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冷凍保存から目覚めて、未来。
表紙がきれいだったので、このマンガ家さんのコミックスを初めて購入。
お話としては、悪くなかったと思います。
切ない話でした。
ただ、別にBLでやらなくてもいいと思うけど。
設定もSFというより、ものすごく突飛で、キワモノのような?
現代から一気に未来に変わっても、画面や雰囲気が変わるわけではないので、ちょっとついていけないというか・・・
あれこれ、読み手がおいていかれる感じで、次々とトンデモ展開、無茶な設定が繰り返されるので、このへんをスルーできないと、かなりつらいと思います。
それでも悪くないと思えるのは、お話のテーマが切なくて、とてもストレートに伝わってくるからです。好きな人は、すごく好きになる感じ。わたしは、そこまで純粋でもなく、トンデモ設定につまづいてしまうので、なんだか、いろいろもったいないな、と思ってしまいましたが。
絵柄は、ちょっと癖があります。
デッサン狂いというより、こういう絵なんでしょう。
独特の歪みが、マヌケ面に見えて残念です。
でも、個性なのかもしれませんね。
わたしは、もうちょっと描き込んでもいいんじゃないかと思うくらい、真っ白な画面がさみしかったけど。
次はないかな?
他の作品を読んでみたいとは思えませんでした。残念。
雑誌掲載のときは、発刊に間が空いたりするために、またこの作品が500年とか途方もない時間を超えた作品だったためか、少しかったるく感じていたのですが、こうして一冊で全て読破するとどうでしょう!
それはキラキラとした心に染みるお話に自分の中で変化していました。
とても切ない展開です。
SF設定になっているので、そこに色々と実はツッコミどころは満載であるのですが、こうしたファンタジーはそれが主軸でないので、突っ込まないことにしました。
純粋に、寅の気持ち、ヒカルBの愛情、それだけを見つめて、感じて、それだけを愛でたいと思います。
自分が感じたのは、執着愛と、無償の愛です。
家が敵対している同士の息子たちが再会して実は二人共ゲイであることがわかり恋人になる。
そうした矢先、恋人はホームに落ちた人を救うために電車に轢かれて亡くなってしまう。
絶望した片方はマンションから飛び降り自殺を図るのだが、目が覚めると250年後。
目の前には、恋人に似た男がいた。
これが植物状態になりながら親の後悔と願いにより冷凍睡眠により未来の科学で目覚めた山田寅雄。
目の前にいた男は、電車に轢かれて亡くなった恋人・大田光(爆)に似せて作られた(これもまた寅の親の願いで)アンドロイド・ヒカルB
微妙に外見も違えば、性質も不器用ででも健気な、ちょっとダメっこなアンドロイド・ヒカルBに、光と違うと比較しながらも、彼の良さを見て、彼を好きになってきた矢先、突然ヒカルBはいなくなる。
変わってきたのは、光に生き写しのヒカルA。
ヒカルBが3割減だったのは、納期が間に合わないためのプロトタイプだったからです。
ヒカルBがいいのだと、彼を必死で探し当てたとき、事故により再び離れ離れになり250年の時が流れ、そして再び寅はヒカルBを探す旅に出る。
ただそれだけの、時間だけが途方もなく流れるお話なのに、
寅のヒカルBへの気持ちと、ヒカルBの健気さがどうしてここまで執着するのか、と思わなくもないのだが、目覚めて一緒に暮らした期間が全てを決定づけたような気がします。
そこに、ただ寅はひとりになりたくないからでは、とか
ヒカルBは、アンドロイドだから刷り込みなのでは、とか
そう思うより先に、彼等には愛が芽生えたのだと信じたいな、と思えたのでした。
突飛でもいい、自分を待ってくれている人がいる。
だから迎えに行くんだ。
それが500年だったのだと思ったのでした。
タイトル通りです。
山中先生の漫画は、シナリオは凄く良いものが多いのですが、それを味付けするスパイス(キャラ、背景、コマ割り、モノローグなど)が自己完結的と言いましょうか。
言わんとすることは通じるけどイマイチ心に響かないもどかしさを感じます。
本作で感じたもどかしさ。それは世界観の描き込み不足。
はじめに大風呂敷を広げたのにも関わらず、中身が小さいわ、どっかで借りてきたような近未来描写だわで、それが作品を詰まらないものにしていると思います。
今から500年も経った未来なのに世界があまりにも狭く、普遍的すぎる。
加えて、500年前と後とで世界情勢や制度、国境、政治など環境そのものが180度変わったと説明しているのに、主人公二人に殆ど影響してこない。
例えば、主人公が250年前を懐かしみ、あそこへ行きたいと嘆くシーン。未来の世界が殆ど描かれておらず対比が不可能なため、主人公と同じように「250年前のあそこに行ってみたいなあ、昔は良かったなあ」などと思えなかったりとか。
主人公の自己完結で話が進んで行ってしまうため。消化不良のままラストへ持ってかれてしまいます。
機械と人間の関係が社会の発展とともに進んでいく話なのですから、主人公2人だけにしか焦点をあてないのはあまりにも惜しい。
説明で済ませるのではなく、絵で描ききって欲しかったと個人的に思います。
山中ヒコ流近未来を、主人公の目を通して感じたかった。
......ただやはり、それを描く為には1巻だけでは到底無理なんでしょうね。
急ぎ足でコンパクトにまとめざるを得なかったのか、それとも先生ご本人の説明不足なのか判断し辛いところが山中先生の作品評価の難しいところです...。
恐らく両方なんだろうなあと読んでて感じるのですが。
なんだか不評な部分ばかり書いてしまったのですが、相変わらず設定、そして1枚絵の完成度が非常に高い漫画家さんだと思います。
口絵や表紙、大ゴマで見せる部分の余白の使い方は流石です。
ただ、これだけ緊張感のある余白が1枚絵ではあるのに、漫画になると途端に締まりが無くなり、全体的にへらへら笑っているような画面になってしまうのは何故なんでしょうか...。
まあ、それが先生の持ち味といえばそうなんでしょうが。
上から目線で恐縮ですが、数年後に絶対化ける作家さんだと思って買い続けています。
これからを期待して辛口評価です。
あらすじを読んで面白そうだったので、特典ペーパー付きの新刊で購入しました。
読む前は、250年後に冷凍保存から生き返った後、
それから残りの250年は輪廻転生を繰り返して、
合計で500年なのかな?と想像していました。
実際は、冷凍保存から生き返った後、砂漠で生き倒れてしまい、
再び冷凍保存され、それから250年 経ったという設定でした。
長い間、冷凍保存され、それが2回も繰り返されたので、
いくら未来の技術が進歩しているとはいえ、
寅雄くんの体は大丈夫なのか心配になりました。
アンドロイドのヒカルBを探し続けていた寅雄くんですが、
もうすぐ読み終えてしまう所まで来て寅雄くんが力尽きて倒れたので、
もう、このままヒカルBを見つけられないまま死んでしまうかと思っていましたが、
最後の最後で無事に再会することが出来て、本当に良かったです。
今度こそ末永く幸せになってほしいと思いました。
未来の設定について、読んでいる時は あまり気になりませんでしたが、
読み終わってみると、250年後や500年後の世界が
あまりにも現実離れしすぎているように思いました。
別に変えなくても良いですが、もう少し現代の世界観を
残していても良いのではないかと思いました。
寅雄くんやヒカルBの心理描写よりも、
未来の世界の描写に力を入れすぎた印象が強かったです。
今回は、あまり迷うことなく「萌×2」評価です。
とても心に響いてきました。
寅雄の自殺の描写は、よく言えば潔い、悪く言えば後先も考えずなんて浅はかな、若い衝動だろうと思わせる唐突さですが、1話目が終わる頃にはその衝動も理解できている自分がいました。
250年間の冷凍保存から覚醒した寅雄に与えられたのは、恋人だった光に似せて作られたアンドロイドだけれど、なんだかちょっと違う「ヒカルB」。
もし、寅雄にはじめから「光」と全く同じアンドロイドが与えられたとしても、寅雄はその”矛盾”とともに生きてゆくことができるのか、できたところで、いつかはこの先生きてゆく”疑問”を持たないのだろうか、そう思っていたところで、リンゴの”サイコロステーキ”が出てきて、ヒカルBが、逆にちょっと抜けていたからこそ、寅雄は反発心というか怒りという生きるベクトルを持てたのでは、とも思いました。
雑誌掲載時は、最後が不安なのか、ハッピーなのか、はっきりとは分からず、この読了感をどうしたらよいのか頭の中でこねくりまわしては、何日ももてあそんでいました。
寅雄は今度こそ、絶命してしまったのか、また何百年も眠って、目が覚めたらヒカルBが側にいてハッピーなのか。
単行本になって、最後の最後の1Pで連載終了時から空を切っていた、見えない先が、全てではないけれども、回収できて、自分の中でやっとで消化できたと思います。
人間の寿命には終わりがあるけれど、これからの二人を想うと、永遠を見たような気がしました。
「はげの予防薬」にはウケたけれど(この時代になっても悩みどころはソコか、と)、D-4QPが語る”美しい矛盾”には人間が人間である感情を抱きながら生きることの「希望」を肯定してくれる、素敵な言葉だと感じました。
毎回、「onBLUE」を購読していて連載を追っていたのですが、これがまた発行の間が長くて、”早く続きが読みたいのにこの待ち期間!う〜わ〜!”とか思いながら毎号待っていて、毎回”ちょっと待て、あっちは250年も冷凍保存されてたんだぜ、そんなのに比べたら数ヶ月なんてあっという間だって!”とか一人自分に言い聞かせて待っていたのを思い出します(笑)