イラスト付
変な下心がある奴は、俺の作ったメシ食うな!!
事前情報ナシであらすじと表紙絵だけを見て読む。
表紙絵では楽しそうなワチャワチャ系?
ところが読んでみるとシリアスじゃん。なのに、あとがきを読むとラブコメとあって、ん?となった。
主人公の創は短気で口も悪いシェフ。
ありがとうもごめんなさいも言葉にできない創が、ひとりの男と、事件と、仲間によって弱さを曝け出し…
…みたいなお話だと思ったんだけど。
しかし、とにかく設定が渋滞している。
まずBLあるあるの「男を拾う」。
拾われた青年・秀虎は記憶喪失。
カフェレストランの同僚が謎の失踪。
町を二分する自警団の抗争。
店への執拗な嫌がらせ。
ちょっとゴチャつきすぎで、ストーリーが追いづらい。
創の意地っ張り具合は痛々しいし、八つ当たりも激しい。
秀虎はワンコで可愛いけど、失踪の方も併せてちゃんと警察なり行って届は出そうよ。
失踪の解決は気が抜けた。
下北沢とはっきり指定してる割にはあまり町描写無し。
BL的には秀虎の押せ押せに創が負けて…という感じ。この後はこのまま創が押し切られるのかな。
読後感は悪くないけど、中立寄りの「萌」で。
序盤からずっと警察と救急車を呼べ〜!!!!! って感じでした。
作中、問題が多発するのですが、全て最初から警察に通報していればこんなことには……と言いたくなる内容。
そして色々な要素がてんこ盛りすぎて、主人公の成長とか恋愛に集中出来ませんでした。
自警団の話は流石に要らなかったのでは……何かのスピンオフなのか……? と思いました(多分違う)。
ただ、創(主人公)の性格の酷さが絶妙で良かったです。二十代後半とは思えない癇癪持ちの子ども。謝罪もお礼も出来ない。こういう大人いるなぁというリアルなダメ人間でした。
過度にクズ過ぎないけど身近に居たら絶対に不快なキャラ(笑)
そんな創ですが、モノローグで父親から精神的なDVを受けていたことがわかります。父親の影響を多大に受け、メンタルが地味に異常。
感情を相手に押し付け機嫌でコントロールしようとする性格……嫌いな父親と同じようなクズに育ってしまった事実……そんな父親に愛されたくて作る料理……。
このなんとも言えない人間らしさが本作の魅力の一つだと思います。が、精神面の描写とか、過去の掘り下げが物足りませんでした。
終盤、自分が周りに許されている子どもだと気が付く創。色々と思い悩むのですが、事件が重なりまくったせいで描写が薄い。
そしてモノローグでは反省していても態度には出せないまま物語が終了してしまいます。
ちゃんと成長はしているのですが、子ども時代から培ってきた性格はなかなか変えられないってことですかね……。
結局のところ創は父親に縛られたままだし、ほんの少しだけ成長したけどまだ子どもです。
これから愛にたくさん気が付いて、たくさん受け止めて、謝罪とお礼の言える大人になってくれたらいいなと思いました。
創の仕事仲間がみんな心広くて良かったです。
私なら父親のことを知っていたとしても絶対に近付かないです(笑)
そんな創を飯から感じる愛情だけでツンデレ扱いして受け入れられるの強すぎる……。
あとがきで「ラブコメ」とあって、あぁこれラブコメだったんだぁ……って思いました。
あんまりコメディ感無かったと思います。
盛り沢山すぎでは?と思うほど色んな要素が詰まっていました。
イケメン揃いのカフェ
記憶喪失の秀虎
下北を二分するグループ勢力あれこれ
カフェバイトの失踪事件
創の肉体美
「ホモ!」と罵っていた創が受けになるまで……
記憶喪失モノが私は大好きなので、ほぼ全て読んでると思うのだけど、普通「記憶喪失」ってそれがテーマ・メインだと思うんですよね。
でもこの作品は、「記憶喪失」があくまで作品の要素でしかないというところが、すごい。
ちょこっと記憶喪失どころではなく、秀虎は終始記憶喪失だしなんならまた…ってくらいなのに、あくまでそれがメインではない。
なので終始、何かがあれこれ起きている感じで、えー?どうなるの?といった面白さはありました。
でもキャラ萌えが無かったわ……。
というのも創が拗らせツン男で、萌えがなかった……。
言動のキツさも読んでてイタいし、「愛されなかった自分」「心の奥底では愛されたいと願っていた自分に気づく」みたいなのも丁寧に描かれているけれどなんか読んでて共感できないし……。
そもそも創の父親なんなの??あいつが元凶。
秀虎は、私の大好きな年下ワンコ攻めでありながら、微妙にフィットせず。
というのも、攻め受け未確認で読み始めたので、多分、秀虎が攻めで創が受けになるんだろうなぁ?と予測はつくものの、え?もしかしたら攻め受け逆?!と思わせるところも少しあって、年下ワンコ感丸出しってほどでもなく……。
いや、めちゃくちゃ懐いてるし思い返せば確かにワンコなんだけど、キュン!とするところがほぼなかったというか。
あぁいい子だなぁ〜性格いいなぁ〜で終わってしまいました。
ペンネームが気になっていたんですよ、実は。
(何故かは書くまい……ってきっと分かる人には分かる……w)
更には「君だけが僕の奇跡」のレビューを横目で見て更に気になり……
ということで、千地イチさん初読みです。
:
料理の腕は素晴らしいが、口が悪く人間未熟な我が儘男土ケ谷創。
彼がシェフをつとめる下北沢カフェ・エモートに突然現れた
記憶喪失のトラちゃんこと秀虎。
やむを得ず居候させることになった彼に振り回されながら、
次第に孤独だった創の心が成長して行く物語。
下北沢という街の雰囲気、カフェのイケメン達、街の自警団の若者達……
主役二人以外の要素が沢山盛り込まれ、シモキタ青春群像という感じ。
ストーリーとして面白く、続きが気になりながらどんどん読んだ。
肝心のラブは、カップルに対してキュンとしなくて、どうでもよかったのだが(笑)
トラちゃんの創に対する肉体フェチ的な部分を含む執着は、
ちょっと気持ち悪く、それを一刀両断に退ける創の対応も読んでいて楽しい。
トラちゃんは、創の作る料理を食べて、その度にうまい!と絶叫する。
それが創の心を動かしていくのだが、
うーん、誰が作った料理か分かっちゃうって、凄い能力なんだけれど?(笑)
ラブコメだそうだけれど、コメディという程明らかな笑いではなく
重くならないシリアスさの軽快な音楽がのような感じ。
萌えとは言いがたいが、H場面のポジション交代や
ロマンチックじゃない会話やモノローグも好きだった。
挿絵は悪くはないのだけれど、水泳で鍛えた秀虎ちゃんが愛する創の肉体が
もっと際立つような絵柄の方が良かったかな〜。
個人的には、対抗し合う青赤二つのシモキタ自警団のヘッド二人、
青柳と緋本のスピンオフを希望w♪
私は結構好きなほうです。
そしてラブコメな為、作者様の前作よりBL色が濃くなったというか、
BL展開になったのかなぁと思います。
ただ、萌とかは少ないかなぁ。かといって神でもない。
いろんな事が起きるのでもう少し絞って萌要素があったほうが好みですが・・・。
魅力的なキャラが多いので、この作品をベースとしてスピンオフがあったら絶対読みたい。ラブ・コレの番外も悪くなかったんで。
イラストについてはキレイですきなのですが、作中に創の肉体美がとても魅力的に書かれているのでその辺りがもっと描かれていると良かったです。水着のイラスト見たかった!