俺だけの女王様でいてください。

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作転げ落ちた先に

渥美卓也
新任の企画課課長
鈴木義彦
翻訳をする営業部企画課社員

その他の収録作品

  • 転がりこんで来たもの
  • 忠誠
  • あとがき

あらすじ

全裸で、抱かれた痕跡を残す身体──酔い潰れて目覚めた翌朝、鈴木は愕然とした。かつては美貌と才能で女王様扱いされていた。けれど身体を壊して、すっかり面変わり。身の回りにも無頓着に過ごす自分に、今更欲情する男などいないはずだった。その部屋の主・渥美は新任の上司で、有能な男前。なんで俺!?と真意が分からずにいたが、以来、強引ながらも甲斐甲斐しく構われて……。

著者:真名あきら

作品情報

作品名
転げ落ちた先に
著者
真名あきら 
イラスト
水名瀬雅良 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
ISBN
9784829625514
3.8

(37)

(6)

萌々

(20)

(10)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
9
得点
141
評価数
37
平均
3.8 / 5
神率
16.2%

レビュー投稿数9

根っからの女王様気質がいい

特別大きなアップダウンがある訳でもないし、普通とは言い難い受け様リーマンと
上司の話なんだけど、この根っから女王様気質の受け様が妙に惹かれる。
いったいどれだけの外国語を扱う事が出来るのかと思える優秀過ぎる受け様ですが、
攻め様が上司として現れた時には、まるで窓際リーマンみたいに日々仕事を淡々とこなし
やる気が無い訳でもないけれど、根っからの理系体質みたいな受け様なのです。

それでも、受け様にはそれはそれは輝かしい過去があったりするのですよ。
それも頭脳だけでなく、元女優の母を持ち、その美貌を本人もガッチリ受継いでいる。
そして、その見た目だけに群がる様な相手を適当にいなしながら付き合って、
取り巻きを引き連れて遊ぶときにはとことん遊んでるまるでどこかの御曹司。
もっともかなり資産家のお坊ちゃまみたいなバックグラウンドなのですが、
それから病に倒れ、すっかり病的にやせ細り、誰も受け様とは気が付かないくらいになる。

散々受け様の能力を褒め称えていた会社も、恋人も友人も、受け様の外見が変わった途端
気が付きもしない状況の中で受け様は転職し、今の会社で能力以下の仕事をしてる。
でもそれでも、凄い仕事をしてる風に思えるのは言語が苦手な私の憧れかも(笑)
取りあえず、仕事に集中したら何も他には目がいかなくなる理系さんです。

そして、前任の上司が退職し代わりにやって来た上司はデキる上にイケメンなのですが、
その上司に酔ったところをお持ち帰りされて即抱かれてしまう。
受け様の記憶が無いところが怖いけど、この受け様ってかなり飄々としてるのです。
怒る内容がそもそも違うし、自分を卑下している訳でも自己評価が低い訳でも無く、
現在の自分の見た目を冷静に判断分析して、自分に欲情出来る上司に呆れてる風。

酔ったはずみの1度きりの関係だと思っていた受け様ですが、それからも攻め様に誘われ
美味しい食事に至れり尽くせりのご奉仕を攻め様に受ける。
互いに勘違いや誤解があるのですが、ドロドロしていなくていいのです。
実は攻め様がかなり一途で受け様を好きだったと言うオチなのですが、
受け様視点で描かれる本編は、物好きな攻め様って感じで流れてます。
攻め様視点の「転がりこんで来たもの」や「忠誠」を読むと受け様モテモテだとホントに
思えるし、攻め様も一途で昔から女王様に振り回されていたのねと言う内容でした。
タイトルと水名瀬雅良さんのイラストを見た時にはシリアスな雰囲気ビシバシな
気がしてしまいましたが、蓋を開ければそんなことも無いストーリーで
個人的には好きなキャラで楽しめましたね。

9

この女王様はいい・・・

なんでしょう、すごく楽しめました。
序盤の展開にええー!?
眠ってるうちに襲うの!?と思いましたが、翌朝目覚めた受け・鈴木の最初の一言に、ええ、そこなの!?そこ!?って思ってるうちにお話しに惹き込まれてしまいました。
女王様だけど、気取ってない鈴木はなんだかとても好印象(*´ω`*)
病気で昔の容貌と様変わりしてしまった事とか会社をやめてしまった事とか悲壮感感じさせないところも読みやすくて良かったです。
攻めの渥美の過去がわかってくるあたりとかもあー、そう来るのかーと。
後半の渥美視点の話でさらに、鈴木の外見と身体だけに惚れてるんじゃないっていうのがよくわかるお話しでした。
読んで良かったです(*´∀`)
作者さまのブログに続編などあるようなので、読んできます!!
追記:続編やSSすごく良かったですー!!

9

kumachi7

stella☆さま

はじめまして、こんにちは。
コメントありがとうございます。
ですよね、受けの鈴木は本当に個性的でなかなかいませんよね。
昔の自分に執着することもなく、無精髭とか(w
オーダーメイドのスーツはよれよれだし。
続編で渥美の元部下の出現にも飄々とした感じだし。
なんなんでしょう、鈴木。
わたしも、すごく好きです。
渥美もよく諦めずにいてくれたなー!!と本当に良かったですよね。
続編やSS、もっと読みたいですよね。
あの会社のシリーズも面白そうですよね。
stella☆さまは読まれましたか?
わたしはまだなのですが、ほかの作品も少しずつ読んで行きたいと思ってます。
商業でももっと読んでみたい作家さまですよね。

続編やSSの事は茶鬼さまがレビューに書いてくださってたので、茶鬼さまのおかげなのです。

stella☆

kumachi7さま
はじめまして、こんにちは!
受けの鈴木がとても個性的で私も好きなんです。
女王様だけど本人はすごく自然態で、でもひねくれているし理解してくれる人は少なそう・・・
渥美のような人はなかなかいないでしょうから、読み終えたとき「良かったね~!」と(笑

私が読んだのは発売当時で、続編やSSがこんなに有るとは知りませんでした。
kumachi7さまのレビューのおかげで読むことができました。ありがとうございます!
真名あきらさんは商業作はこちらのみのようで、、なんでなのでしょう?残念ですよね!

初々しくも良作

初めての作家さんでしたが非常に楽しめました。出だしは前後関係がわかりにくく、ひっかかる点も多くて大丈夫かな?と思いましたが、中盤以降ぐっと盛り上がって一気読みでした。面白かったです。

曾ては才能と美貌をほしいままにしていた女王受け、鈴木義彦。仕事のしすぎで胃の病気をして、窓際属となり、今はガリガリで身なりも気にしない。
一人称でコミカルな語り口が悲壮さを感じさせずよいです。
そして、そんな受けのいる会社に中途採用されてきた課長、渥美。男前ながら、胃の悪い受けに酒を飲ませて襲うというひどい出だし。しかし、その後もこれでもかというくらい義彦の世話を焼きます。

お互いオジさんな年。それなりに人生経験を積んだ者同士のやりとりがとてもよい。受けも、襲われながらも傷つくでもなく、「中出しすんなよ!」の返し。「そこかよ。。」なコミカル半分のかけあいが心地よい。
オジさん同士の恋、いいですね~。もっとこういう作品が増えて欲しい。(少女マンガっぽい20代のキャッキャした恋愛には食傷気味。。)

その後、お仕事関係でも、人間関係でも渥美によって義彦は成長します。そこがタイトルの所以ですね。

超高飛車女王様な受けですが、「承知しました、女王様」な包み込む攻め(上司)との主従関係。お仕事関係とのよい対比です。そして、オカンか、というくらいまめで口うるさい攻めに、「はいはい」と面倒くさがりながらも従う受け。ここは男女なら逆の関係ですよね。単に女王×ワンコじゃないリアルなオジさん同士の関係が何層にも周到に作られてて、うーんと唸りました。

ぜひ他の作品も読んでみたいと想います。

4

マイペースで面倒くさがりな女王様

キーワードは「女王様」ですね!
鈴木(受け)の目線で進む表題作「転げ落ちた先に」、
渥美(攻め)の目線で進む表題作の中での短編「転がりこんで来たもの」、二人の大学時代の短編「忠誠」の3作品が収録されています。

鈴木は昔は美貌の持ち主でしたが、胃を壊してからは痩せぎすで見る影もありません。そんな彼を、中途入社の新課長・渥美はなぜか世話を焼き抱きたがり…という内容です。

鈴木は「やってもらうのは当たり前」の女王様気質ですが、相手がしなくても「あっそ」と気にしないさっぱりとした人物です。能力が高いうえに努力も厭わないので、愛想がなくても引く手あまたの仕事ぶりで、リーマン好きの身には好感がもてる社会人です。

一方、渥美は大学時代から惚れていただけあり、再会してからは計画的に酔わせて襲うという諸行をこなします。しかし、それからは鈴木を「女王様」とうやうやしく扱い機嫌をとり世話をし…、そんな関係を鈴木も楽しみますし、こちらも読んでいて楽しかったです。「転がりこんで来たもの」で耐える渥美の姿には笑いました。

単純な「女王様」「下僕」または「犬」という関係でないのが面白かったです。全体的にコミカルな雰囲気が漂っているので、読んでいて明るい気持ちになりました。

水名瀬先生のイラストも作品の雰囲気にピッタリで、元美人な鈴木のやせた姿、髪を切って変身した風貌、鈴木より4つも年下とは思えない渥美の落ち着きぶり、すべて良かったです。

あとがきで「万人向けするとは決して申せません」と担当さんに言われてしまったという作者様ですが、30代リーマン好きにはお勧めだと思います。ちょっと変わった女王様をお楽しみください。

3

胃を切っても美食家で(でも無頓着)

タイトルから、何かトラブルが起きて地位から転落、落ちぶれていく暗いストーリーかと思いきや。
違います。面白い。
ストーリーの面白さもだけど、おかしみすら感じさせる「大好き」の暴走が。

主人公は頭良く顔良く家が金持ち、何でも持っていた男・義彦。ゲイ。
しかし、数年前に身体を壊して胃の手術をした後は激痩せして面変わりし、周りの人間が離れていった。
しかし元々人間に執着しない性格だったのでそれ以降は枯れて淡々と暮らしていた…
…という冒頭。
部署に新しい課長が着任するのですが、この課長が…⁉︎ という物語です。
渥美課長はシブオジのイケメン。仕事もデキる。
そんな渥美が自分の歓迎会でわざと義彦を酔わせてお持ち帰りし、生出しでヤる。
は?
こんな痩せたオレを?
…と疑問だらけながら、やりたいならやれば、とどうでもいい義彦!
一方渥美はその日から自分の豪華マンションに義彦を住まわせ、食事も送り迎えもクリーニングも、とにかく生活全般全てお世話する。
そして仕事面でも、義彦の実力を他部署や外部研究者たちに知らしめるが如くに変化させていきます。
義彦はなぜ渥美がそんな事をするか全然わからない、わからぬまま差し出されるものは受け取る。
後半、渥美と義彦の接点が明かされて、渥美の行動原理と義彦の度を超えた他人への無関心が浮かび上がってきます。
といっても深刻じゃなくて、渥美のあまりの報われなさが笑える感じ。
よく考えると渥美は執念深い気もするけど、書き方でそう見えない。
これ、義彦は悪気は無く生来の性格だから、渥美はとことん尽くして義彦の健康管理頑張って欲しい。あとHのヤりすぎ/中出しはダメだと思う。

今回電子で読んだけど挿絵ありました!しかも大好きな水名瀬雅良先生。ヤッタ!

0

この作品が収納されている本棚

ちるちる評価ランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP