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「優しくせめないで」の続編。
2002年のノベルス版に書き下ろしショートが追加されています。
中編2作品、ショート1作品が収録されています。
真宮(受け)が主人公なので視点が多いですが、倉木(攻め)の視点もあるので、二人の心情が分かりやすいです。
「冷たくふれないで」
恋人になってから数日後。真宮は、倉木に強引に事を運ばれて同棲をすることになります。カラダの心配をするような甘い生活かと思えば、すべてを捨てて真宮を選んだ倉木の翻意を促そうと、兄弟がアメリカからやってきます。
この兄&弟がタイプが違っていて良いキャラです!兄・寿和の初恋というのにニヤけてしまいましたが、倉木にとっても真宮は初恋なんでしょうね。真宮の無自覚な魔性ぶりと倉木の策略ぶりが分かる話でした。
「優しく奪わないで」
兄弟がアメリカに戻ったかと思えば、今度は倉木の教育係だった長井がやってきます。そんな中、同窓会の後で、真宮が憧れていた多田とホテルで目を覚まします。そのことを倉木に悟られて…という話です。
受け身のスタイルだった真宮から行動を起こすこと、そこを長井に付け込まれますが倉木が颯爽と助けにき、後継者問題もケリをつけるという盛りだくさんの展開です。
「優しく奪って」
笹村の頼みでカフェで臨時アルバイトをすることになる二人。そこへ多田がやってきて…という話です。
ストーリーについていけるだけは説明をしてくれていますので、前作を未読でも大丈夫です。私は未読でしたが、もやもやしませんでした。
それでいて「この1冊で満腹になったので前作は読まなくてもいい」ではなくて、前作の二人が恋人同士になる過程が読みたい!と思わせる素晴らしい程の良さでした。
多田や笹村、倉木兄弟が主人公のスピンオフ作品も読んでみたいなぁと思うのですが、きたざわ先生のあとがきではこの「優しく」はこれで終わりのようです。残念!
前作の「優しくせめないで」の続編も、やっぱり感想としては割れ鍋に綴じ蓋。
S気質の強引な攻め様が無自覚M属性の受け様と、傍から見たら受け様が酷いことを
されているように見えがちだけど、実は性格的にネガティブだから強引に仕掛けられ
無理やり気味に押し切って愛情やらを押し付けるくらいでないと受け様に伝わらない。
そして、攻め様も自分が初めて執着した相手に、身勝手にしつこくしてる、実はこれこそ
攻め様の甘え以外のなにものでもない感じですね。
前作で紆余曲折な展開で恋人同士になった二人のその後ですが、前作と特に変わって
甘々になったなんて事も無く、相変わらず攻め様に全て強引に事を運ばれ同棲する事に。
そんな時に、攻め様の兄弟が、攻め様の家業を継ぐ事を再度説得する為に来日。
攻め様を少し若くして、性格的には同じように傲慢系にした弟と、研究職に身を置く、
人見知りが激しくて人間嫌いの気がある兄がやってきます。
弟は、攻め様が手にしているものを欲しがる悪い癖があって受け様に迫る。
そして兄は、後半になると、何故か受け様と話す事が苦痛ではないと感じると受け様相手に
初恋みたいな仄かな思いを寄せてくれる感じになります。
そんな兄弟たちがいる中でも、攻め様は受け様以外に関心が無い、兄弟にも親にも
情が湧かない、受け様だけが特別だと態度で示してます。
攻め様をつれ戻すのも、形式的であまり本気にしているように見えない兄弟ですが、
初めて他人に執着を示してるのが信じられなくて日本に来た感じでしたね。
受け様がネガティブに陥いりそうになると、それを見越した感じで攻め様が強引に迫る。
言葉で言うより、態度で示した方が受け様に伝わる感じがするんです(笑)
かなり二人とも屈折した人間同士の恋人だから普通のカプみたいな甘さはないけれど、
二人にしかわからない事が次第に増えていくんだろうと思わせるお話です。