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私以外を夢中にさせるな。
とても読みやすいテンポで展開する面白いお話でした。
「フェイク」は、ドタバタした煩いギャグ小説の感がありましたが、「リメイク」は花田に纏わる後半が場面が太秦に移り「座布団」と似て情念豊か。昭和の映画界の描写を読んで、そういえば映画「京都太秦物語」は面白かったな、と思いだしたり。
邦画撮影に関する、昔あった善いもの、美しいもの、消えていく太秦で働いていた技術者。昭和の良さを懐かしむ京都の街並みの描写が綺麗。
あらすじ
邦画が戦後隆盛になり、太秦の撮影所が賑やかだった頃の花形男優、花田の映画をリメイクする事になって、勇介が主役に抜擢される(ここまでの説明がやや長かった。)
花田と勇介が、「顔のない男」と同様に、母子を演じるための共同生活に入ります。お茶、日舞、書、花田が住み込みをする勇介に、演技に必要な芸事を教えます。元女形の梨園育ちの花田が魅力的な男優になり切れた訳は、宝塚と同じ、女だから理想の男性を演じる事ができる・・花田の才能を開花させたのは、花田の夫の戸塚。
余命宣告されていた花田は、自分の演技を撮影した直後に体調を崩し亡くなります。(ダラダラさせない展開は、少々酷・アッサリ過ぎに感じました。)
☆感想
嫉妬したり、恋愛や絡むシーンは、BLとして必要かもしれないけれど、「座布団」や「顔のない男」を先に読んでいるので、耽美ものとしては不完全燃焼な点が不満です。頁の割り振りに不満を感じたので、萌2評価。でも、面白いのであっという間に読み終えました。また読み返します。
---著者が生きていたら要望したかった所。鬼籍に入った著者に要望なんて届かない、無意味なことですけど。この作品が「座布団」に追い付かないのは、勇介と恋人との絡み部分に焦点を当てすぎたからだと思います。
☆花田が育った環境:梨園
女形の資質を認められて養子になり修行を積んだ梨園。
嶋木あこさんの「ぴんとこな」を読むと、花田が育った環境が掴めると思います。剛先生がその気になれば、もっと日本の伝統芸能の様子について、突っ込めたと思う。BL、JUNものを意識しすぎたのが、残念です。
☆花田の料理:
京都の食養生の理念や花田の料理に込めた気づかいは、興味深い所でしたが、ほんのちょっとだったので残念。花田を勇介が回想する部分をもっと書いて欲しかった。
梨園ではないけれど、料理で面白いのは、置屋さんの料理についての「舞妓さんちのまかないさん」です。舞妓さんの置屋に伝わる食の伝統が描かれています。きっと花田もこんな気遣いをこめていたんだろうと想像。
☆名優、花田を名優にした陰で支えた夫、戸塚との恋物語の描写部分
この小説の真の主役は「花田と戸塚」という捉え方で、花田が語る戸塚の話、演じることの話、それを聞く勇介。勇介の目からみた花田を綴る部分を増やしてほしかった。リメイクを私財を投げうって花田が希望した理由でもありますし、この部分の情念が、この作品の肝の筈。
前作で、晴れて恋人同士になった高島と陽平のその後のお話になります。
ラブラブ同棲生活を始めた二人でしたが、陽平にチャンスが到来します。それは、大物時代劇俳優の出世作のリメイク作品への出演依頼でした。かつて、一世を風靡した時代劇俳優・花田に抜擢された陽平は時代劇俳優として再スタートしていきます。
「フェイク」では、強気な男前攻だった高島も、本作では、嫉妬はするし、子供っぽいワガママさんで大人気ない、恋人には結構グタグタな攻様になってました(笑)
陽平が役者として花開き始めるかもしれないチャンスに複雑さを隠せず、一人前の俳優にしてやりたい気持ちと、自分だけのもののままでいて欲しい気持ち…その狭間でやきもき煩悶します。結局は、陽平の好きにさせようと大人な部分が勝ったんですけどね。
反対に陽平の方が大人です。仕事に対しても、高島に対しても真摯な態度で、相変わらずの謙虚さが魅力を引き立てていました。素直で可愛らしいのも萌ポイントでした。
相変わらずあまあまカップルです。仕事面では完璧な高島も、普段忙しい分私生活は結構だらしなく、陽平がお嫁さんみたいに甲斐甲斐しく尽くしているのも萌です。陽平にメロメロな高島がウザイようで、なんとなく可愛くもみえました(笑)
たくさんの脇役さんも出てくるんですけど、ここはしいら先生です! みんな魅力的で読んでいてとても楽しめました。特に、老優、花田師匠の空気感が良かったなあと。戦後から昭和の後半を生き抜いた戸塚と花田のしっとりとした過去が涙でした。
今回の作品は剛しいら先生としては、素直な攻受なカップルだったのではないかなあと思いました。ストーリーも大きな波があるわけではなく、さらりと読みやすい内容でした。なので物足らなさを感じる方もいるかもしれません。
先生の作品は、他の方達と違って読んでいる本数は少ないと思うので、違った意見だったらすみません。
最後はバタバタ感は感じたものの、昔の時代劇映画を題材に美剣士という難しい設定と個性的な脇キャラも多数出てくる中、主役2人にも上手くお話を絡められていて面白く読ませて頂きました。
「フェイク」の続編です
「フェイク」ではペーペーだった陽平も今回は俳優として大きく飛躍します
でも、そうやって羽ばたこうとしてる陽平に寂しさを感じる社長信敬。独占欲丸出しなところがちょっとウザイ萌えウザ
まぁでも全体的にみると以前として二人はラブラブ。会えない時間や小さなすれ違いも絆を深めるスパイスのようですね。ごちそうさまでしたって感じ。
それにしても毎回見る度に思うのは、かんべさんの絵。良くも悪くも強烈だ~
一度見たら焼き付いて、挿絵がないページでもかんべさんの絵で頭に浮かぶ。
なんてか、私は本来あまり好きなタイプの絵じゃないはずなんだけど、どうにも気になるのです
これは河出書房新社から出ている「昭和美少年手帖」ってあるけど、あれを見たくないんだけど見ちゃうみたいな感覚に近い。
しかもこの小説の場合、受けが美剣士なんで、ますます熱気がむんむんしてますね~剛しいらさんですしね~
そんなわけで、
少年美(青年美?)を楽しみたい時にお勧めな作品です。
性格面も仕事の面でも【青さ】があり、そこが良いかと
この本、「フェイク」の続編って言うのを知らずにいきなりこれから読んだ。
基本BLは、「恋愛がどのようにして成就するのか」って所を楽しむ物だから、最初から出来上がっちゃったカップルが、なんかアホらしい、バカップルなすれ違いとかするところからいきなり読むと、結構、面食らう物だね。
お話は、かつての時代劇スターが、死期が近づいているのを知って、昔の自分の代表作を陽平でリメイクする話なんだけど、、、
剛さんのお話って、とにかくやたらと内容が多いことがあって、この本も、めっちゃ盛りだくさん。
この厚さの文庫本に、これだけの要素を詰め込んで1冊にまとめ上げちゃう剛腕はすごいけど、なんだか、これだけの内容、一気に読んじゃうのがもったいないって思っちゃう。
映画スターの影武者をすることになった駆け出し俳優と映画会社社長が恋に落ちる「フェイク」の続編。
主人公を時代劇俳優として売り出そうと習い事の日々……という感じから物語が始まります。しかし、前作での印象と挿絵のイメージから和服の美しい美青年…というのがピンと来なくてちょっと不満。なんだろうなぁ。これは個人的な絵柄の好みの問題かもしれませんが。
ストーリーの肝となる往年の名優のエピソード、特に彼の過去の話はドラマティックでした。特殊な世界での話なのですが、あの時代の映画界でだったら、あり得たかもしれない…と思えるような話で。
むしろ主人公カップルのエピソードよりも「萌えた」かもしれません。
話のたたみ方は今回も駆け足気味な気はしましたが、昭和の美剣士を妄想しつつ楽しめる一冊でした。