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伊郷ルウさんはあまり好んでは読まない作家さんなのですが、受が料亭の若旦那ってとこと高階さんの和服姿にひかれて手に取ってみましたー。
観音寺〔攻〕は大手の飲食店チェーンを幾つも手がける社長で、佐和〔受〕は老舗旅館の跡継ぎ息子。
彼らはどちらも父親を亡くし、若くして跡継ぎとなった身であります(といっても観音寺の方が年上だけど)
しかし一見様お断りの老舗旅館は経営危機に陥っており、佐和は融資先を必死で探していますが見付からない。
そして観音寺は、佐和の旅館の買収を持ちかけるのですが断られてしまいます。
けれど融資は欲しい佐和に対して、観音寺は彼の身体を担保に5千万円もの金を融資してくれます。
いわゆる借金のカタにお前の身体をもらうぜ~なパターンなのですが、観音寺は佐和に惚れてしまっているので強引ではなくて凄く甘く優しくしてくれる上に、最後まで犯ったりもしません。
パターンに反して話としては結構甘い恋愛話に仕上がってます。
読みやすい文章なのでサクサク読めちゃうのでちょっと物足りないっちゃ物足りないけど、そこに和服エロのテイストが入ってくるのでそこが萌えポイントだったかな。
内容はまあ普通です。
ただあとがきで和服エロシーンに担当さんからイエローカードが出た部分があったとあり、え?ってなりました。
エロ描写は別にハードじゃないんだけどなあ、強引でもないし特殊プレイもしてないし、どこがイエローだったのかが謎です。
誤植が一箇所ありましたが、気付いたのはそこだけなので気になる程ではなかったです。
あと高階さんの和服挿絵はやっぱ良かった~!
伊郷ルウさんの本は発売されると、最近は当り外れが多いなーと思いつつ買ってしまう。
今回のお話もほどよく面白かったのですが、凄く面白いと言うわけでは無かった、安定感があるのだけど、こんなもんかなぁ・・・と。
会社社長と老舗料亭の跡取り息子の「資金援助の担保は君だ」というよくあるパターンの話です。
でも体が担保と言っても、それぐらいの気持ちが無いとそんな大金を融資して欲しいなんて軽々しく言っちゃいけないよ、という感じだったので攻めが受けをどうやっても手に入れたいが故の傲慢な要求ってワケでもなく。
話はどちらかと言うと穏やかな淡々とした印象で、話の起伏はあるけれど展開も激しくなく攻めの観音寺も受けの佐和も優しく、穏やかな雰囲気だったからかなぁと。
恋愛部分が非常に薄く感じました。特に佐和。
本当に最後の最後まで、お相手の観音寺の事を好きなのかよく分からなかったし、いつ好きって気持ちを自覚するの?いつ口にするの?
あーじれったい。
話の流れがではなく、佐和が「観音寺さんの事が好きなんだ」という気持ちが分からないのがじれったい。
自覚するきっかけは一杯あった気がするんだけどなぁ。
佐和の伝統ある『きさらぎ』という料亭を継ぐという志は高く、そして真っ直ぐに存続させる為に心を傾ける一生懸命な姿には信念を感じ好感がもてました。けれど、佐和の頭の中は料亭第一で、恋愛は二の次といった感じ。この「頭の中は料亭で一杯」状態の流れでどうやって恋愛に進展するのか?
佐和が観音寺に心を開ききれない理由は以前、料亭に親しげな美女を連れて来ていて、その女性が恋人だと勘違いしていたから。でも、嫉妬するよう心を痛める描写もあまりなく、淡々と観音寺さんは恋人がいるのにどうして体を要求してくるのかな?程度で恋焦がれるような『熱』が感じられませんでした。
一方の観音寺は、買収問題抜きで年若く経験不足は否めないにしても頑張る佐和の姿勢に、真摯に料亭を思う気持ちに心打たれ助けてあげたいと思う。純粋に佐和のことを好きになってしまったから。
でも、方や買収をかけようとしている企業のトップと方や買収されようとしている料亭の跡取り息子。
今の立場は恋愛には分が悪い訳で。
手に入れたいけれど、今の関係では進展するものも進展しないと悩み、さてどうするか?と思ったりもする。
BLって受け側の悩んでる姿をよく書きだしてる気がするけれど、こうやって攻めの悩む姿も良いものです。
最後は意外なきっかけで、お互いの気持ちに気が付いてめでたしめでたし、なのですが。
観音寺は佐和の事が好きで好きで、何でもしてあげたいと思うぐらいに好きでというのが分かっているけれど、佐和側の告白が取って付けたように「好き」って感じがして。
一番盛り上がるシーンなのに、微妙な気分に。
本編後の短編は短いけれど、ぶっちゃけ本編よりも良かったです。両想いで本当に佐和も「好き」という気持ちが溢れていた。
本編もこの調子なら良かったのに・・・。
この作品で一番気になった部分は、佐和は幼い頃から着物に慣れ親しんでいて、着物着用時の下着は褌という徹底ぶり。褌のお尻部分はバックスタイルは「T」なのか?お尻を覆うような「▽」なのか?どーでもいいことがずっと気になっていた。
伊郷ルウさんの作品を初めて拝読しました。新人さんかと思ったのですが(情弱で申し訳ない)、ベテラン作家さんなんですね。大変失礼しました。
そうなると…ベテラン作家さんゆえなのか、本作はなんだか片手間にさらさらっと書かれたような印象を受けました。シナリオにしろキャラクターにしろ全く深掘りされておらず、感情移入できないまま読み終えてしまいました。
お互いにいつの間にか恋愛感情を抱いているし、本音と違うことを口走っては話を拗らせるの繰り返しで、そもそも観音寺が佐和に「融資の代わりに身体を要求する」という悪代官的あるある設定さえ実は攻の本意ではないとか…とんだ肩透かしです。大体、ノンケの男二人が出会って数回でそんな展開になることは不自然でしかなく、それでも攻(受)が受(攻)に強烈に一目惚れして渇望するぐらいの情熱があればBL作品的にはアリ、というだけなのに、それすらもないのでは観音寺はただのうっかりさんですよ…。
一方の佐和も、性的な快楽に絆されるにつれて観音寺に対する恋愛感情をなんとなーく感じていただけのようだったのに、観音寺に恋人が居ないとわかった途端に告白するとか意味が分かりませんでした。
高階佑さんの素敵な和装イラストに★1つプラスです。