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読み応えある二段組みで骨太な小説。
文章に癖があるって訳ではないが、食事に例えて言うならば早食いできずにじっくりと噛み砕きながら味わうように読み進める必要があった。
三人称なのに進藤、富樫、槙原の視点がしょっちゅう切り替わるが、それを追ううちに登場人物に感情移入してしまいそうになる。
まず読み始めてみて、薄幸とか心に傷を負っているっていうのと一線を引いた感じの、欲や願望が欠落したかのような雰囲気の進藤に惹かれた。
一巻は少年院を出て間もない進藤がヤクザ者の槙原との出会いから富樫への引き合わせ、更に『さめ』に連れていってもらった事が転機へ繋がっていく。
天涯孤独の身となった進藤が、槙原やさめさんに世話を焼いてもらう様子に人情味があっていいなと感じる。
一方、初対面で進藤の何処にピンときたのか分からないまま執着を見せる富樫に対して、全くなびこうとしない進藤。
必死に拒むが逃げ道を塞がれていく、それでも富樫を拒否する日々の中で進藤がその後どうやって彼を受け入れていくのかが今後気になる。
また、富樫と彼を組のトップにしたいと思っている槙原やさめさんの、敢えてお互いの過去に触れようとしない大人同士の態度には何があったかってのを充分に匂わせるものがある。
進藤は母親の借金がもとでヤクザの槙原と出会い、槙原の上司である富樫に何故か気に入られつきまとわれる。槙原にはなつくけれども、富樫には最初の出会いから苦手意識を持つ進藤だけれども、強引に押し倒されてしまう。富樫は富樫で、なかなかなびかない進藤を訝しみつつも、どんどん進藤に嵌まっていく…。
理不尽の塊みたいな富樫なのですが、どこか憎めないです。
富樫はヤクザではあるのですが、成り行きでそうなっただけで、面子や義理を重んじるヤクザを面倒に思うような、ヤクザの世界でもアウトローな感じで、サポートする槙原は苦労しています。
槙原は槙原で、何かしら事情があるのか、富樫と槙原の関係は特別な感じで…。
いつの間にか話に引き込まれてて、次巻を手にとる間ももどかしいほどです。読んだのが全巻出版された後でよかったと思いました。
それぞれ雰囲気のある富樫、進藤、槙原の3人のキャラが作品を引き立てていました。
欲がなく全てを諦めているかのような淡々とした進藤の過去が気になります。
富樫にちょっかいを出され、その理由が全く分からず嫌悪感を抱いていた進藤でしたが、強引な富樫のペースに引き込まれついに体まで奪われてしまいます。
心は許していないのに、体は反応してしまう。
初めてを奪われた進藤がエロいです。
3人とも口数が少ないので、いろいろ気になって、早く2巻が読みたいです。
母親の借金を負わされた21歳の進藤。
勤め先の工場にヤクザの槙原が訪ねてきたのをきっかけに、
工場を辞めさせられ、そして新しい日々が始まる。
槙原から連れて行かれた先で出会った、
猛禽のようなヤクザの幹部・富樫……
出会い頭に迫ってくる富樫と、逃げる進藤。
この二人の関係はどうなっていくのか?
進藤、富樫、槙原、それぞれが抱える過去は?
1巻はまだ導入部という感じだが、
呑み屋の女将のさめさんの造形も魅力的で
続きを読むのを我慢出来ない。
新宿の街のくすんだ色合いの中で、強烈な存在感を放つ富樫と
淡々と強く澄んだ存在感の進藤。
この二人の関係がどうなるのか?
BL的には、進藤は富樫に落ちるのか?が焦点なんだろうけれど
それよりも描かれる男達の物語自体に惹き付けられる。
先が気になりHシーンをまるっと飛ばして読んでしまったのは、
BL読みとしては邪道の極みだろうが、これはそういう作品なのだ。
書き下ろしの「邂逅」は、10年前の富樫と槙原の出会い。
地味な槙原がまたいいのだが、
書き下ろしも2巻の書き下ろしに続く……って……
ああ!
BL的には糖度も低めだし、萌えというよりもっと真剣に物語に向かってしまうので
評価が難しいのだけれど、間違いなく面白い。
谷崎作品は「しあわせにできる」が大好きだった。
あのコミカルさはないが、キャラクターの魅力は同等かこちらが上か。
富樫は、久遠寺と映を合わせて極道にしたようなタイプ。
受けの進藤は、不幸な育ちだが弱くなく可哀想でもなく、
多くを望まず、かといって縮こまってもいない、独特な個性が美しい。
ずっと気になっていたお話。
ようやく手に取りました。
母親が残した借金を取り立てに、ヤクザがやって来た。
とぼけることもできたのに真面目に返済を考えていると、とある暴力団の事務所に連れて来られた進藤。
そこで本部長という肩書きの富樫に出会い、気に入られてしまう。
自分に自信があり傲慢で何でも手にしている富樫は進藤に、何でもくれてやる、と甘言を囁き続けますが、進藤は何もいらないとつれない態度。
何にも動じず、いつも冷静な進藤。
その過去はワケアリで、どこか仄暗い雰囲気を漂わせながらも、どこか真っ直ぐで澄んでいる。
富樫に翻弄されながらも決して流されず、そこに富樫もどんどん惹き寄せられ…。
もっとあまあまラブラブさを求めている方には物足りなく感じてしまうかも。
だけど男として、人として、どこか惹かれてしまう登場人物たちに、BL要素云々よりもストーリーを楽しんでしまう。
進藤や富樫は勿論、槙原やさめも一癖あり、おもしろい。
さてこれから一体二人はどうなっていくのか。
一体過去に何があったのか。
富樫と進藤。
一体どっちがハマっていくんでしょうね。