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3冊全部読んで、面白かったとも言えるし全然面白くなかったとも言えます・・・。
お話自体は面白かったとはっきり言えるのですが、キャラクターの性格がストーリーそのものには上手くマッチしているのに恋愛部分にマッチしていないというか・・。上手い言葉が見つからない。
吉家は自分の性的嗜好の葛藤からお見合いを受け、相手の女性と結婚する決意をします。
相手の女性は魅力的だし、これでも幸せにやっていけるかもしれないとか、相手に自分の嗜好を隠したままでも大丈夫じゃないかとか、社会的な常識を踏み外したくなくて、実りの少ないゲイライフが辛くて女性との結婚を選択をしてしまう人はこういう考えをしているんだろうなぁと思いました。
全部が嘘ではないけれど、一生嘘は背負わないといけない。
そんな中、社内をイタズラメールが飛び回り、その差出人は毎回違って、しかも全員「自分はやっていない」と主張します。そうしている内に築島が「自分がやった」と自白して辞職を申し出ます。
築島がそんなことをするはずないと分かっている吉家ですが、築島と少しずつすれ違っていき、吉家は結婚、築島は退職、ここですれ違って終わってしまうの?ってなるのですが・・・
ここまで来てやっと2人の関係が進展します。
受け攻めが微妙ですが、吉家はスピンオフ作品ではネコだったのでやっぱり受け側なのかな?
2人がくっつくのを待ち望んでいたはずなのに腑に落ちないところがまだまだいっぱいあります。腑に落ちないというか、せっかく上手くつくったキャラクターの持ち味を説明しきれないまま終わっている気がしてならない。
まず、築島のほうが優秀なのに吉家の顔を立てるような行動をずっととってたことや、吉家を別の女性にしきりにアピールしていたこととか、築島のちょっと度を過ぎるくらいの自己犠牲の説明も弱い気がする。
波風を立てるのが嫌で、事故が起こりそうなところに先回りしては自分が身をていして穴をふさいでしまうところ、でもその仮面もふとしたことで剥がれてしまう意外な弱さとか、この性格の複雑さや不安定さを3巻でやっと露呈したと思ったら説明しきれないまま終わってしまったという感じです。
ページか足りないまま終わった感じというか。
でも3冊もかけてページが足りてないというのもちょっとう~んって思います。
築島が吉家に好意を持った理由は「入社テストの日に消しゴムを拾ってくれたから」。
単純ですがとてもしっくりくる理由です。恋なんてこんなもんじゃないかーとも思えます。
ですが吉家が築島に好意を持っていった理由はもっと複雑。築島が一目ぼれだったと言っているのに対して吉家は最初は築島が苦手で、好きになって行く過程には築島の厄介な性格が深くかかわっているのにそれを上手く伝えきれていないような・・・。
ここまで恋愛っぽい展開が少なめできたから、ここにきて急に発展した関係を疑問に思うのかもしれません。
だとしたら何だかこの「ゆっくりすすむ」という設定自体ちょっと失敗してる気もします。
お話としてはすごく良く、キャラクターもそのやりとりも良かったです。
でもBLで恋愛を扱った小説という点では評価したくてもし辛いな、というのが正直な感想です。
好きだからよけい納得いかない感じです。
私こういう結末が読みたかったのかな?て思うしもやもやする。(結末はハッピーエンドなんですが・・・)
多分、好きだと思えた組み合わせでその2人をわくわく見守ってきたのに、見返りがすごく少なかったというか・・・そんな気分です。
小説として、ある程度の進展は読者に対する義務では・・・とまで思ってしまうくらいです。
でもやっぱりキャラを上手く作ってはいるんですよね・・・。
物足りないといえばすごく物足りないです。