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こちらのサイトでは「耳たぶの理由」が一番人気のようですが、私はこの作品をいちおしします。
出生時に母を亡くし父と二人暮らしの雅樹は、出生の秘密を探るため祖父のもとへ訪れる。
母の愛した花盛りの庭にいた、母に生き写しの少女・瑞穂。
弱くはかなかった母とは違う、強く輝く瑞穂に惹かれていく雅樹。
そんな二人のラブストーリーかと思いきや、爆弾が仕掛けられています。
無力な子供にとっては親が自分の世界のすべて。
祖父に語ったように、雅樹は愛情に飢えた子供だった。
求めてはいけないものにすがって生きてきた。
拒む雅樹の伏せられた目と細い指に萌えますねー。
高校生編、母・佐保子編で1冊、娘・春佳編で3冊の続編(ごめんなさい、文庫版ではなくB6版でのデータです)と、快楽宴より国枝彩香名義で4冊の同人誌が発行されています。
この作品があったからこそ、国枝さんが生まれたのですよ。
憎しみではなく二人の間が愛情のみで結ばれた日々や、瑞穂を愛しながらも過去の呪縛から逃れられずに苦悩する雅樹なども読めます。
あっと驚く相手と結ばれていることについては、坂井さんらしいと言っておきますね。
ラブストーリーを読んでいるというよりホームドラマ、ヒューマンドラマを読んでいる感覚です。
それもドロドロのサスペンスドラマ風というか、そこにやはり時代を感じてしまいます。
BLと言うのとはちょっと違う…。
少なくとも男性が2人出てきて愛し合うような描写はありません。
主人公・雅樹は絶縁状態になっていた祖父の元へ、自分の出生の秘密を探りにやってきますが、そこでは亡くなった母親に生き写しの少女、瑞穂が祖父の情夫として暮らしています。
正確に書くのであれば、カップルとして惹かれあっていくのは雅樹と瑞穂の2人です(この巻だけみれば)
一つ屋根の下、一つの血縁関係者でもたらされる雅紀の出生を取り巻くちょっと暗めのドラマです。
ネタバレをしないほうが楽しめるので、細かい内容は省きますが、非常に重たい話なので、多少の後味の悪さを感じてしまいました。
バッドエンドではなく、むしろ希望あるラストなのですが…。
救いは雅樹と瑞穂の性格が明るく飄々としていることでしょうか。
特に瑞穂の「威勢が良くて後戻りしなくてそこが好きだ」と雅樹が形容した性格は非常に好感がもてました。
こういうお話って、少女マンガにしてもBLにしても最近見かけないなぁと思います。流行廃りがあるでしょうが、やはり時代を感じますね。
これ一冊でも完結しているお話ですが、続編もあるようなのでそちらチェックしたいです。何より絵が昔ながらの優美な少女マンガといった体で素晴らしいと思いました。