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あんたが甘えてくれると、幸せな気分になれる。
酸いも甘いも混ぜ込んで三冊に渡り語られた
くろねこ屋にまつわる講釈が実に見事な大団円を
織り成してお仕舞いでございます。
評者は大概BL小説の登場人物には隣人になって
欲しくないと怖気づく方なんでございますが、
くろねこ屋の面々とその周辺の人達がご近所さんなら
どれだけ世間が明るくなるだろう、などと不埒にも
本を紐解きながらついついと考えておりました。
それだけ暖かい読後感だったという事なんで
ございましょうね。
狂言回しと言うか主役だった筈の坊やが一人春を待つ
状態で残されちまいましたが…あの界隈に居るなら
追っ付け良い恋に巡り合えるでしょう。
そう言う空気がくろねこ屋の辺りには漂っておりますから。
アンティーク雑貨と喫茶のお店『くろねこ屋』
四季を通してのそこの人々の様子を描いた本作は、とんでもない出来事があるわけではないけれど、日々すぎていく日常のあれこれだけで充分に幸せが伝わってくる。
今回も、彼等の気持ちににんまりしてしまった。
一番目をひいたのは、厨房担当のアマリネと副店長のシロタエ。
店長のヒイラギがずっと学生の頃から好きだったのに、まるで顔を合わせればケンケっぽい仲の二人だったのに、
シロタエを好きだったアマリネに、付き合ってもいいよ。と始まった仮のような恋人。
憎まれ口をたたくシロタエの超ツンデレと、それをちゃんとわかっているアマリネ。
ヒイラギが怪我をした時のアマリネの言葉に、バレンタインに見事な薔薇のチョコレートを送られた時のシロタエの言葉に、
そして、初めてシロタエの部屋に来たとき実は大変な汚部屋だった時のアマリネの言葉に、
そう、二人の会話にきゅんきゅんさせられっぱなしv
どんなシロタエも全部ひっくるめて愛してるというアマリネに、素敵な男性を見ました。
そして、タンジーとエイスケのカプは見守り愛。
エイスケが大人になるまで待つという言葉に従うエイスケがとうとう高校を卒業して、式に出席できない両親の代わりにタンジーが駆けつけ(店の皆が応援♪)その足で待ちきれない二人は・・・♪
このカプもエイスケの成長が見ものでした。
そしてオーナーのネコヤナギと店長のヒイラギの溺愛カプ。
ネコヤナギがどれくらいヒイラギを愛しているかというのは壱の巻でもあてられるほどに感じましたが、
バレンタインにタンジーに作り方を教わってネコヤナギの為にチョコを作るヒイラギという姿もあれば、
もっとワガママを言って欲しいのだと言うネコヤナギに、口に出さなくてもネコヤナギがいないと寂しいと、本音を言っている愛しいヒイラギの姿。
今回はヒイラギがいかにネコヤナギを愛しているのかが、言葉で知ることができました。
こうして、あとがき漫画にもありましたが一人はナズナくんw
この幸せな人々たちの中で幸せをわけてもらって、彼にもはやく好きな人ができるといいな、と思いつつ。
どこかにこんなカフェはないのだろうか?と路地をさがしたくなってしまう。
素敵なくろねこ屋でした。
う~ん、、、今回は何と言ってもアマリネが好きだったな♪
先に発売されたコミックスと同じタイトルだけど、壱の巻小説版の続編。
またあの独自の和む時間と空間が味わえる作品です。
あのくろねこ屋のある意味個性的な面々が再び登場、前回店長が好きなのに
その店長にはオーナがいて、片思いの苦しさ切なさをもどこか楽しんでいるのかと
思っていた副店長のシロタエとそのシロタエにしょっちゅう苛められているコックの
アマリネの二人のお話から始まる続編だと思ったらネコヤナギさんとヒイラギさんが
メインなの?と言う感じで始まり、庭師の東さんや双子まで参戦。
でも不思議ですよね、店では本名がNGなんて、そしてくろねこ屋の面々の花の名前
どこか次元の違う空間にでも連れて行かれるような感じがしますよね。
どの話をとってもほんわか幸せムードが漂っていて読んでる方が幸せな気分になる。
穏やかに温かく、どこか現代の喧騒を忘れさせてくれるノスタルジックな作品で
ふんわり楽しませてくれる1冊。