イラスト入り
元々は官僚だった千郷は、同僚から手痛い裏切りを受けて、無職へと転落してしまう。
信じて一番仲良くしていたはずの男の行動に、自暴自棄になり投げやりになっていたところを、鳴神組の組長だった先代に拾われて、ヤクザとして生活していた。
それからというもの、今までのヤクザとは違うしのぎの上げ方で、組を一つ任せられるまでになった。
ところが、急に先代が亡くなったせいで、組長の情夫という立場だった千郷の立場は危うくなる。
そんな千郷を物好きにも口説いてくる人間がいた。
それは、先代の下に勤めていた真砂。
頭脳派の千郷と、武闘派の真砂。
鳴神組の双璧をなすと言われる二人の関係は……
という話でした。
硬派でヤクザでそれでいて、エロはちゃんとある話。
特にヤクザ物が好きなわけではないのですが、この話はお互いが自立している二人の男が、ちょっと片方が揺らいだときにさっと手を貸す話なのがいいなあと思います。
こういうヤクザものは大歓迎です。
とてもいいと思います。
水壬さんのヤクザものってひょっとして珍しい?
しかも、男前同士の同い年同士、体格もそんなに違わなくて、一応受け攻めはあるけれど、男前度からしたら攻め×攻めにしてもいいくらいの、男たち。
そして、よくある名前だけヤクザとか設定だけヤクザとか、ヤクザ色の薄い経済ヤクザでなくて、なんとなくヤクザといえばこんな感じ♪をたやすくイメージした、任侠に近いだけどアットホームではないヤクザらしいヤクザ(長いな、おいw)で表現されていて、実にわかりやすかったです。
あとがきで、ヤクザのパロディを書きたいと思った、なんて書かれてますから、それでわかりやすい設定になったのかもですねv
実は、前半今は亡き、元組長に持ってかれてます(爆)
この組長、財務省キャリアで同期にハメられてやめざるをえなくなり、自暴自棄になっていた主人公の千郷をを救い上げた御仁なのですが、めっさ男前です!
よくあるかっこいいじゃなくて、男気あふれるかっこいいです♪
これじゃぁ、千郷も惚れ抜いて彼のために生きていたといっても過言ではないですよね。
本当になくなっちゃって、、、惜しい!
しかし、もう一人男前が登場します。
千郷とおなじ若頭補佐で、武闘派の真砂。
叩き上げの極道ですが、頼りになる男前なのです。
千郷も頭脳派の若頭補佐で、元組長の女でもあったのですが、それなりにシノギを上げ、先輩の真砂に鍛えられて、それなりの地位と実力を持ち、世渡りのできる男前ではあるのです。
ストーリーは、組長が亡くなって迎えた三回忌から始まります。
その法要のシーンにおいて、登場人物たちの関係や、現在の状態などが分かる仕組みになっています。
千郷は、会員制高級クラブを経営し、その地下でカジノを開いています。
そこに、財務省時代自分を嵌めた同期の香村が客として通ってきており、しかも借金がかさむような無謀な遊びをしているのを見ます。
そこで始まる、千郷の復讐。
千郷は彼を追い込んで満足したはずですが、香村が敵対し彼らの組みに恨みを抱くヤクザに協力を求めたことからピンチに陥ります。
そこへ助けに入る真砂。
組長が亡くなり、冗談でも千郷に誘いをかけていた真砂。
あしらう千郷。
この関係で、もうすでに彼らに気持ちの通じ合いがあったことはわかりますので、身体の関係になるのは、何かきっかけがということだったのでしょう。
なので、結ばれるのも、身体の関係もラストです。
それぞれが実力を持ち、自立している大人の男ですから、この展開も大人だったのかな?
互いが互いを補い合い、いいコンビで活躍している組み合わせだったのでしょう。
ヤクザというものの、ライトですごく入りやすい、難しい無理のない展開でした。
千郷を陥れるヤクザの股間に拳銃をぶっぱなす真砂、かっこよかったのですが、その後も、男前を見せつけてました。
なんかこれはホントに恋愛なのか・・・?と思ってしまいました。真砂(攻)はともかく、千郷(受)の気持ちはどう考えても先代オヤジにありそうなんですけど。今でもオヤジに100%とまでは言わなくても、割合としてはオヤジ>真砂としか思えませんでした。
これを言っちゃあいけないのかもしれませんが、いっそのこと『オヤジ×千郷』じゃダメだったのか?とさえ考えてしまったくらいです。いえ、私はオヤジ趣味はまったくないので、そちらが見たかったというわけではないんですが、その私でさえそう思っちゃうくらいどうもねぇ・・・
そもそも、メインCPが真砂×千郷なら、ここまで先代との関係を執拗に押し出す必要あったのかなあ。説明だけでよかったんじゃ、と感じました。なんか、すべてを今は亡きオヤジに攫われた気がします。
それと、登場人物が多過ぎるような気がしました。多いことそのものではなく、出すだけ出して、たいしてフォローなく流してる感じ。新組長とか若頭とか、意味ありげなわりには、ほぼ顔出しだけじゃん。シリーズ化して、追々拾って行くのかな?
トータルとしては、設定もキャラクターも結構好きです。個人的にヤクザものはあまり好みじゃないんですが、それでも結構よかったんですよ。ただ、やっぱり何かと物足りなかったのも確かなんですよね。
あとは、終盤千郷が敵対するヤクザに受ける仕打ちが、ダメな人はいるかもしれないと思いました。まあ、暴力というよりは性的な方面でいろいろ強要されるんですが・・・(強姦ではありません)。私はちょっと、気分悪かったです。別に、受け付けない・無理というほどではないですけどね。
『ヤクザものだからそれもいいスパイス』と思える方にはちょうどいいのかな。他の面では『ヤクザ!』ものの荒い部分って薄いので。
確かに面白かったんですが、単発ものとしては(そうなのか、今後シリーズ展開するのか、まったくわかりませんが)、いろいろと散漫に感じて、ちょっと惜しかったです。
ヤクザものだけど、ガッチリ極道って雰囲気でも無くて読みやすい作品でした。
キャリア官僚だった受け様は友人だと思っていた相手にハメられ職を追われてしまう。
自暴自棄になり、全てに感情を無くしてしまったような受け様はヤクザの組長に拾われ
誰も信じる事が出来なかった時に、自分だけを信じればいいと言われ、
組長に抱かれ、ヤクザの世界に落ちる事になるのです。
組長に盃を貰い、ヤクザになりながら組長の情夫としても抱かれる日々ですが、
組長が癌で亡くなり、組長の3回忌を過ぎた頃に組長のいない組を去る心づもりの受け様
でもそんな中で、組長との出会いの時から一緒にいた、組内でも頭脳派の受け様と
武闘派と言われる攻め様、二人はライバルに見られていて、組長亡き後から冗談か
本気か分からない感じで口説いてくる攻め様。
組長の事も、元の仕事も知り尽くした相手からの口説きを躱しながらも
攻め様と一緒にしのぎを削るような関係は受け様にとって組内で攻め様くらいで
実はかなり気が合う相手でもあるのです。
亡き組長への感謝と思いを抱きながら、組を離れる事を考えていた受け様は
自分が経営する闇カジノで、過去に受け様を陥れた相手を見かけてから
いつも冷静に対応する受け様が向きになる、それを攻め様にたしなめられながらも
相手を追い込んで行くが、相手に足元をすくわれてしまい、危機に陥る。
でも、攻め様が俺を信じろと、亡き組長と同じ言葉で受け様に告げるが受け様は
信じていない、でも攻め様は受け様の危機に攻め様らしい助けを・・・
この二人が手を組めば、怖いものなしって感じる、互いに手の内を知り尽くして、
受け様を攻め様が助けたと思えば、更に上を行くような行動をしてる受け様。
ラブラブなヤクザ同士の恋ってイメージとはかけ離れているのですが、
却って惹きつけられるお話でした。
受け様にあだ名した相手は全て報いを受けているのも痛快で後味が良かった作品です。