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ある日、マクシミリアンは雨に降られ、たまたま雨宿りをした軒先が、青龍に与しマクシミリアンに敵対する勢力である大船主・祥船だったことから、その家の中にわざわざ入り込んだ。
そこで、マクシミリアンは祥船の頭領・高浪とその跡継ぎ・千雲に会うが、そこでもう一人、青龍の懐刀である楽海の姿を見る。
そしてそこで、先代の龍である大龍に隠し子がいると聞いたマクシミリアンは危険を承知で西湖に出向いて行く。
一方、西湖で静養をしていた身重の春華はそこで仲良くなった絲恋を、マクシミリアンに引き合わせる。ところが、絲恋は「仇」と言いながらマクシミリアンに向かって切りかかっていった。
慌てて絲恋の後を追いかけるが、寸でのところで絲恋の仲間と思われる人間の横やりが入り、取り逃がしてしまう。一行は今度は、そのいなくなった絲恋の後を追っていくが……。
ちょっぴり運命の数奇な歯車が回り始めます。
相変わらず、皮肉の応酬で二人はちっとも甘くないですが、それで根をあげる人は先に読まないことをお勧めするような話です。
これから先もちっとも甘くないですよ。
ただ、物語は徐々に複雑怪奇な模様を呈してきます。
そして、脇役ではありますが、報われない恋をした二人が今回の物語には関わってくるんですが……つらくて、悲しくて。
でも、マクシミリアンは散々ひどいことを言うくせに、最後は結局優しいんですよね。
ちゃんと絲恋を白龍屋敷の一角に住まわせたりするんだもん。このわかりにくいけど、確かな優しさに対して、飛はもうちょっと理解を示してあげてもいいと思うんだ。
と、ちょっと飛に厳しいことを言ってみたり。
飛の真綿で包むような辛いことは全部背負ってくれるような優しさも確かにあると思うんだけど、そうじゃない物が大事なこともきっとあるんだよね。と、最近は思います。
個人的に、マクシミリアンのこの微妙にわかりにくくて素直じゃない愛情表現にきゅんきゅんできる人にはお勧め。
でも、このもどかしさにいらいらする人にはお勧めできない小説だと思っています。
物語はいよいよ佳境。
今は「青」と「白」だけで描かれていた物語に、今度の話からは「朱」が参戦してきます。