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読み終わった時、暫く脱力して動けなかった作品。英田サキ先生の『神さまには誓わない』を読んでからあまり間をおかずに読んだのですが、輪廻転生ものとしては至極似ているようでいて、また違った衝撃を受けました。というか打ちのめされたという感じ…。おそらくこの作品では最後に「希望」というより「諦念」に近いものが提示されているからかもしれません。
『恋愛時間』の有田の弟・英一が主人公。レビュー前の印象では『恋愛時間』は陽、『LOOP』は陰といったイメージでしたが、『恋愛時間』も結構終盤はしんみりしてるんですよね。有田兄弟って、なんか背負ってるのかしら。。じゃないと物語にならないか。
大学生の州脇は幼い頃から宮澤という名の別人格を抱えていて、彼と心の中で会話するのが常だった。宮澤は同じ大学の有田英一が前世で恋人だった女の生まれ変わりだといい、彼(女)と少しの間だけでもいいから一緒に過ごしたいと、身体を貸して欲しいと要求する。女の生まれ変わりとされている英一は、州脇が繰り返すツンデレに戸惑い、ストーキングに悩まされ、次第に追い詰められていきます。
攻めの執着っぷりは木原作品の通常運転ですが、最後の方はもう、英一と一緒に修羅場を乗り越えたような思いでした。今まで読んできた木原作品の中で一番読んでいて苦しくなった作品のような気がします。何処にも逃げ場がないっていうか、救いがないっていうか…。
こういった形で同性愛を描くなんて凄い発想ですよね。最初は不思議な設定に思えてよく掴めませんでしたが、読み進めていくうちに話が見えてきて最後まで一気に読み終えました。ストーリー自体も凄いけど、着想そのものに感服です。漁師だった州脇の祖父の家で、英一と州脇が二人だけで過ごすエピソードが幻想的な映画のワンシーンのようで印象的でした。(二人には一応、蜜月もあるんです…)
前世で犯した罪の償いを来世で行う。でも幸いなことに記憶が無いからこそやり直しが可能なのであって、記憶を保持したまま生まれ変わってしまったらそれこそ"loop"。もし人が転生するのだとしたら、許すってことは忘れるってことと同義なのかもしれない。そう思った、ある意味怖いお話でした。
このところ木原音瀬強化期間に入っており、タイトルが英単語のものを中心にトライしておりました。その一環で、予備知識全く無し・あらすじも極力読まずに読みました。
なるほど輪廻転生ものか…かなり障害は大きいけれど、一応BLなんだしどうにかしてくっつくんだろうけど、どうするんだろう?と思っていたら…普通にストーキングかい!いやそれしか方法は無いでしょうけども…何らかの切っ掛けで絆されるなんて展開にはならないのが木原先生らしいなあと。そして『宮澤』の執着が常軌を逸しており、前世の女性『文』との記憶が綺麗事とは程遠いらしいことがちらりと明かされる部分で背筋が薄ら寒くなります。
しかしそれを打ち消すようにやがて有田は『洲脇(宮澤)』を受け入れ、優しい言葉に満足した『宮澤』は成仏するのです。(後から思えば何と身勝手な…)
宮澤の存在は亡くしたものの、有田を愛した感覚と記憶を残されてしまった洲脇は結局、有田を求めることになり…。普通(のBL)だったらここでめでたしめでたし、二人は幸せにいちゃこら暮らしましたとさ、で終わると思うのですが…残念ながらそうではありませんでした。
ここから先は、私は完全にホラーとして読みました。具体的には166ページからです。むしろ一度そう感じてしまうとこの小説、最初からそう読めなくもないのです。(題字も良い感じに歪んでますし…。)正直、“前世”編である『文』の記憶は本気で気分が悪くなり、宮澤が憎らしくなりました。堕胎ネタ苦手ですし。ですが非常に面白かったです。
何より怖いのが、洲脇が宮澤の記憶を全て知っていたこと。夢で共有していたのだから当然ですが監禁凌辱についても、「それほど想いが強かった」ということで正当化しているように思えます。洲脇にとって問題だったのは始めから「男同士」という部分だけだったのでしょう。
もう一つは、有田は最後まで『洲脇』が『宮澤』だったと知らないことです。…まあどちらに関しても知らぬが仏というわけで、有田と洲脇が幸せになれたなら良いじゃない、という話ですが…。
蝶の舞う白い打掛けに赤のコントラストの情景、eternalの先の見えない感じと、もう何とも言えない読後感がたまりません。
徒労感も少し覚えましたが、ホラーとBLのハイクオリティなハイブリッドに敬意を表しましてこの評価で!(もう何を言っているのやら(笑))
うーんでも文さんかわいそう。
BLに限らず輪廻モノのラブストーリーは色々と読みましたが、その設定はたいがい「前世では愛し合っていたのに結ばれず…」という形がほとんどです。
そういう輪廻転生恋物語の名作としては、『リング』の作者の鈴木光司さんのデビュー作『楽園』がめっちゃ面白かったので、オススメしておきます。
でも木原音瀬さんが書くと、単純な設定にはならない。
片方は頭がおかしくなるほどに愛していて、
片方は殺すほどに憎んでいる。
そんな二人が今世で出会ったらどうなるか、というお話です。
主人公は小さなころから、自分のなかに「前世の自分」がいるのを感じている。
この「前世の自分」は、最低最悪の人間です。簡単に言うと、狂ったストーカーなのだ。ストーカーした相手に憎まれ、殺されて、それでも未練があって、そのせいで主人公のなかでまた生きることになったのだ。
今世で「前世の自分」は、彼がストーカーしていた女の転生した人間を見つけます。
いろいろあって、「前世の自分」は思いが満たされてあっさりと成仏してしまうんですが(きっと地獄に行ったことでしょうw)、残された二人に待つのは悲惨な運命。
愛し合ってても、前世の記憶が邪魔をして、受けが攻めを「生理的に受けつけられない」という状態が続く。
ラストが良かったです。
結局二人を救ったのは、受けの前世である女の、死ぬ間際のかすかな「想い」だったんだと思った。
LOOPというタイトルの意味を噛みしめました。
ちなみにこの作品は、『恋愛時間』のスピンオフ作品です。
『恋愛時間』は兄の話、『LOOP』は弟の話。
主軸となるストーリーにかぶるところがほとんどないし、そもそも作風がまったく違うので、どっちから読んでも大丈夫です。
攻めと受けの関係が特殊で、過去と現在で同じ魂を共有しています。攻めが受けを見つけて、不幸だった過去をやり直したいと近づいて、ストーカーじみた行為をしてました。攻めは振り向いてもらえない受けを監禁して犯して、攻めのやっていることは純愛だけど方向を間違えて、大変なことになりました。ストーカーされて、あんなに怖がっていたのにどんどん惹かれていく受けは攻めの純愛を感じたからだと思います。この作品は暗くて痛いだけどちゃんと両想いになってよかったですね。
まず簡単に内容を説明します。
州脇の体の中には宮澤という男がいます。宮澤は過去に愛した女への未練が昇華できず、現世の州脇の中にとどまっていました。
そんなある日、宮澤の愛した女・文の生まれ変わりである男・英一に出会います。
宮澤は州脇に「一ヶ月だけ体を貸してほしい」と言い英一につきまとうようになります。
木原先生の作品はBLってだけじゃなく設定もとてもおもしろいですよね~
自分の中にもう1人いるってどんな感じなんでしょうね。
でもこの宮澤さん、すごく怖かった…w
英一は自分の前世なんて知らないので自分を好きだと言う州脇(宮澤)が気持ち悪くて距離を置きます。しかし英一の顔が見たいという理由で州脇(宮澤)はまるでストーカーのようになります。
よく警察に通報されなかったなと思いますよほんとw
宮澤についても段々わかってくるんですが酷かったです。
確かに文を愛していました。でも愛しすぎて狂ってしまったんでしょうね。
そういうことをまた州脇の体でもやってしまっているし、また宮澤じゃなく州脇自身も宮澤のようになってしまいます。
まさにLOOP。
最後はハッピーエンド…ですがやはりどこか切ないというか不気味な感じでしたね。ただ、宮澤と文のようにならなくてよかったと思います。
『eternal』ではその後の話。英一の叔父もでてきます。
「お前が死ぬ時には、一緒に殺して」
この一言がすごく印象に残りました。切なくて痛いですが、ぜひ読んでみてください*