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お話としてはライトめで、テンポも良い感じです。
苦い失恋から恋愛に少々嫌気がさしている攻め・赤江(海外支社勤務の経験のあるエリート、しかも偉ぶりもしない好感の持てる美形。…イイ男です)と、男女問わずを魅了しまくる魔性の受け・永嶺(ギリ三十代)の一応ノンケ同士?いや永嶺所長はバイ?な恋愛。
――読者から見ても確かに魅力的なオヤジなんですよ、この人。ざっくばらん(?)な性格と美人顔、白髪、それに仕事スイッチが入った時のカッコよさが絶妙に合わさってキャー、みたいな(笑
なのに攻めにはその「魔性」が効かない(何かの技名みたいでw)。
魅了されないにも関わらず、のっぴきならない事情から所長と”付き合う”ことになってしまった赤江は、彼のまた違った一面――無邪気だったり無自覚に弱かったり――に接する内、「魔性」とは無関係に少しずつ恋を育てていきます。
(この"事情"の原因となった攻めの元同僚の女の子……悪い人ではないし、話の起爆剤でもあるのですがいかんせん、行動が少しイタいです。苦手な方は要注意。
攻め受け双方に影響を与えているそれぞれの過去はあまり掘り下げられていないので、重たさ・くどさはそう感じられません。全体としては、コミカルな部分も多く適度に読みやすいライトさだったかなと。
力のある作家さんじゃないと、多分サラっとしらっと読み流してしまうような展開だと思うんですが……話のつくりが上手いのでしょうか、今一つ先が読みきれないのと、場面場面での感情の追い方に引き込まれました。
それに、花ヶ谷営業所の皆さんカッコいいんですよ。社会人として。お仕事BLって程でもないのですが、お仕事シーン他の"デキる"感じがもう、堪りません←
永嶺所長(受け)じゃないけど、「痺れるねぇ♪」ってやつです。
で、ここからが本題です。(え
赤江が……攻めが可愛い!
どちらかというと私は受け至上主義、普段あまり攻めは気にしません。しかもこの作品の受けはかなり好みの部類……なのにここまで攻めに気を取られるって、初めてかもしれない(笑
初日に左遷の事情をバラされた時の赤面に始まり、いちいち表情が受け受けしくて泣かせたくなるんですよ~← デキる男前なのもまた良いですし。
あんまり可愛いので、後半になると何かもう受け同士にしか見えなくなりました……これが百合か!って。(違
今なら百合好きの方の気持ちが分かるっなんて勝手に親近感を抱きつつ、新たな境地が拓けていくのを感じました。はい。
さてこの作品、読後しばらく経ってから振り返ってみると、引っ掛かる部分は結構あります。
結局所長はノンケなのかバイなのかとか、赤江の元カノ"マリさん"に対する気持ちの決着はいつの間に??とか、そもそも何故「魔性」が効かないのか、所長なんで白髪??とか。二人共の過去の色々の扱いが軽いせいでどうしても、話の説得力は下がってしまいますし。
ただ、読んでる間は殆ど気にならなかったのと(普段少しでも引っ掛かるとすぐに白けて、読み流してしまうのですが…)妙に印象が良いのとで、凄く"当たりだった"感が強い。
なので評価はとりあえず、読み終わった瞬間に(「神」だ!)と思った、その直観に従います――時間が経って頭が冷えた今、何がそんなに気に入ったのかよく分からんのですが(笑
前作フラッターが、うーんリアリティー希薄?な感じでいまいち好きになれなかったのですが、これはきゅんきゅんきました。
じぶんが働いてるせいかもしれないんですが、仕事と恋愛描写のバランスがよく、また仕事の内容や背景も以前より書き込まれていたので、人物造形や心理描写、お互いに引かれあっていく心のうごきも手に取るように真実味があって、床でじたばたしました…。こんなひといるよ。ぜったい。所長。
あと!
結婚出産した女への目線にもぐっときた。作者さますごいうれしいです。
飄々としてるのに仕事はできる!
軽口叩いてるのも計算!
徐々に恋心が溢れてきちゃうのも可愛いくて、本気か嘘か分からない絡み方に翻弄されちゃう。こういう受け大好きです。
気持ちが通じ合うまでもコミカルで、あっさりしてるようで読み応えあり!
受けのが背が低いのに華奢すぎないってのも良い!でも?だからこそ?色っぽい。取っ付きづらそうな攻めも心開いてきちゃうの分かる!
いじめられたそうにしてるから優しくするって!!!!!
この一言で攻めの株、急上昇!!!
他の皆が虜になる受けの表面的な部分じゃなくて、素の部分や攻めにしか見せないとこに惹かれていくのも良かったな。好きって気持ちのデカさと強さで受けを包み込むの…いい。受けのインパクトが強すぎて攻めのことおざなりになってたけど、攻めの良さもじわじわきます。
天禅先生のキャラは基本的にとんでもなく歪んだ主人公キャラは出てこないので、いつも安心して読んでいます。そんなわけで、ドラマチックにドッカーンとくるものは特に求めていないのですが、それよりもじわじわと押し寄せてくる感情の波を味わいたくて作家買いをしているかたです。
本作はリーマンもので、「赤江 ノンケ・高スペック部下」×「永嶺 ノンケ?白髪の魔性上司」のお話でした。ノンケ×ノンケが好きなので私向き設定でした。
赤江(攻め)は海外勤務からわけあって日本の社に戻ってきたという設定です。
永嶺(受け)は赤江(攻め)の上司で、歳は三十代の後半なのに髪が白髪という見た目に特徴のあるキャラでした。漫画だと茶髪も金髪も白髪も同じに描かれているので、そのインパクトが伝わらないのが残念でした。TVドラマで見たらインパクトのありそうな設定だなぁ…なんて思いました。
さて、本作の上司の永嶺(受け)は、男女ともに魅了する魔性という設定らしかったんですが、攻めさんと同じく私にもその魔性ビームが効かず、魔性についてはよく分かりませんでした。あ~魔性ビーム感じたかったです。萌え殺されたかったよ~!(笑)
私にはこの受けさんは魔性というより人間的な温かみで人を惹きつけるオーラを持った人という印象でした。
そこに色香も絡んで~みたいな設定だったようですが、受けさんの過去のごたごたを描いた回想シーンなどが無かったので、あまりピンと来なかったというのが正直なところです。でも天禅先生は爽やかさが第一の作風なのであえてその辺りは端折った気もします。
永嶺(受け)は赤江(攻め)を試すような行動をとったり、無邪気にキスしてくるあたりが魔性と言えば魔性かもしれません。実際それらの行動に徐々にキている攻めさんでした(笑)
でも魔性うんぬんは置いといて、
この作品はノンケ同士の二人が、じわじわと精神的に接近する感じがいいです。
二人が接近したきっかけは赤江(攻め)が女の子からの告白を断るために、魔性の上司という噂を利用して永嶺(受け)に告白したことからでした。
その赤江のウソ告白にわざと乗って付き合おうという永嶺。
ボケにボケで返すような展開で二人は付き合いだします。
というか永嶺のほうが面白がって付き合っていることにしているような感じです。
でもそんなことをきっかけに、徐々にノンケの赤江に恋心が芽生えていきます。
無茶な展開ですが笑わせてもらいました。告白してきた女の子の前で二人が無理矢理キスをする振りをしたり(実は無理矢理でもなかったw)、ここはコメディタッチで面白かったです。
ノンケゆえの大胆行動が好きな私には美味しい展開でした(笑)
そしていよいよ二人の気持ちが重なりあった時。
赤江の「俺に魔性が効かないっていうなら本気以外に理由がない」って永嶺に対して言うセリフ、まっすぐ過ぎて直視できないセリフでした(笑)なんか萌えっていうか悶えたというか恥ずかしかった。
一種のプレイですかね。私を辱めるためのプレイなんでしょうか。
先生のまっすぐキャラは毎回直視できないw
欲を言えばノンケ×ノンケのじれったさや葛藤がもっとあっても私は平気だったかなという印象でした。というか永嶺(受け)のほうは本当にノンケなんでしょうか。ノンケというより無自覚なバイ?なぜ男に平気でキスできるし?と。そこは謎でした。
天禅先生のキャラはどこかに人の良さがあったり、純情だったり、基本的に爽やかかつ人間の暖かい面を感じられるところが好きです。
本作もそんな先生の「らしさ」を感じる作品でした。
既出の作品では「フラッター」に近い路線だったと思います。
どうして受が白髪になったのか悲しげな過去エピをワクワク待ち望んでたんですが…全くスルーだったので消化不良(泣)
逆に攻は彼に想いを寄せる同期女性+元カノと身辺がゴチャついてウザイ…でも、その強引な同期のおかげで受を意識し始めたから結果オーライですねf^_^;
設定についてアレコレ言いましたが登場人物たちの人柄・内容はどストライク!!
不倫の噂が元で左遷された赤江(攻)が花ヶ谷営業所の所長である『魔性』と名高い永嶺(受)と出逢いゆっくり近づいていく話。
エリート年下攻めが、これまた仕事のできる余裕ある年上に対して抱く気持ちが必死なのが良い~!
最初、赤江は永嶺を『魔性』の噂も手伝って得体の知れない男と捉えているんですが、永嶺のストレートで人当たりの良い態度と思慮深い言動から彼を気にするようになります。
どんな人かわからなかった永嶺の内面をポロポロ見せられて謎を解くみたいに惹かれていく…気がついたら好きになってました…という天禅さんらしい気づきからの感情の流れが丁寧な描写で綴られています。
永嶺が自分で気づいていないけれど実は傷ついている切ない部分に触れて感情から恋情にダメ押しされてしまう赤江が誠実でイイ男なのも嬉しい。
出来る男が実は単純というのがツボな私です。
そのくせベッドではヤキモチやきのドS発言!
永嶺だけじゃなく私もキュンとしましたよ、萌えちゃったよー!!
永嶺のうっすらMビッチっぽい感じも美味しくいただけました(笑)
いい大人がふたりっきりになると余裕が吹っ飛んで一気に可愛くなる姿は頬が緩みます。
身長差もキュン死率を上げてくれました。
色気たっぷりで見つめあうスーツ姿のふたりの表紙。
かたや顎に指をかけ、かたや背中を優しくホールド。
作中での、この身長差のキスシーンが色っぽいんです!
読み終えてカバーを外すと10年後の彼ら。
超絶、好み!!
番外編でいいので読みたいです!
実は最初に読んだ時に『魔性』設定は必要?
無意識にフェロモン垂れ流してる人だよね?敢えて魔性の枠づけって必要?という感じだったんです。
でも最初に赤江が永嶺に対して警戒するという後の感情の流れを引き立てる意味では必要だったのかな?と読み返すうちに思うように。
設定を生かしきれてない部分はあると思いますが十分、楽しめました!
あ、牽引免許取得者が多い設定にはズキュン(笑)
スーツでガテンぽい意外性が大好きっ!