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ゴスエロで創刊したタナトスから2冊目の刊行作品です。
ここは、新人作家さんばかりを発掘していく路線なのでしょうか?
ジャンルは隔たってますが、新人さん注目にはいいレーベルかもしれません。
さて、お話はアンデルセンの「ナイチンゲール(王子と小鳥)」をベースに作られております。
王子はそのままレオパルド国王、生身のナイチンゲールは10年前に処刑された王子の情人フェルナンディド、機械仕掛けのナイチンゲールはフェルナンディドに似せて造られた快楽人形・ホムンクルスのシャルルです。
ホムンクルスといえばあの有名な某マンガ・・・"賢者の石"の代わりに核となるものは番となる相手の"精液"でございます。
錬金術師のコクトーが王からの依頼で造ったのは、王がかつて愛して裏切られた恋人フェルナンディドにそっくりな、快楽の為の人形シャルルです。
城へ連れてこられたシャルルはまだその機能を完全にするための"核"が入っていませんので動くことができません。
しかし原材料は亡くなったフェルナンディドの遺髪を元に造られていますので(多分DNAのなせる技?)感情はあるし、思考もします。
ただ、快楽人形と銘うつだけに、そちらのほうは無条件でインプットされておるようです。
物語はシャルルの移動の景色と、王のレオパルドの回想以外、舞台が城の中から出ることがありませんから、全てが王の葛藤とシャルルの葛藤で進んでいきます。
実はレオパルドに人形を造ることを進言したのは、側近のエヴァンなのですが、彼の存在により最後の秘密の解き明かしが為されていく要注意の人物です。
そして、錬金術師のコクトーも怪しげな過去がありそう。
造る人形全てにシャルルという名前を与え、何やらワケアリそうですが、彼の過去は一切語られません(後日彼の物語は語られるそうですが)
シャルルを通して、本当に自分が欲しかったものは何なのか?どうして彼は自分を裏切ったのか?彼は一体情人であることをどう思っていたのか?
レオパルドはその答えを見つけます。
またシャルルも王やエヴァンから、自分は一体どうありたいのか、真実を見つけ出します。
童話では逃げた小鳥が戻ってきて唄を歌いますが、これは機械仕掛けの小鳥が唄を歌ったととるべきか、機械仕掛けが昇華して本物になったというべきなのでしょうか?
全編通して切ないけど甘い雰囲気の展開になっております。
技術はあの錬金術漫画を連想ですが、BLとしては"ハイブリッドチャイルド"をエロくした版みたいな感じもありました。
ただね、絵が・・・表紙の王の服装と顔がマッチしなくて、それに裸体の描き方がちょっと怖い!?
ロマンチック好みの方にお勧めします。