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度重なる発売延期に、期待と落胆を幾度も繰り返して漸く手にした吸血鬼シリーズ5巻目。
いそいそと読み始めて、あっというまに本編終了。
面白いのは面白いのだけど正直、
え…………? こんだけ?
と思った読者が一体全国にどれだけいたことでしょう(白目)
そんな絶望を余所に読み始めた暁の過去編に、心の隅で「こんだけ?」と落胆した自分を殴ってやりたくなりました。
このタイミングでこの話を投入してくる木原さんに、なんかもう仰け反りそうになる。
元から人物を掘り下げて書くことに長けてる作家さんですが、その心理描写は秀逸。
人間の汚い部分、思わず目を逸らしてしまいがちな汚れを、見ないことになんて出来るかとばかりに書き綴ってます。
それゆえに深みや愛着を増してゆくキャラクターに読者は引きずり込まれてゆくのだなー……と。
次巻を読めるのは一体いつになるのか……と不安を感じつつも楽しみにして待っています。
こらえきれず読んでしまいました…。
本当すごくとてもおもしろいです。
続刊を待ってまとめて読むほうがより楽しめたかもしれませんが、もうしょうがない(笑)
既刊を読んで続刊を待つほうを選びました!
木原先生の作品はなんでこんなに惹きつけられるのか分かりませんが、すさまじく惹きつけられます。
おもしろい…楽しいほうのおもしろいじゃなくて魅了されておもしろいみたいな…。
萌えるともなんかちがう…あ、暁には非常に萌えていますが。
続刊を待つのをがんばります!
木原先生のほうが何万倍もがんばってらっしゃるのは分かっていますが、待つ読者もそんな心境になってきました〜。
5巻まで一気に読んだので、今までのすべての作品の評価になります。
とにかく、この吸血鬼シリーズ、ストーリー展開も、キャラも大好きです。
キャラはやっぱり、なんといっても暁!
口が悪くて、無愛想で、嘘がきらいで、でも、すごく優しい。
嘘がつけないから、うわべだけの優しさじゃなく、本当に相手を思って行動する。
素直じゃなくて、いじっぱりなところもある。
もう、かわいくて、いじらしくて、ぎゅーっと抱きしめたくなります。
この巻では、この暁の過去もあって、こんな性格になった過程がわかって、苦しいけど納得してしまいました。
この過去があって、今がある。だから、アルなんだと思わされます。
ストーリー展開も、最初は無理やりの同居。
慣れてきて、でもいつかは別れなくちゃいけなくて。
一度は別れる2人。
そして依存から対等へと向かう関係。
ほのぼのして、切なくて、でも笑えて…。
いろんな想いがぎゅっとつまった作品です。
それにしても…毎回アル、大怪我しすぎだよね?
どんだけアルが無謀だからって、こんなに毎回死ぬだろうか?
でも、その時に暁が優しくなるから、全然ありなんですけどね笑
「なんでアルが黒髪?」
下村さんの美しい絵を見ながら感じた疑問が読んでいくうちに解明します。 自立していく彼がまぶしくて嬉しい。
番外編は…
眠れなくなるかもなので、覚悟してお読みください。
木原音瀬さんの人間描写は本当に容赦がなくて、辛いけど、大好きだ。
暁にとっても。
何故、アルでなくてはならなかったのか。
それがよくわかる一冊です。
一巻からまたちゃんと読み直そうかな。
暁にアメリカにおいていかれたアルは悲しみに暮れますが、いつか日本の暁の元に帰ることを心の支えに、エンバーマー・パットの元でアルバイトを始め、自立の道を歩き始めます。
ある夜、リチャードのせいで恋人が自殺したと思い込むスタンが、アル殺害の罪をリチャードにきせるためにアルを襲い、吸血鬼には致命傷となる銀の刃物を心臓に突き立ててしまいます。アルはキエフの血を飲み命を取り留め、ほぼ完全な吸血鬼になります。
行き場のない愛を抱え破滅したスタン。アルが暁への愛を自分は力に変えようと決心するくだりが、鮮やかな対比となって胸を打ちました。愛に正解はないけれど、やはり愛には絶望じゃなく希望があってほしい。
本物の吸血鬼になり蝙蝠でいる時間が激減したアルは、工夫すれば昼間も働くことができます。自立した人間として暁の前に立つことができるようになったからこそ、暁が自分を受け入れてくれなくても彼の人生を見届けたい、と思えるようになったのですね。アルはやっと自分なりの愛にたどり着いたのだと思います。日本に向かったアルを暁はどのように迎えるのでしょう。
番外編は、暁の幼少期からエンバーマーになるためアメリカに留学するまでが描かれています。
叔父の虐待、失火を自分のせいにした叔母、特に養護施設の園長・諫早の嘘の数々が暁を人間不信にしてしまいます。
大人はなぜ嘘をつくのか。暁の問いが重く胸に迫りました。明確な答えなど持たない私にとって、オカマのイングリットの言葉は衝撃的でした。「嘘をつくのはね、弱い人間なの」、「今はその人のことが嫌で許せないかもしれないけど、そんなの一生続かないのよ」。本当にそうです。そして、諫早のように嘘をつくことに慣れたくないと思いました。アメリカに留学したことのある諫早は、リチャードという強力な後ろ盾を得た暁に、複雑な思いもあったのかもしれません。
暁が生きている人間を愛さない理由も明らかになり、思わず2巻でゲイの室井の告白をすげなく断る場面を読み返してしまいました。初めて読んだときは笑ったのですが、もう笑えなくなりました。
遺体の諫早と再会し、暁はイングリットの言葉通り過去には折り合いがついていくのだと感じます。でも、アルのことはまだまだ折り合いが付きそうになく…。
二人の再会の機も熟し、次巻はいよいよクライマックスでしょうか。
アルが蝙蝠になる時間は少なくなりましたが、蝙蝠アルと暁のやりとりが楽しいので、また出てくるといいなと思います。