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前作でめでたく庭師の彼に、屋敷へ住まわせることを納得させた茅島氏。
これは氏の溢れるような情熱に彼が折れたのであって、決して金と権力と我儘にモノをいわせた結果ではない・・・はず(笑)
とにもかくにも2人は(たまには些細な喧嘩をするけども)順調に関係を築きつつあり、英国庭園にまつわるエピソードから英国旅行編とお話は進む。
今回メインとなるのは彼が主導権を握るその英国旅行部分で、イングリッシュガーデンや田舎風景についての記述も非常に多いのが特徴なので、もしそういったものに興味がない場合には少々退屈な印象を受けるかも・・・だ。
けれどもこのシリーズはそういったところも良しとして、茅島氏のごとく優雅に時間を過ごすという楽しみ方も個人的にはオススメしたいところ。
私はもともと英国が好きなので、特に興味深く読み込んでしまった(゚∇^*)
またこの英国旅行において、茅島氏は今まで感じたことのない新しい感情に振り回されることになる。
それは「嫉妬」。
茅島氏という人は基本的に唐変木なのかもしれないが、少なくとも彼と関係を深めるようになってからというもの、その情緒発達には目を見張るものがあり、心の底から欲しいと思える彼の前では、茅島氏と言えどただの人間なのだということを思い知らされる。
そこには子供のような嫉妬心と、それを出すことを良しとしない育ちの良さの葛藤があり、身悶える茅島氏がなんとも可愛らしくていけない。
このシリーズを読んでいると、恋人の彼だけでなく読者自身もドSになってしまうような気がするんだけども・・・え?それは私だけだろうか(笑)
初めは単語でしかものを言わなかった茅島氏も、だんだんと自分の感情を込めながら言葉を紡ぐようになり、逆に庭師の彼は「無口でそっけない喋り方をするようになった」と知人から指摘され、少々狼狽してしまうシーンがある。
本当に2人は互いを影響しあい、運命共同体になりつつあるんだなあと微笑ましくなった。
そして執事の波多野も秘書の小泉も、また屋敷で仕える全ての人間が茅島氏を愛している。
氏が他人を慈しむ心を持つようになった今、孤独な金持ちだったなどという呼称はもう過去の話なのかもしれない。
両親とは早くに別れてしまった茅島氏ではあるが、この人ほど多くの人間の愛情を受ける存在はいないのではと、頁を捲るたびに思ってしまう。
茅島氏に会うたびに、私は優雅で温かい気分なる。