ボタンを押すと即立ち読みできます!
「どうやらあいつは女の服を着ていると俺に抵抗できない」
秀さんの描く女の子は妙に肉感的で、決してシュっとした美人じゃなく、どことなくゴツさを感じるのですが、それがやけに実在ぽくてリアル感を感じる。
今回の主人公は”女装男子”なのだが、最初に雑誌で見たとき、かわいくねー!ゴツイー!ちょっと気味悪い?と、思ったのだが、読んでいくうちに何故か慣れて、しまいには本物の女性よりも可愛く、色気があり、とても綺麗な女装に見えてきた。
とにかく、全てが素晴らしかった!よかった!引き込まれ感が半端なくすごい!
奥深く、破壊力がすごい!ガツンとやられた!
こんな興奮した漫画はひさかたぶりかもしれないデス!!
さておき、
彼女の酔狂で女装をさせられた八代が、ナンパしてきた男性に「かわいい」と言われたことから女装をはじめるようになる。
街でそれを見かけた同級生の百瀬に八代だと気づかれてしまう。
単なる興味が、八代への欲情を伴ったものだと気がついた百瀬の執着。
女装の意味に悩む八代。
幾分、百瀬の執着と押しが勝りながら、八代が自分の性癖に気がついていく物語になっているのではないだろうか?と感じたのですが。。。
この八代の”女装”というポイントが、とても考えさせられました。
クラスでも派手なグループに属しているということからも、結構お洒落で目立ちたがりなのかな?(この部分は推測)
女装して男性に「かわいい」と言われた言葉にときめき、その言葉が欲しくて女装して街に出る。
そこではまだ自分の本当の心が自分でもわかってない。
百瀬との関係の中で、徐々にそれが葛藤を伴いながら分かっていく気持ちの変遷が、いちいちうなずきを呼び、
百瀬が、自分の姉の服を着せた八代といるところに姉と遭遇してののしられたとき発した「お前より百億倍かわいいわ!」このシーンが決定打になったようなきがする。
”男に組み敷かれる側になりたい”その心の本音を呼ぶきっかけ、その心をカモフラージする行動だった?
女装というと、つい色物的な、ライトで軽いノリで扱う作品が多い中、性癖の悩みとして扱うその真摯さが、目新しくて斬新で、衝撃的だったかもしれないです。
一方、百瀬は実に気持ち悪い男でしたw
最初、登場したときに、暗いー、気持ち悪いー、www
クラスでもなんだか一人ぼっちぽくて仲間とつるんでなくて、オタク?と思いきやそうでなくて、
彼もまた、こういう子いるよねーなリアルキャラだったかもしれない。
彼のほうが八代のような悩みを抱えない分、かなりニュートラルだったと思います。
八代の女装を見て、勃ってしまった朝から意識するようになる、
女装に興奮欲情するのか、それとも八代だからなのか、比較的悩まない。
きっかけは女装だけど、それも含めた八代という人間への関心だったのかな。
でも、八代の女装がかわいいと思うし、好きなのは確かだw
雑誌で見ていたとき、なんと傲慢で嫌なやつなんだろうと思う部分もあったのだが、1冊で通して見てみると、彼は不器用な一途な恋する男子に見えるのです♪
しかも、最初キモイとか思ってたのに、なんか良くない?ってwww
秀さんのいろんな引き出しの色々なカラーが好きです!
夢見な展開、ちょっとキュンな恋愛展開、今回のようなちょっと痛さを伴いながらもリアルも感じる大人な展開。
そして、特徴としてストーリーもですが、キャラ萌えが必ずついてくる♪
今回も八代のツンデレ~ラスト近辺の誘う妖艶なあの色っぽさの変化に
百瀬のキモイ男子から、八代の影響かかっこいい男子に変身したラストまで
外見も含め中身も、何だか大人になっていくキャラクターが実に魅力的でした。
う~ん、、何が言いたかったのかとりとめもなくなり、本当に自分の伝えたかったことがかけているのかどうかわからないのですが、
一言で表すなら 「グレート!!」 と、両手離しで素晴らしかったと伝えたかったのデス。。。(あれ?やっぱり伝わってないかw)
リア充で成績もソコソコ良くて、学校という空間の中で日向にいる八代。
偶然女装した彼を渋谷で目撃した百瀬は、背の高いハードロック好きのネクラ少年。
百瀬は女装の八代に惹かれ、ひたすら口説く。
自分でどうして女装するのか分からない八代も、何故八代に惹かれるのか分からない百瀬も
若くて青くて、体の芯に普段は押さえ込んでいる熱さと生きにくさを抱えている。
百瀬の姉とのやりとりや(八代は一人っ子だろうか?)、教室での他愛もない高校生の会話、
それらの日常的なリアリティが秀逸な分だけ、非日常的な女装シーンが際立つ。
可愛くない、どちらかというとちょっと怖い表紙や扉絵のインパクトがすごいが、
この華奢でまるで女の子みたい「じゃない」高校生男子が女装をするという設定が、
独特の世界と意味を醸し出している。
自分は何故女装をするのか?
八代は、本当は「抱かれたい」と思っている自分の感情に気がついていく。
この過程の描き方がいい。
それは俄には受け入れられない感情なのだが、でもそんな自分をひたすら求める百瀬がいる。
百瀬はクラスメイトの名前を覚えていなかったりする程、他人に頓着しない奴なのだが、
そんな彼だからこそ(若くて馬鹿だからというのもあるかもしれない)、
ただ自分の感覚だけで八代を「かわいい」と褒め認め、好意を隠さない。
それを、互いにとって幸せな出会いと言わずしてなんと言えばいいのだろう!
自分より大きく強いものに組敷かれることの劣等感と満足感、
性的な目で見られることの疎ましさと嬉しさ。
女性というジェンダーが持っているアンビバレントで厄介で、時に持て余すような感覚を、
こんなに詩的に表現している作品はなかなかないと思う。
本編の最後、彼らが去った後に残った暖かな空気の感じがとても好きだった。
八代が着ている服がどれも可愛いのも、◎!
非常に面白く読んだし、描き出される世界も好みだったのだが、
私にとってはこれは、萌えで評価できる作品ではなかった。
(仕方がないですから、評価は入れますけれどね!)
BL読み以外の人にも読んで欲しい作品。
ボーナストラックは、それまでとは別にお楽しみ♪という感じ。
もともとお洒落な八代が、百瀬の脳内ファッションショーをしているところが可笑しい!
そしてそれすらどうでもよくなる二人が、愛おしい。
あれ?ハチ公前って宇田川町じゃないよね?パルコの方だよね?って読んでる途中で疑問に思ってたら、ちゃあんとあとがきで書かれてましたな。
『道玄坂で待っててよ』でもいいと思うけど『宇田川町で』のほうが、やっぱりかっこいい。
当時付き合っていた彼女に面白半分で女装させられたのがきっかけで、すっかり女装にハマってしまった八代。
クラスでは友達に囲まれてて勉強もできて、そつなくこなしているかのように見えるけど、女装して日曜のハチ公前に立っているのは何故なのか。
そんな八代を偶然目撃してしまった百瀬は、学校では暗くて無口でヌボーっとして、寝てるかヘヴィメタを聴いてるなに考えてるかわかんない系。
なのに、ターゲットにロックオンしたあとのの百瀬のまっしぐらな感じ、凄味があってよかったです。
相手の気持ちなんかお構いなしで、自分の気持ちを押し付け、追いかけ、追い詰める様がもう野獣。
八代は自分の女装への欲求の理由を百瀬に暴かることに怯えて拒絶するのですが、女装した自分をまっすぐに「かわいい」と言ってくれることにあっさり欲情してしまう。
どっちもゲイではなかったはずなのに、ですよ。
倒錯的な雰囲気にノックアウトってのが、バシーンッと伝わってくるのです。
ズバリなシーンはさほどないんだけど、百瀬の興奮ぶりや八代の反応だけでもう、かなりエロい。
そういうのがほんとにお上手だな~と毎度溜息です。
それとこれも毎度ですが、女子に容赦ないところ。
今回は百瀬姉…いやーもうほんとに家の中でこんなだよ私もって思う人が、いっぱいでいてほしい(笑)
前髪が長くて、暗くて、デカくて、何考えてんのかわかんない。
そんな風に思われている、百瀬(童貞)。
その百瀬が、繁華街で偶然、
何をするでもなく つっ立って 女の服を着て 長い髪をいじる
骨ばった肩の……男を見かけ、目を奪われる。
クラスメイトの八代だった。
たいして話したこともない
クラスでいちばん派手なグループにいる
かといって目立つわけじゃない
そこそこに勉強ができる
八代…が、……なぜ、女装?
最初は、そのなぜ?をコミカルに描き、読者を物語に自然と引き込んでいきます。
中盤、徐々に物事が明らかに。
でも、
恋に縁遠かった男の子と
男に愛されるのが初めての男の子。
もどかしいくらい手探りで、ときに強引で、すぐ不安でこわくなって、でも惹かれる。
その一途でまっすぐな想いに……
終盤は、気がつくとコミカルさなんて消え去って、生々しさと熱が本から溢れ出ていました。
でも、最後に残る余韻は……とても爽やか。
夢中になって読み進むと、ふと、
心を掴まれているのはわたしの方だと気づかされました。
女装、というインパクトの陰にあるのは、決して特別じゃない普遍な想いと悩み。
わたしにも経験のある気持ちでした。
表紙の八代の女装姿が、あまり好ましく思えない人にこそ、この本を読んでほしいです。
万人受けするわけじゃないのに、彼が女の服を着るのをやめない理由を知ってほしいです。
きっと、恋を知る人の胸には響くと思うから。
そして八代の印象は、ページをめくるにつれて変化していくと思うから。
その体験、あなたは……これからですか?
他人の何気ない一言で、自分が生まれ変われるような気がする。
「それ」が恋だと気付くまで。
そんな過程を丁寧に描いた女装男子本です。
発売前に装丁を見た時点で気になるものの手を出さず、ちるちるでランキング上位に輝いていなければ、恐らく手に取りませんでした。
以前、秀先生の「金持ち君〜」のレビューで割と酷評してしまったため、再度手を出すのが恐かったのです。
しかし皆さんの評価を信じて正解でした。とても良かったです。秀先生のイメージがだいぶ変わりました。
町でクラスメイトの女装姿を見つけてから彼の事が気になりだし、学校でも目で追いかけっぱなし...というBLセオリーに乗っ取ったお話なのですが、ありふれた展開を丁寧に丁寧に綴る事で、読者が無理なく女装男子の感情の揺れ動きと、女装男子に惹かれる普通の男子の心のざわめきを感じ取る事が出来ました。
また、先生は平成生まれの男の子を描くのが上手い。いわゆる「ゆとり世代」というのだろうか。「普段はへらへらして喜怒哀楽を表に出さないけど、実は心に強い我を持っていて、友人にも彼女にもそれを打ち明けず、出し方も良く知らない」というような男子の心理描写が、表情や仕草にとても良く表れています。
タイトルもとても良いですね。渋谷駅でもなく道玄坂でもなく「宇田川町」という名前にした事にセンスを感じます。
前者二つだと煩雑な第一印象になりかねないのですが、宇田川町と付ける事で暖かみが出るというか、「人が住んでる」感じが出て、妙にローカル臭が漂ってて良いなあと思います。この漫画の作風にもとても良くあっている。
渋谷って「田舎臭い町だな」と感じる私にとっては、愛らしい印象を持ちました。今度から私も宇田川町って呼ぼう(笑)
物語の最後で、この題名の深さを知る事が出来た時、心にすとんと、二人への愛情が降りてきます。
「良いお話には良い装丁」のセオリーがまた一つ生まれましたね。
パッションピンク地に中性的な横顔、特徴的なタイトル、どんな書店でも目に飛び込んでくる「BLらしからぬ」装丁。
ソフトフォーカスをかけた渋谷の実写写真を話の間に挟む事で緩急がつき、漫画の世界を飛び越えて現実世界に二人がいるかのような気分にもさせてくれます。
で、装丁会社はこれまた「株式会社シュークリーム」さん。このたびも良い仕事してますねえ。
他作で失敗した経験のある私としては、秀先生初デビューされる方はこの本から手にとってみる事をお薦めします。