__モコ__
緒川千世さん、オリジナル同人誌。
現在購入できる3冊を全て入手、こちらが最後となります。
(3冊発売順としては、西階段の悪魔→こちら→Laundry.)
異母兄弟、近親相姦のお話。
高校生の栄太はクズ人間です。
見境なく売られた喧嘩は買い、傷だらけになり、フラフラしている。
一方で1つ違いの弟・旬は、イカれた栄太とは違い、品行方正の真面目で真っ直ぐで優しい男。
いつだって怪我した兄の手当てをして、諭して喧嘩なんてやめるよう説得する。
自分に触れてくれる弟の手のぬくもり、少し高めの体温、石鹸の香り。
栄太の心を掻き乱す、知られてはならない気持ちとは――と進みます。
いいですね、緒川さんの、ギャグ1つもないひたすら暗い暗い話。大好きです。
暗いストーリーだから表情も乏しいかと思いきや、弟の温もりで自分のそれを握って名を呼ぶ時の栄太の熱を持った表情なんかは、笑顔がない分だけそういう細かな表情の違いにハッとさせられます。
また、中盤から後半、ラストに向かって。
栄太と旬の瞳から輝きが消えていくのですが、どこかこう、遠くを見ているような雰囲気はゾクリとします。
絶対に絶対に知られちゃいけない、自分の気持ち。
栄太はただひたすら隠すも、旬に手当される事で、禁忌の中のわずかな慰めでそんな自分を許す。
兄思いの弟だから。優しい弟だから。だから知られちゃいけない。
……と続く、このあとの展開、すっごく良かったです!
イカレてるのは自分だと思って居る栄太ですが、きっと彼は兄として分かっていたんでしょう。
イカレてるのは、弟の旬の方だって。
だから弟に抱かれながら泣くんです。
後悔。結ばれる事の喜びよりも何よりも、ただひたすら後悔して、自分を責めてきっと生きていく。
「何の曇りもない お前には明るい道を歩いて居て欲しかった」、この台詞が栄太の全てだなって。
そして、旬が彼に向けた「痛い所があるなら言ってごらん」。
私には、恐怖以外の何者でもない台詞でした。
結ばれる事が、決していいことではない。
この2人にはきっとずっと、傷みしか残らないのではないだろうか。
うーん、良かったです緒川さん!
やはり大好きですー。ギャグもシリアスも、雰囲気で持って行けるなぁと思いました。
5月発売のコミックスも楽しみにしております♪
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