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「世界が終わるまできみと」で杉原さんにはまって何作か続けて読みました。
が、ちょっとスロー展開ラブに自分がじれてきたのか(オイ)、
ここ何作かはちょこっとだけスルーしてきました(汗)
でも、久しぶりに読むと
「やっぱりこの文章の美しさはときめく~」
とばかりに一気にスルスル読めてしまいました。
杉原さんの場合、正直、キャラ萌えより文章萌えの度合いのほうが高いのかな…。
(自分の場合)
本当にあちこちで「いいな~、この表現」と思わされました!
素敵!
ちょっとしたトラウマを持った受けの遼くんも、慎重にその子にアプローチしていく攻めの水原さんも、今回はとても魅力的だったと思います。
優しくてジェントルマンな攻め。
心が洗われました!
ジェントルマンですが、がっつくとこはがっついてくれるとこも理想的でした(笑)
途中までは「萌えかな?」って気持ちで読んでいたのですが、
最後のしめの文章が美しくてそこで少し評価が上がりました。
読み終わってみると、宝井さんのカバーイラストがまたしみじみと素晴らしい…。
本当にこのレーベルの装丁はいいですね!
装丁こみで神評価にさせていただきたいと思います。
この作品、すごく好みです。
ゆっくり、慎重に、遼の心に踏み込んでいく、英之の丁寧さがいいです。
それを受けて、自分で、しっかり、自分の心と向き合う遼も好ましい。
杉原さんの作品楽しみ所は、「恋愛している自分を、自覚して」、「受け入れる」過程だと思っているので、杉原さんらしさをとても堪能できた。
また、遼は、子どもの頃のトラウマ故か、自分の中での心と体の繋がりが希薄で、
割合と簡単にセックスを受け入れてしまう。
その点では、(描写はあっさりでも)読者を焦らしすぎないのもいい。
もちろん、ちゃんと、心と体が結びついてからは、とっても甘い。
元々、杉原さんの文章のリズムは相性がいいのか、すんなりと読みやすいのですが、これも、2段組びっしりの本なのに、最後の方は読み終わるのが惜しい位に、するする読めてしまいました。
実に、実に、好みのお話でした。
そうそう、この作品に関しては、CD化しなくていい
っていうか、音も、絵もいらない。
寧ろ、抽象的なごく無地に近い表紙の、質感のいいハードカバーで、挿絵もなんにもない本で読みたい、と思いました。
メインカップルが割と簡単に体の関係を結んでしまったので。
やや拍子抜けをした部分もあったのですが。
その後、心の距離がなかなか埋まらないのが、
じれったくて仕方ありません。
端から見れば十分、「君は恋をしているんだよ」という状態なのに、
それを認めない(認められない?)遼。
頑なな遼の雪解けを、急がず、優しく待っている英之。
そんな二人の静かだけれども情熱的な心の交流が、
どちらかというと淡々とした文章で丁寧に描かれていきます。
英之と遼を深く結びつけた子供時代。
ひと月だけの同居生活には、ほのぼのと泣かされました。
喋らない子供の為に、英之が開いた上映会。
ここの場面はもう、映画のワンシーンのようで。
徐々に明かされる遼が人を愛せない理由には、
こちらの胸まで痛くなってしまいます。
似た者同士で不器用な父と息子が切なくて、哀しい。
そしてこのタイトルの意味が最後に分かった瞬間……
作中、ところどころでウルウルッとなり、目頭を熱くしていましたが。
ここでは本当に感動しました。
ガツン!とやられて、だらだら涙が止まらない。
とてもいい作品でした。
家族物がお好きな方にはオススメではないでしょうか。
静かな夜にじっくり読んでもらいたい一冊です。
ネタバレなしで書きます。
最近読みましたので、記憶の新しいうちに。
攻めは父親の影響で映画業界を志した、映画ライターの英之。
昔、父親から見せられた無音のフィルムが記憶に焼きついています。
受けは子供時代にひと月だけ英之と同じ部屋で寝起きした、大学生の遼。
彼もまた、映像という世界に生きています。
英之は先輩から素人の投稿作品を見せられ、その中に記憶に焼きつけられていたフィルムに良くイメージが似ている作品を見つけたことが再会のきっかけとなります。
大学でフィルムを撮っている遼のOBが英之の先輩でその縁で紹介してもらうのですが、遼が自分を覚えているのか読めず、英之は大人のいやらしさで自分からは告げないんですね。
反面、遼は自分の今をかたどった英之をずっと忘れず、いつか出会えるのではないかと心に留めて暮らしていました。
十年前の遼は家庭の事情が影響しひじょうに無口で表情を変えない子供でしたが、英之が自分に対して示してくれた誠意がキラキラ輝く特別な記憶として残っているんですね。
遼は自分の健康であったり生活にまったく興味がないのですが、唯一執着するのは英之の存在。
そこがとっても純粋で、英之にだけベクトルが向いているといった一所懸命な遼にホロっとします。
彼が経験してきた悲しい幼少期の記憶は英之と共にあることで、きっと良い部分も探すことが出来るようになるのではないかと暖かい気持ちになる作品でした。
フリーの映画ライター水原英之は、偶然観たフイルムコンテストの応募作品からかつてひと月だけ一緒に暮らした笹塚遼と再会します。
一瞬でしたが過去を共有したふたり。
過去と現在を行ったり来たりしながら静かに話が進んでいきます。
「遼 壊れないものはないんだよ」英之のその一言がとても印象に残りました。
誰も好きにならないと心を閉ざしながらも子供の頃からずっと英之を思っていた遼の心を解き放ったのは、遼が心を閉ざす原因となった遼の父が残したフイルムでした。
タイトル通りサイレントフイルムを観ていたようなそんな読後感でした。