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君を、迎えにきた。私と一緒に来るか?
主人公・藤村夏生は音大生。
鎌倉の旧家の裕福な医師の家庭に生まれ育ちます。
後妻であった母亡き後は、腹違いの兄・隆一が大病院をついでいます。
この義兄が、ことごとく夏生につらく当たります。
母の命日に学費の打ち切りを告げられ、途方に暮れていた夏生を引き取ったのは宮本雅矢。外科医で製薬会社の直系孫。
義兄の借金を肩代わりする代わりに、夏生を手に入れたというのです。
大好きなピアノを続けさせてもらう代わりに、雅矢が出した条件は…。
設定自体はとてもおいしいです。
鎌倉の旧家。
冷たい義兄。
自分を保護する、謎の男。
ルームシェアをして、好きだと告げてくれる親友・吉住。
でも、少し題材が詰め込まれすぎて消化不良な感じ。
義兄との絡みは冷たい言葉だけ。
吉住くんもせっかく告ったのに、夏生が雅矢に惹かれているのを知ると「ちくしょー」というだけで引き下がってしまいます。
夏生に執着し続ける雅矢の動機が、
「夏生の母がご近所で、結婚する前に可愛がってくれた」
「母に死なれて一人悲しむ夏生を放って置けなかった」
というだけでは、説得力に欠ける感じです。
雅矢に保護された夏生は、雅矢の人脈によってどんどんピアニストとして出世してしまうのも、ちょっと順調すぎるなあ思ってしまいました。
いっぱい苦難が待ち受けていて、そのあとに幸せが来るようなそんなストーリーが好みの方には、あまりにもすべての挿話がきれい過ぎて、少し物足りないかもしれません。
お話の筋はよくある感じですが、文体がちょっと独特で、それでいて読みやすい感じがしました。
王道の中にちょっと印象的な場面が残るので、そこを上手に育てていけばいい作家さんになるんじゃないかな…と期待できる作品です。
人間くささがよくも悪くも出ているので、それでぐっとお話の世界に引き込んでくれるんだと思います。
この次の新刊の方が期待感ありなので、今から読む方はそっちのほうがおすすめです^^
結城瑛朱さんはあまりたくさん作品を書かれていない作家さんですが、わたしはファンなのです。
冊数が少ないこともあってすっかり集めきってしまったのですが、新刊はいつでるのであろうか…
こちらは三人称で、視点は受け攻め両方のものとなっています。
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受けの夏生は幼少時から腹違いの兄に疎まれ、東京で下宿暮らしをする今年20歳になる藝大生。
攻めは医大の准教授で、製薬会社会長の孫の雅也。
夏生の母には昔ピアノを習っていた経緯があります。
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夏生が10歳の時に亡くなった母。
そんな時に現れ、そしていつか迎えに来ると約束した青年、それが雅也です。
母の命日に実家へ呼び寄せられ、経営難に陥った兄の病院の借財のために知らぬ間に雅也へと売られていた夏生。
ピアノも続けられ、生活費もすべてまかなってくれる。
しかし、その代わりに夏生は雅也の所有物となることとなったわけです。
いわゆるヤンデレというかツンデレというか、そういう雰囲気の攻めキャラです。
挿絵のせいかなんだか20代に見える雅也ですが、30代半ば。
もっと落ち着いた感じの挿絵が良かったなあと思います。
反面、夏生は外国人には中学生に見えてしまうような容姿ということで挿絵の幼さもなるほどなという感じですね。
結城さんの作品の中では、ちょっとパンチが弱い作品だったでしょうか。(そういえば独特な漢字もなかった?苦笑)
後書きでも書かれていますが、受けがフラフラしているんですよね。
結城さんの書かれる受けは比較的頑固であったり気が強かったりしたので、ちょっと拍子抜けでしたね。
流されるまま雅也に行き着き、翻弄され、愛してしまうという…もう少し自我のようなものがあれば良かったのにな。
謙虚とかとはまた違うように感じましたね、少女のようでBLである意味があまりなかったように思います。
ノベルズのわりに読み応えもなく、ちょっと残念です。