ボタンを押すと即立ち読みできます!
苦しんでる自分が好きなんだろ?
読み終わりまして、ここ最近のプラチナ文庫の剛しいら作品は、実にヒットしていると、自分的好みにドンピシャきてると、これが興奮せずにいられましょうか(激しく興奮)
ちょっとほの暗く、淫靡な雰囲気も漂わせ、秀作続いているのでは?と思わせます。
しかも何と何と!!あの、華麗なるSM調教の勅使河原教授が登場!!
ワタクシが愛してやまないご主人様テッシー(勝手にニックネーム)作品のある種スピンオフになっていたのです!!
しかし、テッシー編を読んでなくても大丈夫です。
このお話は緊縛師と花形女形のお話で、教授はアドバイザー的、緊縛師の顧客という形での登場ですから。
付け加えると、あの見事な奴隷の青砥も登場、ペットのネコちゃんは登場いたしません(残念)
この二人の出会いは、教授の行う緊縛講習に師匠と共に出向いた先で目にとまったのが始まりです。
その後師匠が亡くなり、家や遺産を全て受け継いだ弟子の龍地の元へ、草矢が訪ねてくることから関わりが深くなっていくのです。
龍地が緊縛師になった理由。
草矢が縛られたいと望む理由。
それは、それぞれが過去に体験したこと、そしてうっ屈してかかえているものから解放されるための行為である部分は、緊縛の世界においての王道路線かもしれません。
梨園の名門で、一流の女形であるという設定も、そこに抱える内なる問題というのは想像すれば容易に考え付くもので、決して目新しい設定ではありません。
しかし、それが引き込ませる魅力を感じるのは、甘い恋愛に流れて行かず、それぞれの仕事を尊重した上でのバランスを保つ関係へと、コントロールする姿があるからかもしれないのです。
かといって、縄師と客というだけのドライな関係でもない。
まず、草矢の抱えるもの。
天才であるがゆえ、周囲から日常の総てを縛りつけられ、何故まだ肉体をも縛られたいと思うのか?
月並みな言い方なら緊縛が抑圧されたものの解放であることに間違いがないのですが、
彼の日常は女王様です。一見Sなのです。
SとMの表裏一体の姿を彼の中に見ることができますね。
彼が緊縛されて恍惚としていく様は、エロスですv
その唯一緊縛による解放を与えてくれるのが龍地であるということで、彼にのめりこんでいくのですが、彼にも芸に対するプライドや一流としての向上心があるので、決して堕落しない。
龍地と居る時にだけ、縛られる時だけ変化する、それが見事で気持ちがよいのです。
一方、龍地は緊縛の世界に入ったのは、姉へのこだわりからでした。
亡くなった姉を縛るという行為で、つぐないをしていたようですが、草矢があらわれたことで、自分の為に草矢の為に縛ることが出来るようになる。
中盤まで、教授が登場してSとしてのご主人さまになれる要素などを彼に説いておりまして、彼なりに悩み、恋愛と仕事をどうやってわけるか考えるように仕向けてある。
緊縛は仕事であるのに、そこに色恋や欲情が介在してはいいのだろうか?
そこがいっしょくたにさせずに、エンドにもっていくところが、ただのエロ甘な話にならず、一種の禁断的ストイックさを感じさせる部分に繋げていて、いいな、と思った部分ですね。
全体を通してイラストも少なく、緊縛の絵も少ないのですが、それがなくても文章だけで緊縛絵図が浮かんでくる描写は見事でしたw
同じような緊縛師ものに、コミックでは「春宵縄化粧」、小説では「がんじがらめの気持ち」がありますので、比較するのも一興かと思います♪
そしてできうれば勅使河原教授のお話も是非~www
タイトル、カバーイラストやあらすじだけ見ると、おどろおどろしげなSM物みたいですが、そこは、剛先生、ただエロいだけ痛いだけのSMじゃあありません。
梨園の御曹司として、まわりからのプレッシャーや、自分自身としての芸へのプライドなどに雁字搦めに縛りつけられている草矢が、緊縛師龍地のもとに求めにきた物は、ただ単に、自分の身体を直に縛るだけの縄ではなくて、
龍地もまた、草矢との関係をどう進めていくのかを決断することで、
それぞれに絡みついていた縄を断ち切ります。
剛先生の作品のいいところって、主人公達が自らの道を、自らの決断で踏み出す潔さでしょうか。
この作品も、緊縛がモチーフですが、痛めつけるためだけの怖いSMではありません。
むしろ、日本の伝統芸能としての緊縛の知識が広がる楽しみの方が大きいので、おすすめです。
嵩梨尚先生のイラストが、淫靡な匂いを漂わせています。
プライド高い草矢、草矢の縛られたい欲望、緊縛師の龍地、
龍地に縛られた事によってどんどん堕ちていく。
堕ちるのは地獄でも、奈落の底でもなくて、甘い愛の世界でした。
呪いとして、龍地が草矢の左手薬指に三味線の糸を巻き付けるシーンがありますが、私は、このシーンが一番好きです。
甘える事を許されなかった草矢が龍地にだけ甘える…龍地はそんな草矢を支配していく。
SMですが、かなり甘いお話だと思います。
緊縛師ものなのですが、
雰囲気が薄暗く、より雰囲気を作り上げているように感じました。
何とも表紙のイラストもドキドキしてしまいますね。
歌舞伎役者の草矢は、縛られたいという欲求が抑えられず、
緊縛師、龍地に縛ってもらうべく訪れる。
徐々に草矢は、龍地に執着していくのでした。
そして、龍地も草矢を自分のものにしたいと思うようになります。
何よりも、たまらないのは、
幼いころから歌舞伎役者として育ち、プライドが高い草矢が、
縛られることで、その時だけ隷属するようになる様子です。
読んでいて面白いのは、
縛られることに興奮を覚えてしまい、
龍地にひれ伏すのですが、
それは、人としてのプライドを折ってしまうことではない。
という点です。オン/オフのような感じでしょうか。
だからこそ、最後も爽快感があってよかったです。
エロ・グロ・バイオレンスが好き。淫靡で耽美なJUNE小説も好き。
縛り、拷問、折檻、お仕置き、若しくはご褒美など、密かにツボる言葉がある。
障子、または襖の陰から、そっと覗う、ある意味真っ当な人間にとって、エスエムはこのくらいの温度が丁度いい。
好奇心を満たされ、登場人物に好感度をもち、いろいろ考えさせられ、面白かったと本を閉じられる。
痛いのは嫌い。嫌いだけれど、気になって仕様が無い。だからつい、ふらふらと腐海の中から、面白そうなお宝を探してしまう。
そんな貴女にお勧めです。
勅使河原教授に怒られてしまうかもしれないけれど、痛いのは嫌いな隠れM様に一言。
「一緒に覗き見しませんか?」