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岡田屋鉄蔵のデビュー作が完全版で登場!
「百年の孤独を忘れさせてくれる タンゴの男に」
旧装版ではこの台詞で幕を閉じた『タンゴの男』ですが、エピローグなど多数の描き下ろしも含めた今回の新装版を読み返して改めて、この言葉の意味を自分の中で消化できた気がします。
以前は、肉肉しい濃い絵柄やセックスシーン、タンゴという題材の珍しさ…など表面的な部分に気を取られ、物語の方はあまり読み取れていなかったなと。
タンゴの男と呼ばれる天性のダンサー・アンジーとヒロとの出会いを描いた馴れ初め編で、アンジーがヒロに聴かせる曲が「孤独の歳月」。その歌詞には、G.ガルシア・マルケスの『百年の孤独』に共通する部分があるという説もあります。
百年にわたる、ある一族の、孤独を受け継ぐ者たちの人生を一人一人克明に描きながら、最後には圧倒的な結末を迎える『百年の孤独』。
この作品のエピローグも、ある意味そのような衝撃があり、それと同時に希望と生命力も強く描かれています。
三人で家族のように暮らしていたアンジーとヒロ、ベネのその後の人生。
その対比は、孤独の輪廻から抜け出せた者達と、失敗した者のようで哀しいけど、
絶望から次のステップに進んだ二人が彼女の夢を叶え、やがては次の世代へステップが受け継がれるであろう希望あるラストには、運命に負けない人間の強い絆を見ました。
一緒にステップを歩める存在に出会えた幸運と幸福。
それを思ってアンジーとヒロの出会い編を読み返すと、旧装版で読んだ時には読み取れなかった物語の奥行きと深みが感じられます。
二人の関係だけでは完結しない、血のつながりや国境を超えた家族の物語であったんだなと、今更ながらに実感しました。
岡田屋先生のあとがきにもあるように、もっと長いスパンでの、様々な登場人物を想定した連載構想だったそうで。同時収録された設定資料には、アンジー達の過去や、タンゴに関わる様々な人々(作中に登場しなかったキャラもいます)について語られていて、興味が尽きません。特にベネは、行く末を知ってしまったからこそ、彼女の人生の物語をもっともっと読みたいと思うキャラクターです。
エピローグの最後の1ページにため息をつき、
表紙を見返した後カバー下のイラストを見ると、その穏やかな表情に何か心揺さぶられるものがありました。その表情に至るまでの彼らの歩みも、いつの日か読めることを願います。
旧作にてレビュー済み。
旧版との違いは、陰影の濃さと線の調整でコマやセリフに修正はない。
そして旧版にあったヒロの別れた彼女の話『その後の志保ちゃん』が載ってない。
この新装完全版には初デビューとなった読み切りの『タンゴの男』と、彼等のその後の話『リベルタンゴ』が載っていること。
このタンゴの男のペーパーは確か何かのコミックを買ったときおまけで全種類ついていたのだが、それがなんだったか記憶がない(涙・・デルペノイドだったろうか?)
そして『リベラルタンゴ』も確か配布されたのだったろうか?それとも作者さんのHPだったろうか?同人誌だったか。既読のものだったのだがどこで見たか断言できないのが悔しい。
そうか、この初掲載読み切り版と未来版で、一応の『タンコの男』の完結になるのですね。
BLに再突入したとき、自分は作者さんと同じBL=男の恋愛と思っていたので、ゲイものとの区別がついていませんでした。
しかし、そのニュートラルさが却って幸いしたのか、自分にとっての初筋肉作品であり、初坊主作品であり、初リバであり、この作家さんの特徴を素直に受け入れられたのだと思います。
確かに、ゲイ受けするマッチョ&坊主のヒロは、通常のBLの主人公にはありえない外見です。
アンジーはいくらか許容なのかもしれませんが、男を次々と乗り換えヒゲのあるセクシーではあるが三十路超えの男性。
しかし、そうした外見上のアレコレ以上にキャラクターの設定と、タンゴを通して魂の触れ合う相手を見つけるという、肉体も愛情もすべて含めた、そして奥深い人間の物語を抱えた秀逸な世界がそこにはあったのです。
初出のものは、確かにゲイものですが、連載部分は非常にこなれたストーリー性の高いものになっていったのだと、この比較できるのが嬉しいではないですか。
しかし『リベラルタンゴ』は
幸せな子供(養子?)を7人(?)も持つ家族を作っていた、老人になっても添い遂げているヒロとアンジーの幸せな姿は、ゲイカプの憧れの将来の姿であるのかもしれないと感じる影で、そこに本当は3人で1カプだったはずの仲間であったベネの姿がなく、彼女が悲愴な死を遂げていたことにガクゼンとするのです。
一緒にブエノスアイレスに戻ってノニーノの店を継いで、子供たちのパパにヒロとアンジーがなるはずだったのに・・・
本当はもっとあったはずというこのタンコの世界。
また何かきっかけがあったら、何か一段落したら、その時の岡田屋さんの筆でもう一度みせて欲しい。
そんな魅力的な男たちがたくさんいた作品でした。
踊りをモチーフに持ってきているものは、こうでなければいけないと思う。
つまりはこの作品はタンゴというものが軸になるのだが、主要登場人物は普通に会話する以外にもタンゴというものを媒体として会話をし、感情を表し、物語を作っていく。
これが踊りをモチーフに持ってきている作品の醍醐味だと思う。
最近は折角、ダンスモノ・踊りをモチーフに持ってきているのに全く生かしきれていない作品ばかりにしか私は出会えていなかったため、残念に思うことが多々あった。
しかしその醍醐味を味わうには、作家さんの並々ならないそのモノに対する情熱と思い入れ、画力、構成力が要求される。
なかなかBLというジャンルでそんな作家さんにお目にかかれなかった私だが、この作品は手に取った瞬間からその香りがプンプンしたのだ。
読み進めれば読み進めるほどに【神】作品の香りに包み込まれていった。
タンゴみたいな男と称されるアンジー。
そのタンゴとは~ということが作中いろいろな表現で出てくる。
その伝え方が、何とも作家さんのタンゴに対するたくさんの思いに溢れている。
そしてそんなタンゴみたいなアンジーに選ばれたヒロ。
何とも苦しい壮絶な過去を持つヒロ。
ここに出てくる主要登場人物のアンジー然りベネ然り皆、壮絶な過去を持つのだがヒロの過去が私には何とも痛かった。
殴られボコボコな幼きヒロ、その過去をアンジーに語るヒロ、そんなヒロを「よく頑張った」と抱きしめるアンジー。
そんな二人が、ベネというアンジーのタンゴのパートナーの女性と織り成す「タンゴの男」、すごい面白かった!
タンゴという言葉でどんなイメージが浮かびますか?
先生の描く愛情深いお話が相俟って、“情熱的”というイメージが凄くしっくりくる作品でした。
#知識がありませんので、個人的に感じる雰囲気でしかないですが。。。
ボーイズラブという女性向けの恋愛漫画ではなく、(絵柄が筋骨隆々なのもあるかもしれないですが)骨太な愛情物語といった雰囲気だと感じますね。
アンジーとヒロの関係、ベネとの友情、恋愛に留まらない絆の物語。
本作の中で、作品誕生のお話や、雑誌掲載時の他作品の趣との違和感などについてもお話されています。
また、タンゴの男の一連のストーリーについても触れられています。
きっと全ての作品が完結されていたなら、もっと多様な絆や愛情が描かれていたのでしょう。
それはきっと、本作以上に今までにない作品だったのではないかな、と思いを馳せてしまいました。
描き下ろしでは既刊掲載作品よりもずっと未来のお話が描かれています。
哀しい描写はあるものの、素敵な未来像が描かれています。
個人的に、一生を共にする描写に凄く魅力を感じますので、とても好印象でした。
既刊には掲載されていないお話は、ちょっとした嫉妬のお話で、結構エロス満点です。
既刊とは異なる渋い装丁も魅力です。
タンゴの音ってものすごい破壊力があるので、
本から手拍子や足を踏み鳴らす音や音楽が聴こえたらよかったのに~!!
なんて思いました。
ダンスものの魅了は肉体美やその躍動感に尽きると思うのですが、
実際は音楽があってこそのダンスなのですよね~。
いつもダンス系やミュージック系のマンガや小説を読むと、音で聞いてみたいな~と思ってしまいます。特に作品が素晴らしければ素晴らしいほど、どんな音が奏でられているのか聞いてみたくなります。
こちらもそんな欲求が起きる作品でした。
音を聞くのは無理なのでアルゼンチンタンゴを流しながら読みました。
それにしても肉体の描き方がガッチリ系なので、読む人を選びそうだなと思いました。
絵で読まないなんて、それじゃぁもったいない・・・と思うんですけどね。
けど相当なガチムチ系なので、苦手な人は注意かもしれません。
あ、私はクマさんもいける人なので全然大丈夫でした。
そしてこの作品の好きなところは、
主人公たちであるアンジーとヒロの関係もそうですが、
そのアンジーとヒロ+ベネの三人の関係が素晴らしい!
BLに出てくる女性は変に物分りが良かったり(ご都合主義的な登場)、逆に主人公の敵だったりすることが多いですが、こちらの作品のアンジーとヒロとベネの関係はとても自然に見えました。
なんといっても、三人でいると「居心地がよい」と三人が思っていることが良かったです。
アンジーとヒロがくっついたからといってベネの存在が消えるわけではなく、彼女も彼らの大切な人である、という描き方がとても素晴らしいと感じました。
もう、アンジー・ヒロ・ベネの関係だけでも突き抜けて神評価かもしれません。
ベネのことについては悲しいこともありましたが、彼らがくっついてからの、
カップルのその先の人生まで描いているところが良かったです。