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タイトルそのままのストーリーで、開発者に恋をしてしまう悲しく切ない物語。
分類としては、SF系のファンタジーだと思うけど、科学では説明が付かない現象は
ある種のホラーをも感じてしまう。
人間に興味がない科学者の受け様が主人公で、幼い時から知能指数が高い為に
飛び級をして研究を続けているようなタイプ、それでも小さな頃は可愛いクマさん
相手に難しい話を一方的にしていて、それを普通の両親は困惑するような背景。
子供がIQが高いと同じような設定の話が多いのでこの辺は王道的かと思います。
受け様の特質するべきところは、ハニハニレモンが大好きだと言う事。
これが後半で受け様の本質をよく表しているような感じがします。
大学からの友人で3歳上の同じ研究者だった唯一心を許せる友人から誘われ、
受け様は、その友人の元でラブドールの開発をする事になります。
実はこの友人を受け様は好きだったのですが、自分の性癖を確認と友人への思いを
確認する為に1度だけ抱き合った過去があるのですが、受け様は友人への思いが
好きだと確認すると同時に自分の性癖を受け入れ、友人の事はその1度きりで思いを
消化してしまうような終わり方をしているのです。
それも研究者故の理系に凝り固まったような決着のつけ方で面白いです。
そして受け様がドールを作った時、女性受けする見た目を数値的に作り出した時に
不測の事態が起きてしまう、それは出来上がった試作体が友人に似ている事。
捨てきれなかった自分の片思いが形に出てしまったのかと焦る受け様はそれを何とか
ごまかそうと外国人の王子様みたいな外見の試作体2号を合わせて作り、1号だけに
注目されないようにと画策しちゃうのです。
そしてその2体を女性に試用してもらい、評価の高い方を採用する事になるのだが、
ダメな方は廃棄される運命だと知りつつ、選ばれるのは1号機だと解っていて、
受け様は、起動していない2号機に独り言のように弁解や謝りを告げてる。
幼い時にお気に入りのクマさんを相手にしていた時のような感じなんです。
試作体は同じ機能に顔だけ違うだけなのに、試用した女性モニター全てが同じ評価を
2号機にしてしまう、それは愛されていないと感じてしまう事で、疑問に思った受け様は
自ら試作体をモニターして、原因を追究しようと研究者らしい考えで始めるが
起動された2号機の攻め様は、何故か心や記憶を持たない筈なのに、持っているとしか
思えない言動や行動をし始め、受け様に対する好意を必死な感じで告げてくるようになる。
単なる人形と人間の恋愛と言うよりも、なんだかやけに奥が深い作品になっていて、
受け様の自分でも気が付かない寂しさを初めて理解してくれたのが攻め様で、
でもその思いを受け入れるには受け様は臆病で、科学者であり過ぎた感じで最悪の
結果になってしまうのです。
嫉妬から受け様の友人を殴り大怪我を負わせた攻め様、受け様はそれが自分のせいだと
攻め様に感じ始めていた思いに蓋をして、攻め様を自らの手で壊してしまう。
壊して初めて受け様は取り返しがつかない後悔と攻め様への思いを自覚してしまう。
そして、友人の慰めに似た奇跡を信じてみろと言う言葉に縋る受け様。
ラストはもちろんハッピーエンドなのですが、この人形の攻め様が何故こうなったか?
なんてところは永遠の謎になります、でももしかしたら幼い時に可愛がっていたクマの
魂が人形に入り込んでしまったのかもなんて想像しながら読みました。
なかなか面白い大人向けのファンタジーだと思います。
1冊ぜんぶ表題作です。草薙(受け)が主人公です。
草薙は片思い相手に似せてSEXドールのフランツ(攻め)を開発します。試用実験で思うような結果がでなかったので、自分を実験台にしたところ、ドールのはずなのにフランツはまるで草薙に恋をしたようで…という内容です。
人間のようなドールという点ではSFっぽいのですが、フランツが草薙を求めるようになったのはそれだけでは言い切れない不思議な力が働いているようでロマンチックで素敵でした。
二人がエッチをしての場面でおしまいなのですが、エピローグが欲しかったです。返品された残りのドールはどうなったのかな?とちょっと気になりました。