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『疾走する剥き出しの魂』…帯のこの言葉がまさにぴったり。
ある程度早い年齢で、間違って(故意にでも可)手にしちゃって読んでみたら結構なショックを受けてー…みたいな出会い方が理想的な本かと思いました。エロ耐性無いとトラウマになるかもだけどそれはまぁそれで…(ぉぃ
花街で店主をやっている高校生・十三。ある日、大きな病院の廊下で“まぶしく光輝く少年”深沢とすれ違ったことからストーリーが進み出します。年下の深沢は十三に惹かれて同じ高校に進み、同じ部活へ。しかし十三は冷酷且つ甘美な試練を深沢に与えるのでした…。
十三の生い立ちや家族環境はぽつぽつと出て来るものの詳しく語られる訳では有りません。が、語られずでもその濃密さは感じ取る事が出来る。細かい事は重要ではないから読み手側にゆだねていると言うことでしょうか、とにかく彼の内部に有るドス黒い何かが、真っ白で真っ直ぐな深沢目掛けて怒涛のように放たれる。深沢も深沢でちょっとぐらい避ければいいものを、自ら好んで何度もグイグイ突き刺さる。これは残酷です。怖い。恐ろしい。
けれど、美しい。
そして、
だから、美しい。
深沢がお金を十三に叩きつけた後泣きながら一人廊下に佇む場面と、雨の中マンションを飛び出し埴谷に告白して去って行く場面はあまりにも美しくて息が止まりそうで。『キュン』どころか『ギュギュギュキュキュキュルキュルルルルーーー↑↑↑(徐々に回転数増す)』とか、そんなですよもう…!!(機械じかけかよ)
後は…
ガラッと話変わりますが、笑いについて。実は結構笑える場面多いと思います。十三の店の従業員達のやり取りが素敵過ぎ(いちごとコンデンスミルクと××が一番ヒットw)。七尾さん怖面白い。
何だか全体通して、不謹慎というか…例えるなら『お葬式でお経を上げているお坊さんの近くに座っているオッサンのヅラが見事にズレていて来てる人がみんな笑いを堪えるのに必死』みたいな…そういう笑っちゃいけない時に笑っちゃう感じのギリギリの可笑しさが感じられる箇所がイイんです!!ギャグ的に。うなぎのあのどうしようも無さそうな部員達の様子なんてもう…苦しいw何て罰ゲームww
もう一回書こうっと。
『疾走する剥き出しの魂』
…いい響きだぁ…(うっとり)
真っ赤に熟れたザクロが口を開いて、その実を見せびらかして木に生っているような、
椿がその全盛を終えかけて、花弁の淵を茶色く枯らせてなお満開でいるような、そんな淫靡さを漂わせる作品です。
自分はどちらかというとイメージや感じを捉えがちで、文章で表現するのが苦手なほうなので抽象的表現ですみません。
しかし、最初に読んだ時、その画から 「つげ義春」や「あがた森魚」かの「ガロ」の世界を思い起こさせました。
舞台は架空の町、茜新地。
遊郭というが、その雰囲気は昭和30年代の娼婦付きの温泉マーク(逆さクラゲ)のような雰囲気を醸し出しています。
当主の十左は、高校生なのに、もう50年以上生きているかのような存在。
第一話で亡くなる坂江はひょっとすると義理の姉なのか?
彼と関係する後輩の深沢は、彼の望むことなら何でもし、倒錯的存在になる。
十左と別れた後、深沢と付き合う友人の埴谷の存在は、唯一まともであるかもしれない。
十左は卒業とともに家を出る。
死ぬ前に行方不明になる猫のようだ。
とにかく暗く、文字が多い。
一語一語をすべて拾って読んでもすべての理解は不能であろう。
しかし、現象と存在を屁理屈をこねて、哲学的に、わざと難しく語っているのは作者の意図的な展開であろうと思われる。
そこには、作者が万人にわかってもらおうとは思っていない不親切と思ったので、自分はあくまでも、その言葉や文章から察せられるイメージと感覚で自分勝手に解釈、納得するだけである。
しかし、本編以外に挿入されている「恋がしたい」「うなぎまつり」あたりは、一休み感覚で楽しめる。
上記、小難しく書いてしまったが、深く考えなくてもストーリーをざっとなぞるだけでもきちんと物語として成立しており、とても興味深いエロくて面白いいマンガだと思う。
絵は独特なので好みははっきり分かれます。
BLと呼ぶにはちと実験的な、大人なものですが、まだこの世界観を引き継いだ連載をOPERAで掲載しており、飛躍の期待される作家さんだと思いました。
暴力的で、スタイリッシュとも呼びがたく、強いて表すのなら殴り付けた青春。
自分的にはこんな(↑)感想を抱きました。
なんだろう、ツライ。
気に入る人と気に入らない人、すごく分かれるタイプの話だとは思いますが、私は気に入りました。
あと工口がダメな人はダメだと思います。ある程度は耐性がないと読み切れん><
ルネッサンス吉田せんせの作品は初めて読みましたが、売場に並んでいるときから気になってはいました。
お財布がなかなか許してくれなかっただけで。笑
表紙の荒廃した感じが何かやってくれそうな空気をすでに放っていましてね…。
マンガにあるまじき文量で、1回目は長い部分は飛ばし飛ばし読みましたけど……^^;
エロスとタナトス!
これはどっぷり独白されています。
淡々と呟くように表現されているからか、心のないアレだからかわからないですが、濡れ場らしい工口スではないかな…
むしろ痛々しい、カラクリ人形みたいな。
性的なことでしか他人と関われない主人公の爛れた生が、痛々しい。
花街みたいな空間ってのはなかなか身近にないと思うんですが、根底部分は
案外ありがちな話だと思うんですよね。
「自分のことを好きじゃない相手」しか好きになれない人とか、「好きな相手」に傾倒しすぎてしまう人とか いますよね。
一部だけど自分の中にもあるよなーって感じで読める部分もあって、久々に心の穴が埋まる話でした。
(あれ、この発言、キワどいかな^^;)
これは評価が分かれると思いました。
絵柄もそうですし、一見わかりづらいように作ってあるからです。
好きな人にはとても味わい深い作品だと思います。
どうしてもわかりづらいときは、次作「甘えんじゃねえよ」など作者のほかの作品を読んで、この作者の文法に慣れるとわかりやすくなると思います。小難しく見えますが、実はそうでもありません。
深沢は「白」、十三は「闇」のイメージを担っています。白はすべての波長を均等に反射した時に認識されると作中にあります。反射する、つまりは鏡です。と同時に、十三の発する光の偏りをすべて打ち消して均等にする波長をもっていなければ、十三に白で返すことはできないので、真反対の波長をもっている、ということでもあります。
それは十三が深沢を認識した時に自分だと思った場面や、深沢にむごいことをさせる場面、金を渡す場面などからも見て取れます。
だからこそ、十三と深沢は結ばれなかったのだろうと思いました。
あまりにも眩しすぎる光は、盲目にさせる。自分の輪郭も見えなくさせてしまうような光の中で、確かに二人は一つになったのだと思います。形として別れることになったのだけれど、溶け合って一つになって、二人の人間に分かれたんじゃないかな。
ある意味、究極の成就のような。
言葉にできない感覚をできるだけそのまま真摯に伝えようとすると、こういう表現になるのか、と思いました。
この感覚を描こうとしている作家さんはほかにもいますが、ここまで明晰にきちんと輪郭を持たせてカタチにできているのはこの方だけではないでしょうか。欠けた分厚いガラスのようなとがった輪郭で、弱さで劈開した面の歪みもそのままに光を反射しているオブジェのようです。(大絶賛です)
言葉や演出に惑わされずに読むと、非常に愛に満ちた甘いラブストーリーがあります。濃厚で芳醇です。ぜひ味わっていただきたい作品です。
実にとっつきずらい本ですね。
とても漫画とは思えない文章量に、慣れないと会話の流れも誰と誰が話しているのかさえも解り図らい。
しかも最初の主人公である十三が、売春宿の店長でありながら高校生で剣道やっているという、かなり無茶な設定で、
それを明かされてつまずいた私がいます。
でも小難しいのは最初のうちだけなので、初回はざっと流し読みするのがよい方法なのかも。
また、ちょっとあり得ない設定があっても、全体としてみれば些末なことかもしれません。
父の仮面を被って母と関係があった十三も、十三を盲目的に慕う深沢も、お互いに自分は"何者なのだろう"という思いに捕らわれている。
そして十三は自身を"闇"とし、十三にとって深沢は"光"。眩しすぎるのですね。
愛したくても、まっすぐには愛せない。
相手を傷つけて、自分も血を流す。
深沢も自分は"白"であるとし、相手によって塗り替えられ、十三に執着する自分を"目暗"であるとわかっている。
十三は深沢を、そしてなによりも自分を守る為に、結局は逃げるしかなかったのだろうと思う。
その後ろ姿に、なんともいえない悲しみを感じます。
そこで出てくるのが埴谷なのですが、"自分のことを好きでない深沢が好き"という、これまたちょっと病んでるコ。
自分自身を蔑むことで自分を守り続けていたけれど、このままでは深沢を愛せないと気付いてからの彼の行動に涙…。
"愛と恋とでベクトルが逆"なのであれば、
十三と深沢は似た部分を持ち、惹かれずにはいられなかった恋であり、
深沢と埴谷は、慈しみ暖かみを分けあえる愛であったのでしょうか。
其々の心情を思うにつけて痛みが走る、これは狂気に包まれた純愛なのだろうと思います。