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実の兄弟もので、弟が攻めです。兄弟ものが好きで今までもいくつか読みましたが、これは今まで読んだ兄弟ものの中でもかなり好みで、冒頭から最後まで一切隙なく楽しめました。
弟の修は学生起業し、会社社長として独立し今や超がつくお金持ち。
反対に兄の渉は実家の小さな自動車整備工場を継いでいて、毎月ギリギリの生活を送っています。
二人の境遇はかなり違うのですが、この身分差が設定としてよかった。
家族がいなくて二人きりの兄弟なのに、家と兄を捨てて出て行ったきり、成功したのに連絡も一切よこさず実家の工場の援助もしないという修は、最初かなり冷たいと思いました。
母親がいなくて自分が弟を育てたという自負が渉にはあるのに、修が冷たい、会いにもきてくれない、と悩む渉の辛さがいじらしいというか、見ていてかわいそうになります。
けれどこの作品、実は修のものすごい執着攻めなので、一冊通してシリアスなんですが、かなり甘々でもあります。
修には修なりの理由があり、長いすれ違いがゆっくり解けていく様子が良かった。はっきりした起承転結がないなあと最初は思っていたのですが、後半はかなり怒涛の展開が続き、何度もジンとなりました。
渉というキャラクターの、身一つで弟を育てて実家の工場を維持するために駆け回ってドロドロに汚れて働く様や、お人よしで世間知らずなのに弟のまえではしっかりお兄ちゃんを装おうとしているところが好感度が高く、修が「お兄ちゃんが大好き」と子供のころから思っていた気持ちが当然のように納得できます。
修のほうが子供のころから「欲情」というものを兄に対してにはっきり抱いていているのですが、その修の「恋人みたいなことしたい」というのに対し、渉の恋と弟としての愛の境目は曖昧に感じます。
最初は、弟を甘やかすような気持ちで一緒にベッドに入った渉に、家族愛(母性愛)と恋愛の愛情の区別がついていない気がしました。
けど、渉は修が思う以上に修が世界で一番好きで、それは修が弟として生まれた時から当たり前のものだったために、どういう種類の愛かというのは最早関係ないのかな、とも思える作品でした。
絶対に世界で一番近く、世界で一番大好きな存在、という唯一というものがしっかり描かれている作品でした。
そして意外にもものすごくえろかったです…。挿し絵もそうなんですが、
濃厚なえろシーンが続くののよかったです。
後半はトラブル続きですが、前向きに頑張って、ぎりぎりのところで乗り越えて、それをお互いがいるから頑張れる、という絆の描かれ方が、近親もの独特の描かれ方だと感じ、それがとても良かったです。
このよさは普通に出会ったカップルでは成り立たない、兄弟ものならではだと思いました。
家族だとか、自分にとっての実家とか、お仕事とか、お金とはなんなのかとか、何のために稼いでるのかとか、不思議と愛とか恋だけでなくて、生活のために得ないといけないことは何のために?だとか誰のために?だとか、そういうことまで深々と考えてしまったお話でした。
兄弟もので弟の執着攻めが好きな方には是非オススメしたいです。
ガチ兄弟で弟攻が好きだったので、ネットであらすじを読んだ瞬間、気づいたら購入していました(笑)
兄弟二人のお互いのブラコンぶりは鼻血が出そうになりました。
心優しく弟思いな兄と、兄のためなら何でもやりそうな弟…
何ですかこの私得の作品は!殺す気ですか!?
Hシーンもあって、私的には大満足でした~。
悲壮感の無い兄弟禁忌もので一方がブラコンなのではなく、兄弟双方筋金入り。
8年のブランクはあるのですが、お兄ちゃん大好き、弟大好きの甘めの禁忌。
兄弟だからとか、同性だからとかそんなこだわり以前の仲良し兄弟が根底にあるので、
普通の執着系のストーリーとして気軽に楽しめるお話だったと思います。
出だしは弟の攻め様が大学入学と同時に寮に入り、そして二度との兄である受け様の家に
戻らないと宣言して受け様が呆然としている間に行ってしまうプロローグからです。
そして顔を合わせることなく音信不通の8年が過ぎて、受け様が家業である零細整備工場の
事務員と祖父の代からいる社員と3人で何とかやりくりしている工場の社長をしている。
攻め様と言えば大学在学中に金融系で起業し今では社員を100人以上抱える企業になり
経営者として順風に送っていることが受け様には寂しいながらも嬉しい出来事。
疎遠になった兄弟だが、受け様の誕生日には花束と高級ワインを毎年忘れずに送ってくる。
この誕生日の贈り物が攻め様と受け様の幼い日に約束なのですが、受け様は忘れてる。
忘れるというより子ども時分の面はゆい思い出なのですが、幼いながらに攻め様は
本気だったので、成長し受け様に彼女が出来たりしたことから仲の良かった兄弟の間に
溝が出来てしまった結果になります。
8年も帰ってこなかった弟が実は嫉妬と独占欲、そして兄の浮気で心が折れそうになり
家を出たこととはつゆ知らぬ受け様なのです。
そんな二人が8年過ぎて、受け様が従業員のためにお金が必要になり、友人の紹介で
ちょっと危ないバイトをすることになったために再会するのです。
流れ的にはシリアスになってもおかしくない内容なのですが受け様の弟溺愛と
攻め様のやっぱりお兄ちゃんが大好きブラコン状態で、受け様は簡単に気持ちを受け入れ
あっさり肉体関係になったりします。
8年の空白を受けるように攻め様を甘やかす受け様なのですが、大人になった男二人
兄のためだけに仕事を頑張ってきた攻め様と弟に金銭的に甘えっぱなしの受け様との間に
ちょっとしたズレが生じたりしますが、精神的には甘ったれ攻め様と弟を甘やかす受け様
バカップルブラコン兄弟のノリでしたね。
軽く楽しめる兄弟禁忌で以外に面白かったです。
こちらは釘宮さんの3冊目の作品なんですね。
秘密で緻密な欲望。
最後の桐谷修の告白を読むとタイトルに納得します。
兄渉は可愛がってきた唯一の家族である4つ下の弟の修に数年間ずっと避けられ、大学進学を機に家を出て寮に入ることも直前に知り、最後の言葉は「もう戻る気ないから」って言われて…。それから8年間。
その後もメールも返事はなく連絡もなく。
ただ誕生日にはワインと薔薇の花束が届く。
この意味を渉がわかっていれば!
うーん、兄弟だよね?これは修の飴と鞭なのか?散々冷たくして無視してお金に困り果てた渉に8年ぶりに再会して、何もなかったように機嫌よく話しかけて…。
渉もプライドや葛藤があったでしょうが、可愛い修に敵いません。求められたら性的なこともあっさり進んじゃって。
長年の不仲が嘘だったように蜜月を過ごし…。釘宮さんならそろそろズドンと来るかな?足元がすくわれるような衝撃的な事実が明らかになったりとか?実は地獄と天国の始まりとか?と思ったけど何もありませんでした。
修がやたら金カネ言うのが気になりましたが、長年貧乏暮らしで渉と桐谷モータースのために稼ぐと決めていたんだから仕方ないかな?
なんかあんなに渉が泣いたり寂しかったりした十数年が可哀想でした。
でも修も裏切られてショックだったんだよね。
兄弟の禁忌感はほとんどなかったかな。