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彼が特別なら、俺はどうでもいい存在なのか…?
以前ノベルズで出版されていた2作品に書き下ろしショートがついたものうですが、あとがきに寄りますと文章はかなり修正されており、イラストも全て描き下ろされたとのことなので、ノベルズをお持ちの方は読み比べると面白いかもしれません。
恋人同士になってもうすぐ一年という状態からストーリーが始まります。いずれも浩太郎(攻め)視点で、口の悪いツンデレな篠島(受け)の言動にぐるぐる考える内容です。
「アイで包んでよ」は、恋人同士が行き違ってケンカしてしまう、という話です。他愛ない日常で大きな事件があるわけではないのですが、浩太郎以外の個性ある同居人がスパイスともなっており、楽しくあっという間に読めました。
篠島のあまりの素気なさに、浩太郎が好きなのは自分だけだと落ち込むのですが、実は篠島の方がもっと動揺していて…。篠島の気持ちが分かってから読み返すと、篠島のツンデレ具合にニヤけました。ああー、分かりにくいけど確かに浩太郎が好きなんだなぁって。
篠島の狼狽ぶりや心情が、江坂という第三者を通してなのですが、挿し絵を入れてその場面を回想しているので臨場感があり、物足りなさを感じませんでした。
「アイで包んでよ act.2 <冬> 」は、逆に篠島が甘えてくれることで浩太郎が戸惑う話です。篠島がツンでもデレでも困惑するという(笑)
前作がある続編なのか思わず調べてしまいました。簡単には馴れ初めがあるのですが、それを読んだらますます二人が恋人になる過程が気になりました。ショート「ゆっくり愛して」は甘い後日談なのですが、篠島がOKする場面や江坂がフラれる場面が回想でも欲しかった、読みたかったです!
年下ワンコ下宿人×年上ツンデレ管理人の「一つ屋根の下」設定がお好きな方にお勧めです。他の下宿人にこっそり内緒で…とか素敵でした!あとイラストが篠島の鎖骨とかエプロン姿とか艶っぽかったです。
ヴィラ楡井の管理人でオーナーの身内であるお料理上手の賄もする受け様と
会社ではエリートで知られるワンコでヘタレ気味の攻め様との恋愛模様。
ほのぼのとした中に二人の戸惑いや擦れ違い、他の下宿人との交流などが描かれていて
大きなアップダウンはないけれど、下宿での生活の中で育まれる大人の恋のお話。
それにしても、受け様の気持ちが見えにくいのです。
なんだか読んでると、攻め様の一途な恋心が切なくなってくるんですよね。
受け様が好きで、しつこく粘って恋人になったように攻め様が思っているので
自分が受け様を思うようには好かれていないのではないかと思ってる攻め様。
まるでその思いをあざ笑うかのように、受け様のツンデレ具合が強烈なのです。
口が悪くて、攻め様に対する態度はかなり横柄なんですよね、ツンデレのデレが全然
見受けられないので、攻め様は受け様との関係にある出来事の為に行き詰るのです。
それでも、次第に受け様の態度が唯一甘えられる存在である攻め様相手だからだと
後半で分かる事になるのですが、それまではヘタレワンコの攻め様が可愛そうです。
先に好きになった人が負けるのよね、って感じですね。