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宮緒作品は好きだけど苦手な私。
「渇仰」は読んだとき衝撃を受けるほど大好きだったのに、「PH3」を読んでワンコとエロのやり過ぎに一気に気持ちが減退。
前後して読んだ『鬼哭繚乱』『墜つればもろとも』『愛犬志願』は攻めの執着具合にひいてしまい、『地獄の果てまで〜』『華は褥に〜』で女装攻めに全く萌えツボを見つけられず読了。
もう宮緒先生を読むのはやめようかと思ったのですが、諦めきれず、あらすじに惹かれたこのお話にトライ、結果このお話が大ヒットです。
やっと萌えポイントがおなじお話を見つけられました!
(話の中身)
トリップした異世界で初っ端から意味不明に命を狙われ、頼りになるのは攻めの龍生だけ。
でも見返りに廉の体を要求され、命を落とすよりはとしぶしぶ龍生の条件を受け入れます。
龍生は粗暴な印象の高校生ですが、実は一途で健気なんですよね。
廉を命がけで守り、何があっても手放したくない、いつまでも側にいたいと願ってる。
受けの廉も頼りない美人ではなく現状を打開しようとする気骨がある。
攻め、受け、シチュエーションと三拍子揃って萌えられる神作品でした。
宮緒葵先生の作品は地雷以外ほぼ読んでいます。
現在(2022年)発行時点では唯一の花丸文庫さんから出版されている作品です。
レーベル柄って出るんですね、やっぱり…。
そして宮緒葵先生の既刊の中でも唯一の異世界転生もの!
今では珍しさはありませんが、2013年初刊…。
当時は珍しい方だったのではないかと思います。
宮緒先生といえば犬!ワンコ!ですが、今回はその要素はあまりありません。
高校生×教師で冒頭から見知らぬ異国へ二人だけで転生!
戸惑う二人でしたが、不良でケンカ慣れしていた攻めがいち早く慣れて「俺の雌だ」と受けを守り通します。
ぶっきらぼうで学校でも手に負えないような野獣のような攻めに、受けはイヤイヤしていましたが段々と絆されていきます。
というのも、異国の兵士に追われたり襲われたりするところを助けてくれたり、少年らしい一面をみたりしてコロッときます。
まさに吊り橋効果!(笑)
受けは先生だし妻がいるし…と葛藤。
しまいには攻めは「先生を独り占めできるから元の世界に帰りたくない」と言うし困ってしまう受け。
束の間の二人だけの生活に嬉しそうな攻めのギャップが可愛い~!
異世界ものですが、移動範囲も登場人物も少なくてアッサリしているので読みやすかったです。
逆に大冒険や異世界の雰囲気を楽しみたい方には物足りないかもしれません。
ただ、今回もバッチリ執着あり。
しかも挿絵が相葉キョウコ先生で私にとっては欲張りセット!
やっぱり宮緒葵先生はハズレないな~今後も推していきます!!
異世界トリップものですが、その使われ方にビックリ仰天しました!
いや、でも、『堕つれば~』でもリセットを使ったくらいの作家さんですから仰天も範疇か(汗)
そしていつも攻めが犬とかヘビっぽいものが定番だったのですが、今回は”ケダモノ”自分的にさしずめグリズリーかと(爆笑)野生のグリズリーがくまのプーさんになったらもっと驚きですが、ボリショイサーカスの熊くらいにはなったでしょうか?w
奔放な母親に捨てられ、元警官の厳格な祖父に、その外人の血を引いた様な外見もあり厳しく、時には暴力を使われて祖父の敷いたレールの上で暮らしてきた高校教諭の主人公・廉。
祖父からの刷り込みで常識から逸脱することを恐れ暴力を恐れる彼が、学校の問題児であり力で相手をねじ伏せる教え子の龍生に執着された時。
暴力を恐れる廉と、威圧感で圧倒し力のある龍生をくっつけようとする時そこに必要なモノは?
・・・ということで、非日常的な環境。しかも現代の常識が通用しない場所。
・・・異世界トリップです!
空手部員の返り討ちを逆にやっつけてしまった龍生を見た時、気付かれてしまい追いかけられる廉。
追い詰められた彼が逃げた先にあったのは、学校の七不思議と言われる逃げ出したいと願うと異世界へ行けると言う池。
強く願う廉にその扉は開き、後を追いかけてきた龍生とともに異世界に飛ばされてしまうのです。
そこはかなり昔の外国のようなオルグレンという国。
国王付きの魔法使いレオナルドの力により国力を増していたが、その彼が失踪してしまった為に国王が魔法使いの消息を追うのに必死で国力が落ち、国は秩序を失い混乱しているさ中に落ちてしまったのです。
彼等が出現した場所がレオナルドの家だった為に、消息を知る者として追われる身に。
武器も何も持たない彼等が、困難をくぐり龍生は廉を守るため闘う姿をとおして彼等が近づいていく様が描かれます。
果たしてどうなるのか?
この国では、彼等は現代に生活しているよりパワーアップするようで、ただでさえ強い竜生が滅茶ヒーローのように兵士や敵を素手でバッタバッタと倒していきます。
ひ弱な廉も、「俺の雌になれ」と龍生に散々身体を蹂躙されるのですが、翌日ケロリとしています。
また時間の流れの設定もあったりして、こうした異世界という設定はものすごく都合よく働きます。
何より、力がモノをいう世界。
強くないと生きていけないと言うのを龍生が体現しています。
生きるためには殺しをもやむを得ないと思う龍生に、常識からはみ出ることのできない廉は常識を押しつけようとしたりしますが、それが逆にピンチを呼んだりするのです。
しかし、龍生も愛する人を守るという目的のため戦いますから、人を今まで力でねじ伏せて思い通りにしようとしていた彼が人を思いやる気持ちを持てるようになったと言う進歩が。
廉には、逃げるだけでない立ち向かう勇気が。
変わるにはうってつけの舞台ではありませんかw
龍生が、俺の雌にだの、ぶち込んでだの、とても高校生とは思えない粗野な言葉で廉をモノにしますが、後半の彼は年相応の可愛らしさを見せたりして、ギャップに思わずニヤリ☆
健気な純情を見せられて、「愛」って偉大ね♪って月並みながら思いましたとも。
しかし、絶対に現実だったら破滅しかなかったであろう二人がこうして寄りそう結末になったのですが、異常な設定というのは絶大なる効果をもたらします。
う~ん、、、力技ですよねw
萌×2まではどうかな~面白かったけど。。。
これもある意味洗脳状態だったのではと思わせる受けである教師の蓮の生い立ち。
奔放な母親の為に、雁字搦めにされるように祖父から命令に諾々と従いながらも
無意識の深層心理では抑圧された心が悲鳴を上げている。
そんな時に出会ったのが生徒の尾上、酔って何も覚えていない蓮を、自身に何の
価値も無いと思い込んでいる蓮を初対面なのに守り包んでくれた相手。
しかし、それは蓮にとっては夢の中の出来事の一つとして忘れていた事実。
再会は、蓮が勤務する学校で担任の代わりに初めて3年生の受験組の授業を受け持った時
射抜くような強い視線で生徒の尾上に見つめられ、更に覚えていないのかと言われ、
訳が分からないながらも、その日から俺の女になれと横暴に迫られる。
校内でも暴力沙汰を起こしては議員の親に火消をされて暴れまくる問題生徒。
そんな先入観を抱き接し、尾上に初めから嫌悪を抱いている蓮。
そんな時にまたしても尾上が数人を殴り飛ばしている現場に遭遇し、ケンカと言うには
激し過ぎる場面を目撃し、恐怖で尾上から逃げようとした時に、学園の七不思議的な
異次元の扉があると言われる池にたどり着き、必死で逃げようとした時に
目の前に魔方陣が現れ異世界に尾上共々飛ばされてしまう。
シリアスファンタジーと言ういい方の方が中盤まではしっくりくる感じですね。
生徒である尾上に襲われ異世界で犯される。
雌扱いされ、力で押さえつけられるのですが、時々年相応のテレが尾上に見えたりすると
かなりのギャップ萌えになる感じです。
異世界で互いに欠けていたものを見つける、はたまた精神的に成長し、
トラウマのように自虐的だった蓮は今までの呪縛を解き放たれたようになっていたりと
二人にとっても新たに前に進み為の一歩になったような内容でした。
もちろん最後もハッピーで終わるのですが、尾上の素直になった姿が
やけに子供っぽくて、やっぱりワンコ的なギャップ萌えします。
それでも今までのこの作家さんの作品と比べれば、大人しい部類の攻めキャラかも。
舞台が異世界で、バトル系なので執着要素が少し薄れている気がしました。
花丸文庫BLACKのレーベルでは、いつもは特典ペーパーが付かないということもあり、
初めは古本で購入しようと思っていたのですが、発売前に特典ペーパーが付く
ということで、予約して新本で購入しました。
宮緒先生の作品といえば犬、臨場感や重厚感、迫力のある作品を書く
というイメージがありますが、今回は読んでみて、それら全て殆ど感じず、
一般的な王道の内容という印象を受けました。
また、今回はBLACKのレーベルにしては、優しすぎるような感じがして、
あまりブラックっぽくないように感じました。
決して内容が薄かったり、作品が全体的に弱いというわけではなく、
舞台設定や人物設定、文章表現や物語の内容、展開などは今までの
作品と同じように変わらずとてもしっかりとしていると思いました。
「宮緒先生が王道のファンタジーを書くと、こうなるのか」
と思いながら、私も一緒に冒険している気分で、
あるいは阿久津先生のように異世界を見ている感覚で読みました。
今までの作品に比べて随分と軽めの内容なのに、むしろ何故か今までの
作品の読書時間よりも3倍くらい読むのに時間がかかってしまいました。
廉さんの心境の変化の描写が良かったです。
龍生くんの成長していく描写も良かったです。
また、元の世界に戻った後、廉さんの「実は…」な
本当の事情には龍生くんと同じように驚きました。
今回の評価は、あまり迷うことなく「萌」です。
いつも宮緒先生の作品を読んでいると体力を非常に消耗してしまうので、
あまり体力を消耗しない、気軽に息抜き程度に宮緒先生の作品を
読みたくなった時に読むのに適している作品だと思いました。