ボタンを押すと即立ち読みできます!
僕が大人だったら、ちゃんと続きをしてくれた……?
最近、単色のトーン遣いのカラーがとても素敵なミナヅキ絵。
今回の単行本は、多分全てが昭和なノスタルジーの魅力あふれる背景に、ちょっぴりミステリアスな要素をちりばめて惹きつけて離しません!
どれも読んでいる最中もですが、読んだ後にじわじわと浸みてくるくる何かがあって、色々と思いを巡らすのがとても心地良い余韻を残すのです。
最初に載っている民俗学を学ぶ下宿大学生と推理小説家との出会いのお話。
書店で出会った古風な着物姿の作家の佐野に興味を持った朝日向と
この作家の佐野が男女問わずの節操無しらしいのだが、朝日向の純情さにやられてしまうと、ざっと大きく要約してしまえばそんな展開。
しかし、とても注目なのが朝日向が民族学好きから佐野を自分にしか見えない妖怪!?と勘違いする始まりと、描き下ろしで、朝日向が誰かが部屋にいるような気がすると発言したその後、本を持って帰ったはずなのに、廊下に本が落ちていて姿の見えないパタパタという足音で終わっている・・・??
何だかとても色々思いめぐらしてしまう。
恋愛ももちろん、いいのだがこの不思議を色々想像するととても楽しいのです♪
【午前四時、ささやくように】
バーで酔いつぶれているところへ現れた外人の風貌をした男に「死相が出ている」と言われた宗一郎。
「死んだらその身体をくれないか」という男に「悪いが他をあたってくれ」とすげなくし、しばらくして席に戻ると誰もいない。
マスターに聞いても誰もいなかったという。
そんな”死神”に好かれた宗一郎の物語、このエンドは一体?
死神が宗一郎を生かしたのだろうか?
これもまた余韻が残る。
【落下恋文】
アパートの家賃を滞納している作家の長谷川。
親の脛かじりでこのアパートの管理をしているだけの大家の青年・伊佐。
長谷川の作品を知って、それが彼の自分宛のラブレターなのだと思う伊佐という、実はとても愉快な話。
この長谷川、冒頭の作品でも登場して佐川に嫌味を言っているところを見ると一時セフレだったと思われる。
また次の作品で、うるさいと苦情をいっている隣室の住人がこの長谷川っぽい気がするのだが?
【あたりくしはずれなし】
あたりくしって何だろう?くじの間違いじゃないの?って思ったら串だった(笑)
彼氏が欲しくてバーへ通っていても、外ればかりの主人公。
彼の愚痴をいつも聞いてくれる友人が、身付きの串を筒に入れて、それを引いたら俺と付き合うと提案。
大事なものはすぐそばにあったと言う話カナ♪
【花と手紙】
これがすごくほのぼのして、キューーンとさせるのです!
雪に埋もれる田舎の花屋の冬は花の入荷が少なく開店休業に近い状態で春を待つ。
そんな花屋の元に届けられた手紙はラブレター。
一体誰が?
思いがけない人物に、思わずこちらの顔がゆるんでしまった。
どのお話も「日常の奇跡」を描いた作品に違いないと思うのでした☆
ミナヅキアキラさんの2年ぶりの新作は、
昭和が舞台の短編集。
セピア色の表紙と原稿用紙の帯が雰囲気たっぷりです。
中の絵は、ちるちるインタビューにもありましたが
トーンを極力排した画面がモノクロ映画のようで素敵。
カラーでも白黒でも、
独特の温かみあるミナヅキ絵が大好きです。
(リヤドロ人形を描いたような口絵がお気に入り)
収録作は、怪談風味~ラブコメまで幅広い。
暗くて怖いかと思えば、温かくのんびりしている。
話の一つ一つから色んな「昭和」が浮かんでくるような、
重層的な魅力ある短編集でした。
◆【書画喰う虫も好き好き】ほか四話
怪奇書好きな学生・朝日向。
行きつけの書店で小説家・佐野と親しくなり…。
大人の男性への憧れとひたむきな想いにキュン。
世慣れた遊び人・佐野が、朝日向の純真さに負けて
「ひな」なんて呼ぶほどメロメロになっているのも良い。
可愛い話~と油断していたら、ラスト1頁にゾワッ。
廊下に落ちていた朝日向の本。
単に忘れたのか、それとも…?
怪談にも思える、奇妙な味の読後感がとても好きです。
◆【午前四時、ささやくように】
宗一郎にしか見えない外国人風の青年。
「死相が出てるぞ」「死んだらその身体くれないか?」
そんな言葉と共に、宗一郎が死にかけるたび現れ…。
宗一郎に魅入られた死神が奇跡をくれたのか。
それとも青年は
誰にでも平等に訪れる「死」のメタファーにすぎないのか。
昭和初期の幻想文学のような切なく仄暗いお話です。
◆【落下恋文】
若き大家・伊佐と、下宿の小説家・長谷川。
伊佐が長谷川の作家魂に感服したことで縮まる距離。
不器用で照れ屋な長谷川。
男とは初めてで涙目になったり、
伊佐への想いを密かに小説に綴ったり…結構な乙女!w
黒髪メガネがデレる瞬間に萌えました♪
◆【あたりくし はずれなし】
ノンケの新山に片思いするゲイの沖崎。
運試しにかこつけ口説く新山は人が悪いな~w
「宜しくお願いします!!」の続きがすごく読みたいです☆
◆【花と手紙】
閑古鳥の花屋で働く正一に届いた、男からの恋文。
長い冬の間、男との文通がいつしか楽しみになり…。
春の訪れと同時に対面する二人。
逃げる背中を追う正一の叫びが爽快です。
恋の花満開なラストの一枚絵がとても素敵でした。
ミナヅキさんの待望の新刊!
短編集なので何度も見返してしまう、じわじわくる魅力満載です。
帯の原稿用紙を模したデザインも、ミナヅキさんの独特な画風とマッチしてていいと思います。
どことなくその時その時の描写の中に描かれた温度を感じてしまうような、そんな魅力のある作家さんで好きです。
『書画喰う虫も好き好き』~『大人と絵本』
本の虫な学生朝日向と、小説家の佐野のお話。
ちょっと背伸びして足繁く佐野の元へ通う朝日向がとてもひたむきで、佐野がゆっくりと心を向けていくのが叙情的でいいなと思います。
ほんわかした話だな~と何も考えずほわほわしてたら、最後の1頁!
えっ何どういうこと?!とざわざわしちゃいました・・・意味があって本一冊残された描写をなさったのだと思うんですが、すっきりしない読了感に読んだ方と各々の解釈を議論したいくらい(笑)
これはきっと読者の解釈に委ねているんだろうと思いますね~。
すごくぞわっとします。
『午前四時、ささやくように』
死神のような存在のみち。
みちと出会うようになって災厄に遭うようになったけれども、自分にしか見えないみちの存在に惹かれていたんだろうなあと。
結局漫画の中でみちの正体がハッキリと描かれることはないのですが、これも大人と絵本と一緒で想像の中で結論を育てるものなのかなと思います。
『落下恋文』
お、これは素直に可愛いお話だぞ~。とニヤニヤしたりしました(笑)
伊佐への想いをこっそり綴っていたのがバレたときの長谷川が可愛くて仕方ないです・・・。
不器用ながら、乙女な一面のある長谷川にキュン。
黒髪メガネ萌えますね。
『あたりくじ、はずれなし』
よろしくお願いします!!の続きが読みたいそんなお話ですね。
短編らしくスッキリ終わっているものの、この二人の恋愛の続きを見たいのも真実・・・。
新山の若干糸目というか細目がにっこり笑ったところが印象的です。
『花と手紙』
花屋の正一の元に届いた名無しのラブレター。
すごくロマンチックなお話、冬の間やりとりを続ける二人。
雪解けと共に差出人が郵便屋さんだと判明して正一が「いい加減俺の目を見て言えっ!!」って叫ぶシーンが可愛くて////
扉絵+最後のページの一枚絵がとてつもない威力です。
帽子を取った郵便屋さんのかっこいいこと・・・。
◆本当に何度も何度も読み返して大事に読みたいなって思います。
ちょっと小難しいというかとっつきにくい作品ではあるのですがその分素敵な昭和特有の『奥ゆかしさ』がいっぱいで魅力的です。
普通のありきたりなBLが飽きてしまった方に是非♪
>Krovopizzaさん
どうも初めましてコメントありがとうございます^^
表題作の最後の1ページ、ざわってしますよね~周囲に読んでいる方がいないものですからどうしても気になっていて・・・。
わたしは脳裏に過ぎったのは、朝日向は実は本か何かに巣食っていたモノノ怪の類なのではないかとということでした。
妖怪にさらわれちゃったというのも想像し易いですよね、この作品もしかしたら十人十色いろいろ解釈ありそうです!
表題作、ミナヅキさん本人の意図が見えないだけに妄想が膨らみますね~。
新鮮味のある印象深さかも知れないです!
さくららさん はじめまして!
表題作のラスト1頁!すごくゾワゾワしますよねw
私も、誰かお読みになった方とオチについて語り合えたらな~と思っていたところでしたので、思いきってコメントさせて頂きました><
私の解釈は、朝日向は妖怪にさらわれて消えちゃったのかな~?という全然ひねりのないものなんですが、さくららさんは如何でしょう??
色んな見方ができそうですよね☆
そのほかの収録作の感想もすごく的確で、そうそう!といちいち頷いてしまいました(´∀`*)
ミナヅキ先生、もともと絵はとてもお上手だったけれど、この本では、トーンは使わずに影も総て極細のペン先の線だけで描ききるスタイルが一段と洗練されていて、白と黒がくっきりとした、硬質だけど繊細な絵がとても素敵。
収録作品8編のうち「書画喰う~」から「大人と絵本」までが一つのお話、
以降の4編はそれぞれ独立した短編。
どのお話も少し過去の、まだ連絡手段が家の電話しかない時代、少しの違いのようだけど確実に今とは違う時間が流れていた頃のお話。
ちょっと不思議テイストでノスタルジックなストーリーに、このお行儀のいい絵の雰囲気が凄く合っている。
ここのところ毎日のように、ミナヅキアキラ先生の漫画を読み返しています。
何度読んでも飽きるどころか、読むたびにその素晴らしさに気付かされています。
少年漫画の雰囲気を併せ持つ、格好良い清潔な絵で描かれる色恋には、背徳感を伴うなまめかしさがあり、とても魅力的です。
受の可愛さ、攻の色気も十分なうえに、どの二人の恋も応援したくなるような、愛おしいキャラクターたち。
この短編集は、いままでの作品よりも洒脱さが前面に出ていて、劇的で熱烈な恋愛が好み
の私には少し物足りないのですが、素人目にも先生がどんどん上手くなられていることが分かるものでした。
これからどんな素晴らしい漫画を描いて行かれるのか、とても楽しみでたまりません。