自分だけが手なづけたと思ったのに……

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表題作花かぐわし

その他の収録作品

  • 花かぐわし~星をまくひと~
  • 花かぐわし~はじめてのチュウ~
  • チイがチーでチュー
  • 天然メープルシュガー
  • 星のまたたき
  • お砂糖惑星
  • あとがき

あらすじ

高校生の花本青司は入学式で、木の上から落ちてきた新入生・井上若葉と出会う。新入部員勧誘をする先輩たちに猫のように警戒心をむき出しにする若葉を目撃し、なんとなく青司は彼が気になってしまう。ある日、青司は若葉と一緒に食事をするが、自分に対して無関心な彼になぜか食べていたパンを差し出す。すると自分の手から食べてくれ、猫になつかれたようで喜ぶが……。 描き下ろし2編も収録!!

(出版社より)

作品情報

作品名
花かぐわし
著者
青井陽 
作画
青井陽 
媒体
漫画(コミック)
出版社
エンターブレイン
レーベル
B's‐LOVEY COMICS
発売日
ISBN
9784047279049
3.1

(8)

(1)

萌々

(0)

(6)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
24
評価数
8
平均
3.1 / 5
神率
12.5%

レビュー投稿数3

セリフのない主人公!?

ラスト1編が大学生な他は高校生が主人公の恋愛未満のかわいらしいお話。
何故か依田沙江美さんの高校生モノのマンガに雰囲気が似ている。
絵柄も心なしか・・・
全てcanna掲載の作品だったのですが、何故かBE-LOVEYにて出版。
この作者さんは古典が好きなのだろうか?
表題では万葉集の歌の引用があり、2本目では古文オタクの先生が登場し、別にそれはとってつけた風ではなくて、作品の中に自然にとけこんでいました。

表題でびっくりするのは、主人公の男子がほとんど言葉を発声しないこと。
しぐさと表情で、相手がそれをさっして「・・・なんだね?」「・・・(瞳キラキラ)」みたいに、それに返事をするという、一応心の声はあるんだけど。
それがアホの子風味をかもしてるんだけど、むしょうにかわいらしくもある不思議。
2年生の青司が校内を歩いていると、突然木の上から落ちてきた少年。
彼は新入生だった。
昼に、一人でお弁当を食べているところを見つけて近寄ると何となく警戒する気配。
そこでデザート吊ってみると・・・食いつく!
彼の名は若葉。
まるで猫のような若葉がきになって青司が後をつけると、ちーという男性に懐いて抱きついている姿を見る。
街で、この青年と偶然出会うと彼は青司の事をしっていて、若葉の世話を頼まれるのです。
人見知りをして、心を許した人にしか懐かない若葉が本当に猫みたいで、青司が好きで好きでたまらない表情が見てとれる。
それが恋なのか何なのかは別としても、特別であることには違いない。
おいしそうにお弁当を食べる青司の唇にチューしたいと願う若葉の妄想がおかしくて笑っちゃう♪
なんとも摩訶不思議な別に魔法とか非現実ではないのに、まるで魔法の国のお話みたいなファンタジーがいっぱいつまった、ほんとうにかわいいとしかいいようがないお話です。
巻末の4コマ漫画でこの若葉に喋らせてますwww本当にこんなだったら面白いなwww

『天然メープルシュガー』小さい頃迷子の所を助けてくれた遊園地のお兄さんの眼鏡姿が印象的すぎて、眼鏡姿の男性にトキメキを覚える高校生の主人公。
そんな時、古文の先生が産休で臨時でやってきた教師が何と眼鏡の先生で!
一体これは何ぞや?と自分の中で恋に格上げしていく高校生が、これまたかわいらしいお話。

『星のまたたき』家の手伝いでいっぱいいっぱいなのに、大学のバイトをうけてしまった大学生がうたたねの中で見た夢は本当にあった過去なのか?
これは、そこの再会の物語に到達するまでの寄り道が長く、一体関係あるのかどうかわかりづらいのが難点でした。
主人公が一生懸命頑張ってる理由もよくわからない。
ちょっと物語的に散漫な印象。

とにかくかわいらしいとしかいいようがない物語を描く作家さんですが、ラストの大学生ものの主題がよくわからなくなってしまっただけに、少し不安を抱きます。
かわいいだけでなくて、キュンとか切なさとかそれがもう少し伝わるようになったら作品の幅が広がるような。。。(上から目線ですみません!)


5

“男の子”達のやわらかい日常

花かぐわし
青井陽さんのことは同人誌時代から存じていました。
青井さんは、キャラクター全員にちょっとズレた感覚(天然ボケのような感じか、子どもっぽい性格)を持たせることで、キャラクターの可愛らしさを原形以上に増させて、キャラクターを“男の子”として描かれていました。
そうした愛すべき魅力を持った“男の子”達が出会って恋愛しながら日常を送っていくことで、何気ない日々をかけがえのない瞬間にする物語にしていたと思います。キャラクターの台詞やコマの表現も、“男の子”達の少しズレた感覚から飛び出してくるのでほほえましくも面白い。リリカルであたたかい作品達を生み出されていた作家さんでした。 この『花かぐわし』が商業デビュー作になります。

構成は短編が3編。不思議ちゃんと世話焼きな先輩の高校生同士の話、臨時採用の教師と眼鏡好きな高校生の話、夢の中で出会った青年と大学生の話で、どれも恋愛未満のような展開をしています。出てくる人達皆がちょっとトボけた、ずれたセンスを持っているので所謂悪い人というのが出てきません。同人誌時代からの作家さんの真骨頂であるコマのネタ回しや、手書きで書き込まれた台詞のちょっとした小ネタのようなギャグが十二分に発揮されています(一編目の「花かぐわし」で不良に絡まれるシーンなどはギャグ・ネタ回しが光って、シリアスなシーンになりそうなところをギャグシーンに変えてしまっています)。そのギャグが3、4コマに一箇所は組み込まれてくるので、シリアスな恋愛の空気が訪れそうになっても笑いで空気が抜けていくようになっています。全編を通して穏やかでちょっと笑えるお話として、上手くまとまっていると思いました。

気になったところとしては、作品をこれからどう展開させていくのかということです。今回は作家さんの「ネタ回し・挟まれるギャグの面白さ」という魅力に絞られて作品を作られているというように感じましたが、これだけではキャラクターを変えても同じ話になってしまいそうなのが怖いところです。「花かぐわし」と二編目の「天然メープルシュガー」が根っこが似たような話に落ち着いてしまったのもそのためだと思いました。それから、「はたしてこれはBLなのか」という疑問を拭えなかったことがあります。男2人が出てくるだけという理由ではなくてBLであるという意味を見ることができたらと思いました。

この二つの点の足りなさには、この作家さんの作品におけるもう一つの魅力(と私は思っているのですが)である、センチメンタルな恋愛描写がなかったからだと考えています。先に「“男の子”同士の日常をかけがえのない瞬間にする物語」と書いたように、リリカルなストーリーテリングとかわいらしいキャラクターだけでは「かけがえのない瞬間」にはならないのであって、そのためには日常さえも特別な瞬間に変えていくような「恋愛」というものが必要になってきます。そしてこの作家さんは、そういった「恋愛」の瞬間を持ち込ませるのがとても上手な方です。“男の子”という特殊な存在であるからこそ引き起こされる「恋愛」というものをとても美しく描いていらっしゃった方だと私は記憶しております。三編目の「星のまたたき」でちょっとその片鱗を見せられていたと思いますが、恋愛要素がやはり薄いので「不思議な男の子との出会い」という出来事の範囲内に収まってしまったところが残念でした。雰囲気で持たせるような話になってしまうとすごく残念ですので、もっとBL描写やセンチメンタルで繊細なパートと、ギャグパートでの緩みという二つの振れ幅のある作品を見ることが今後できたらと思います。作家さんご自身はそういった力のある方だと思っておりますので、期待したいと思います。

本全体の統一された雰囲気のよさとBL作品としての方向性を考慮して、今回の評価は真ん中ぐらいでつけさせていただきました。
作品は読むとあたたかい気持ちになれるものになっていますので、気軽に手に取れて、BL初心者の方にも読みやすい一冊です。

2

「カワイイ」は罪。

短編集でした。
3編の話が納まっていました。

   ◆◆   花かぐわし   ◆◆

エロは匂わすものが皆無なので、受け攻めは分かりません><
●普通の高校生・青司
●天然な不思議ちゃん・猫のような新入生・若葉

まず!
この短編集にエロを期待してはイケマセン。
キスシーンはおろか、ハグシーンも出てきません。

ああ、でもこんなに萌え萌えするのはきっと私だけじゃないはず。
青司が不意に差し出した食べ物を「ぱくっ」と食べる若葉が
尋常じゃないほどカワイイ★
青司自身も「餌付け」とか読んでますし。
若葉の飼い主になりたいとか願っちゃう青司もカワイイしアホです♪
アホの子好き(笑)
それから青司は、若葉に「友達になろう」とか。
小学生かーーー!?!? いや、でもこの遣り取りがカワイイ。
若葉が、目をチカチカさせているのがまた良いです。
お星様が飛んでます。

天然な不思議ちゃん・若葉。
青司に並々ならぬ好意を寄せ始め、青司のために
一生懸命尽くそうとします。
ひとりでわちゃわちゃ、アタフタしているだけなのに、
それがもうカワイイ!!><
心臓ドストライク! ズキューンとヤラれます、コレ…。

青司にどんどんなついて、キスしたくてたまらなくなる若葉。
「いつかキッスできたらいいな……」とかぼやぁ~っと、
考えてる若葉の表情に萌え。
そう! 若葉の表情はひとつひとつ萌える! あーカワイイ><
おまわず口をついて、青司の前で「チュー……」と
物欲しそうに行ってしまう若葉。
照れる若葉に、青司がくれたものは、紙パックジュース。
それを「チューーーーーーーーーーーーーーー」と飲む若葉でした★
最後までかわええええ

   ◆◆   天然メープルシュガー   ◆◆

これも受け攻めがわからない物語です。
●メガネフェチの高校生
●臨時採用の古文のメガネ先生

高校生の男の子がメガネの先生にときめいてしまう話です。
「メガネだからカッコよく見えるんだ」と
自分を戒める高校生でしたが、先生はメガネだけでなく、
中身も優しくて良い先生でした。
迷子になったところを助けてくれたり、お腹減ってたら
食べ物を買ってきてくれたり……。
「メガネで先生って言うことだけで、自分は先生の内面を
 よく見ていなかった」と反省する高校生。
しかし、ラスト、ふとメガネを外す先生。
テライケメンでした……というオチ。
思春期の翻弄される男子高校生が、可愛くて笑えました。
今後の展開が明るくなりそうで、続きが読みたいと思わせる最後でした。

   ◆◆   星のまたたき   ◆◆

この話も受け攻め分かりません。
●多忙な大学生。天体観測(星だけ?)が好き。
●夢のなかで現れる青年。星のことを教えてくれる。

大学生の夢のなかに頻繁に現れる青年は、とても詩的。
星のことを色々と大学生に教えてくれます。
なんともロマンチック☆
ラストその青年は、現実に現れます。
母親の再婚相手の連れ子として。
青年の瞳を見つめると、同じ星が光っていた……という
うっとりするようなラストでした。

   ◆◆   ◆◆   ◆◆

全体的なイメージは、キラキラ☆
垢抜けないような、アナログな青春のキラキラって感じです。

エロは全く期待せず、カワイイ話が読みたい!という方に
オススメの1冊です。

ひとりひとりのキャラが可愛くて、たまりませんよ!

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