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とある海外コレクターのデータの底に埋もれているのを発見しました。
題名以外は何もわからなかった代物だったそうです。
1988年、歴史上初めてのBLドラマだと教えたら、持ち主もビックリ。
音は意外にしっかりしていて、とても30年も前の作品とは思えない!と感動しきりでした。
BLというよりは「匂い系」のミステリードラマといった風合いです。
長唄をやっている洋一郎は文化祭で女と見まごうばかりの雅美に出会う。
雅美は美しいばかりではなく、洋一郎がかなわないほどの三味線の腕を持っていた。
雅美は原因不明の失明で、東京から遠く離れた温泉へ療養へ行き、
洋一郎を誘った。その近くには「鼓ヶ淵」という淵があり、言い伝えによれば
その昔、白拍子が身を投げたという。
湯治場で日々過ごすうち、二人には不思議なことが次々と起き…。
起承転結がはっきりとせず、落としどころも曖昧ですし、
白拍子の伝説と、二人の想いがどうリンクしてくるのか????な部分もかなりありまして、話がどう転がるのかわかりにくい点は否めません。
JUNE期にありがちな、「同性愛」をテーマとした作品ではなく、
あくまで「耽美」な雰囲気を楽しむのが正解なようです。
ラブシーンは最後の最後にほんのさわりだけ…。
ただ、三味線の音色や、宿のおばあさんの演技、ときどき差し挟まれる音楽がとても味わいぶかく、真剣に悩みながら作った痕跡が見えます。
主演の三ツ矢雄二さんは、黎明期のBLCDで演じるばかりでなく、脚本(花枕桃次という変名を使っているものもある)、演出と大変重要な役割をされた方です。
ぱっと思いつくかぎりでも、「ぼくのセクシュアルハラスメント」「舞え水仙花」
「富士見二丁目交響楽団シリーズ」「間の楔」「アニマル×2」など、まさにBLCDの出発点に立つ作品の数々を世に送り出した方です。
三ツ矢さんは1980年代初頭に一般アニメでかなりの売れっ子だった役者さんです。その後、自身で劇団を作ったものの、興行収入が振るわず莫大な借金を抱えたとも言われていますが、そうした時期とJUNEカセットブックなどにかかわった時期とがどうも被るんです。
お金のために何でも手掛けたのかもしれません。
しかし、それがあったからこそ、今日のBLCDがのちに故・塩澤兼人さん、また当時はデビュー間もない三木眞一郎さんや森川智之さんをして「BLドラマは面白い!」と言わせ、多くの実力派役者さんがBLドラマに参入するようになったと言えましょう。
三ツ矢さん、本当にありがとう!感謝の気持ちは★5つです!