日本最大級のハイブリッド書店
コミカライズと小説版、一緒に届いたけど、まずはコミックの方から読みました。
大学時代に片思いして、その思いを引きずったままだった宇野。
その気持ちにケリをつけようと、村上に会うつもりで地元での大学時代の友人の結婚式に出かけていくのですが、、、。
花見の席で、偶然見つけたホームレスに落ちていた村上を、宇野は拾って帰ります。
そして始まる二人の奇妙な共同生活。
この宇野の対応が、拾って来て、自分の部屋に住まわせただけで、それ以上のことは何もしない。
着替えもなく、風呂にも入らない村上の臭いを、気にしつつも、村上の不在時に部屋に消臭スプレイをするだけで、それ以上のことはしない。
むしろ、その臭いで村上の存在を強く感じてよろこんでいるような。
また、家に置いたままの現金が、減っていっても見て見ぬふり。
そんな宇野の態度に、村上は自ずから自分の生活を立て直していくのですが、それが引き金になって、宇野は村上から離れようとします。
宇野の、村上が「観葉植物」と評した静謐さ。
糸井さんが描く、実に地味な宇野の姿が、この、不気味な位の愛の深さにとても似合っていて、
原作とコミック、このお二人の組み合わせだからこそ、より作品世界が深まって、よかったのだなあと感じました
僕はもう君を 一生忘れられない
淡い植物のような印象の宇野と、誰からも好かれる太陽のような村上
宇野はずっと村上のことが好きだった。
忘れられない恋だった。
しかし、数年ぶりに出会った彼は、全てを失いホームレスになっていた。
村上を拾い、一緒に暮らしはじめる宇野。
無償の愛を与え続ける宇野に、次第に心を取り戻していく村上。
しかし、次第に立ち直っていく村上に孤独を感じる宇野。
これ以上 君のことを 好きになりたくない
宇野の思いを知る。
今までの優しさは、すべて「愛されていたから」だと気づく村上。
俺は 忘れられたくない
そんなこと言わなくたって、
宇野はもう村上を忘れられるわけないのに。
村上は誰からも好かれ、孤独で、傲慢で、ズルい男だ。
木原先生の作品は何本か既読なので、こういう切ないとか心が痛むような表現には慣れているつもりだったのですが、コミックになり絵が付いたことによって7年間一人の男に想いを馳せて未だに忘れられない男と、人気者でコミュ力が高くて彼女がいて、しかしある出来事が重なり落ちぶれていった男。
それがコミックになったことによりかなり形を成して読者の心を抉ってきます。
他の方のレビューであらすじは何となく掴めると思います。
私としては、ああ、人間ってこういう生き物だよな‥と思いました。きっと忘れられない人って誰にでもいると思うんです。それが恩人だったり憧れの人だったり、宇野のようにそれが想い人だったり。きっとそれは簡単に振りきれるようなものではなくて、宇野は落ちぶれて生きた生ゴミだと思っても、昔から忘れられなかった村上と暮らしても、宇野は村上を嫌いになれませんでした。
このお話は本当に受け取り方に個人差が大きいと思います。木原作品はどれもそのようですが‥
私はもうこの時点で少しハッピーエンドなんじゃないかなと思いました。
確かに村上が大学の頃の彼女を忘れられなくて、似ている人をつい追ってしまったり、そういう場面もありますが宇野が村上を忘れられなかったように村上もきっと彼女を忘れられないと思います。
人間って、そんなに上手に生きていけるものではないと思うんです。忘れたくても忘れられない。たぶん意味があるんです。
この二人がこの先生きていく上でこの消えない思いは必要なんだろうと。
商業に慣れてしまうと攻→←受
の方程式が作られてしまいますが彼らも男ですので女の子に惹かれてしまうのは仕方のないこと。
私はコミックが良かったら同時発売のノベルズも購入しようと思い買ったのですが、買います。このまま終わるなんて耐えられません。
でも、ハッピーエンドとまではいきませんが一応それなりにキリはついているのでコミックで納得のいった方はノベルズまで手を伸ばさなくてもいいかなと思います。しっくりこない方はノベルズまで即手を伸ばしましょう。
改めて木原先生は本当に人間ってこういうものだよな‥と痛感させてくれる作品をお書きになられます。
漫画をお描きになられた糸井先生の絵もしつこくなく、無駄な表現も無く癖もなくとてもすっきりストーリーに入り込んで読めました。
素晴らしかったです。ノベルズも購入しようと思います!
木原音瀬先生の小説をコミカライズした作品です。
糸井のぞ先生の細い線が、作風に良く合っていると思います。
大学の時に好きだった村上には可愛い恋人がいました。
好きな気持ちを伝えられないまま、恋心を昇華できないまま社会人になった宇野。
卒業後、疎遠になったあとも村上を探し続けるような宇野の執着ともいえる一途な恋心が印象的な作品です。
村上のことが好きで好きで仕方ない宇野が、落ちぶれた村上と再会しても嫌いになれないところが切ない。
たとえ、お風呂に入らなくて臭くても、お金を取られても、何をされても黙って見守ります。
でも、それは優しさだけじゃない。
村上を手放したくないからなんだよね。
静かに見守ってくれる宇野に癒され、人間らしさを取り戻していく村上は、クズ攻めだと思います。
無自覚に宇野の心をかき乱し、宇野の好意につけ込むところは本当にどうしようもない。
そして、描き下ろしの木原先生の小説を読むと、切なさと不安が増します。
元カノに似た女を追いかけ帰宅後には宇野を抱く村上が、自分の気持ちも人の気持ちも信用できない、とっても危うい男だと再認識させられます。
ハッピーエンドなんだろうけど、手放しに喜べない。
余韻に、なんもと言えない哀愁を漂わせます。
でも、やっぱり唯一無二の素晴らしさがある木原作品。
コミカライズも間違いなく面白く、あっという間に引き込まれました。
読みやすいかなと思い、まずはコミックスから。
読み入ってしまうんだけど、やはり私の中ではありえない男・村上でした。
ついでに言えば宇野の方もちょっと…こればかりは性格だからしょうがないのかな??
読み終わってすぐに思ったのが、宇野以外に自分を支えてくれる人間が現れたら
すぐにそっちにいくんだろうな…てきな。
正直、宇野が好きなんじゃなくて、ただ都合のいい存在にされてしまってるよね?
なのに宇野の方も最後まで本当に拒絶できないから、余計に村上の傲慢さに腹が立つ!!
好きなのはわかるんだけど、1度は拒絶できたんだから頑張れ宇野!!
宇野には幸せになって欲しいけど、村上は嫌だ。
小説にはその後があるらしいので、村上がちゃんと宇野のことを好きでいる事を願おう。
じゃないと宇野が浮かばれないよ。