幸せになって欲しいのに、そんな簡単にはなれなくて。

そんな想を拾った梶山ですが、他人に対して距離を置いているというか、関心が全くないというか。
住んでいるマンションだって、全く生活感がなかったんです。住み始めて何年も経っているというのに。
梶山にも、忘れられなくて、自分の生き方すらも変えてしまった重い過去があったんです。
だから、自分は他人と関係を築くことをしようとしなかったし、拾った想にすら、最初は無関心だったんです。
ですが、多少なりとも「これじゃダメだ」という気持ちもあったんでしょう。
あれほど想と距離を取っていた梶山が、ちゃんと気持ちを通い合わせたあとは、しっかりと想を甘やかそうとしているのが可愛かったです。
ツンデレ……っていうのとはちょっと違うけど、そんな風に変わっていったのも、想とちゃんと恋愛した結果だよねぇ~と思うし、こんな変化は見ていて気持ちがよかったです。

1

自己評価の低すぎる主人公

攻・梶山敬之 医者
受・瑞原想 美容師

腕の良い美容師の瑞原は、じつはダメ男にハマる恋愛下手な人。
恋人だと思っていた同僚美容師に誘われ、勤めていた美容室を辞めます。
開店資金を出資し、新しい美容室の共同経営者として働き、恋人と同棲もしていましたが。

その恋人が付き合っていた女に子供ができたので結婚する、だから部屋を出て行け、と言われて驚き傷つくと同時に「やっぱり」という諦めにも似た気持ちに。
別れ話を切り出された同じ店で、女性ともめていたのが梶山。
梶山のトラブルに巻き込まれて点灯し、利き腕を骨折してしまいます。

梶山の病院で治療を受けた瑞原ですが、元のアパートにも帰れず、仕事が出来なくなって美容室もクビになり困り果てて梶山に助けを求めてきました。

元はといえば自分が悪いので、と梶山は瑞原のケガが完治するまで面倒を見ると言うのですが、瑞原はとても卑屈なくらいに遠慮がち。
寝起きする居場所をもらえただけでありがたいと思ってるから、手持ちのお金で節約生活…食パンを1日1枚食って生きるなんて、そりゃ栄養失調になりますよね。

瑞原はとにかく自己評価が低いんです。
5段階評価で言えば最低の1だと自分を思ってる。
それもこれも最初の恋人が最悪で、瑞原をそういう風に教育してしまったからなのですが。
自分が愛される自信が無いから、甘い言葉で言い寄られると引っかかるし、理不尽な仕打ちにも「仕方がない」と諦めてしまう。

梶山との平穏な生活に癒されていた瑞原の前に、最初の恋人が現われます。
最初の恋人は梶山の同僚医師。
彼は瑞原が梶山を好きだと知って、瑞原を玩具のようにいたぶって楽しむのです。

梶山の立場が悪くなる危険は冒したくない…と一度は離れてしまうのですが、梶山の気持ちも自分と同じだと知って、捨て身の反撃に出ます。
そーいう反撃方法もアリなのか…と驚きますが、破滅的なところは瑞原らしいかな。

誘われて始まってきた今までの恋とは違って、梶山へは自分から好きになった恋です。
梶山にも実は辛い恋愛をしたことがあり、その経験が瑞原への真摯で控えめの行動になるのですね。

自己評価は低いですが、周囲の良識ある人びとの瑞原への評価は決して低くは無いのです。
それに早く気付いて欲しいですね。

最初の恋人への反撃はアッパレですが、美容師の元恋人への反撃はしないまま終わってるのが、ちょっと不満。
少なくとも出資した資金くらいは回収しようよ、と思ってしまう貧乏性な私です。

1

ろくでなしセンサーを持つ男

主人公である想は、ろくでなしセンサーを持っています。
センサーでろくでなしを見つけると、
そいつに引き寄せられてしまうという厄介な代物。
なので想は、ろくでもない男と、辛い恋ばかりしています。

想を取りまく男達が、本当にろくでもない奴らで。
読んでいてイラつき、腹立たしくなる事が多々ありました。
そんな奴らに自分を犠牲にして尽くしまくってきた想。
こういうタイプはリアルでいたら(そして女性)なら、
かなりうざいというか、バカな人なのですが。
ファンタジーなBLだからでしょうか?
想がひたすら健気で、たまりません。

自己評価が低く、ぞんざいに扱われても「仕方がない」「自分が悪い」。
被害者なのに加害者意識を持ってしまう想。
彼がこういう人間になったのも、過去の心の傷が原因です。
それが痛くて可哀想で。とにかく薄幸な人で、思わず涙が。

そんな不幸な想が三十二番目に出会った男・梶山。
彼も過去の行いを知ると、ろくでなしの部類に入るのですが。
ただひとつ、今までのろくでなしと違うところがありました。
想の美点を理解し、大切にしてあげるところです!

心の傷を抱えたもの同士が出会い、癒されていく過程が切なくて。
想と梶山の幸せを、願わずにはいられません。

2

サイテー男にムカムカ

「結婚するから明日出ていけ」の一言で恋人だと思っていた男に切られ、続いて起こった見知らぬ男女のトラブルに巻き込まれて利き腕を骨折。恋人と一緒に自分も出資した店も追い出されて何もかも失った想は、骨折の原因となった男・梶山のマンションに、ギブスが取れるまで居候することになる。

梶山は、穏やかというか、感情の起伏のない無機質な淡々とした男。しかし一緒に暮らすうちに、想は梶山の微かな笑顔や優しさに惹かれていく。

ところが、梶山は過去にあったある出来事のため、人と深く関わることを自分に許していない。また、想も過去につきあったろくでもない男たちにつきまとわれ、梶山にまで被害を及ぼすと脅されて関係を強いられてしまう。

二人ともいい恋愛をしてこなかった人たちで、それが現在にも影響を及ぼしていて、惹かれあってもうまく気持ちを伝えられません。
想視点なので受の気持ちはわかりやすいですが、梶山は何を考えているのかとても見えにくかった。

でも一番気になったのは想の過去の男たちが、あまりにロクデナシ電波なこと。想が人が良すぎるのでスカッとした反撃ができず、ほとんど好きにされっぱなしなのがストレス溜まりまくりでした。そういうところが想の性格の良さだったり、自分より人を大事にする「強さ」でもあるんだろうけど、こういう時、現実には大した仕返しはできないとしても、物語では倍返しで懲らしめたいじゃないですか(笑)
ホントにサイテーな男たちなので、読んでて気分悪くて、もう。

梶山がごちゃごちゃ言ったわりにアッサリ想への想いを認めたのも拍子抜けしました(^^;)
いやなエピソードばかりここまで詰め込まなくても良かったんじゃないかな…。
せめてもっと怒ってくれないとこっちにストレスが溜まる(笑)

1

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