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鬼才・SHOOWA先生の最新作! 不思議の森の住人たちを描いた、感動の人外BLファンタジー。
ニィーニとはなんぞや?と、予約時から頭を傾げておりました。
動物擬人化ものは苦手ジャンルなんですが、SHOOWAさんは作家買いをしていますので、とりあえず予約しておりました。
どんな内容でもとりあえず買うことは決定ではあったのですが、気持ち的には『モフモフものかー』とテンション上がらなかったというのも事実です。
書き下ろし含めると七話あるのですが、わたしが撃沈したのは二話目のウルフとココのお話。
ウルフがねー、もう、わたしヘタレなんで読みたくなかった!正直!
切ないんです!
生き死にはたとえ神様でもどうすることもできない、未練があっても心残りでも自然の摂理には抗えないことが描かれていました。
なので、生きられる間は悔いの残らないように生きようってことなんですが…ウルフにもう少し救いが欲しかったなあ(涙
ウルフのお話以外はとりあえず目に見える形のハッピーエンドです。
書き下ろしまで読むと、一話目のオーウェンとオメットの会話が理解できるんですよね。
一話目の時はあまり考えずにサラッと流してしまっていたんですが(苦笑
『僕らの三つ巴〜』のようなギャグエロ特化作品から『Nobody Knows』や『パパ’sアサシン。』のようなホロリとさせられるものまで多様な作品をお送りくださるSHOOWAさん。
今回はホロリの方でしたね。
森の管理人のニィはス○フ○ンみたいですし、オメットはア○パ○マンだし、其処此処に笑いと毒が詰まった素敵な作品でした。
SHOOWA欠乏症になる前に、はやく他の作品の続刊も出ると良いのですが。
民族紛争や憎しみの連鎖による虐殺、差別などの深刻な問題が、真正面から描かれ、かつ娯楽作品としても成り立っている、大変な力作だと思います。
こんなしんどいテーマは、私などは考え出したらどうして良いのか分からなくなって「人類なんか滅亡すりゃいい」と厭世的な気分になるか、「自分の身の回りのことだけ考えよう」と、思考停止してしまうかのどちらかです。
SHOOWA先生は、そこから逃げずにこれだけの漫画に仕上げられました。
しかも、読者を楽しませることを犠牲にすることなしに。
まず、見る者の心を和ませる、これだけ可愛らしく面白い舞台設定をつくられたところが、読み終えた今では、先生の緻密な計算によるものではないかと思い当たります。
いきなり重いテーマから入らず、何気ない序章からだんだんと深いところに読者を誘ってくれるところも、身構えず素直に話に入って行ける工夫でしょうか。
第一話では、恐らく先生の「こうあってほしい」理想の「ニィーニの森」がどういうところなのかが、軽やかなタッチで描かれます。
その後で、自分よりも大切な相手を守ろうと、命をかける狼の姿が切ない第二話が続き、
途中にはさまれた番外、オス同士のカブトムシカップルに自分たちを重ねて、同性愛者が幸せに生きられる「ニィーニの森」への憧れを語る恋人達の物語が終わる頃、やっと読者はこの本に込められた、先生の思いに気付き始めるのです。
第三話は憎しみの泥沼にはまった種族間の争いと、それに立ち向かう人間と動物の姿ががっぷりと描かれていて、現実に今も世界で起きている不幸な出来事を嫌でも思い出してしまいますが、ここまで来たらもう止められません。
「ニィーニの森」が、彼らをどう導き、救ってくれるのか、SHOOWA先生の思いとともに、見届けずにはいられなくなっているでしょう。
むぼちさま
コメントありがとうございます。
むぼちさんはじめ皆さんのレビューを読んで面白そうだなと思って読んでみました。
書きたいことがたくさんありすぎて全部は書き切れなかったのですが、とりあえず、こんなスケールの大きい話を、小難しくせずに、笑いも交えて描いていけるSHOOWAさん、さすがだなぁと思います。
むぼちさんも書いていらっしゃるように、物語への惹き込み方が上手いですよね。
いろんな意味で、心に残るBLでした。
表紙やタイトル、最初の物語から、
優しく愛らしいファンタジーかと思って読み始めたのだが、
それはある意味正しく、でもそれだけに留まらない一冊だった。
まずは、クラシックで凝ったデザインと材質の装丁に惹き付けられ、
ページをめくると……
ニィーニの森。
赤みの肉を食べたら呪われるというここでは、
色々な種類の生き物が仲良く暮している。
そして、満月の夜には願い事を叶えてくれる妖精が現れる……
大きく分けて4つの話が収められているが、
読み終わってみるとそれらの話が関連しあっているのが分かる。
1)何か願いごとがある、子豚を連れたウサ耳くんとカエルさん。
2)老いたオオカミと、わがままなネコ耳ちゃん。
3)森を離れた番外編。人間の思いも絡む、カブトムシの恋。
4)3話に亘るの長い話。人間とウサギ族の争いの中、
自身のアイデンティティと愛をみつけて行く青年の話。
段々テーマがシリアスになっていくが、最後の話では
自分が昔悩んだ肉を食べることへの疑問や葛藤が思い出された。
個人的に涙が止まらなかったのは、二つ目のウルフとココの話。
あまりにも美しい愛、あまりにも切ない!
生きる事、愛する事、深いテーマを
どこかトボケた味わいもある筆致で、優しく描いた作品です。
この人は本当に別人のような作品をいくつも生み出せる。その変幻自在さにはうならされてしまいます。ものすごく独特の世界観なのに、どの作品もしっかりと引き込んでくれます。
今回は全くのファンタジーでした。絵本のようにしたかったということで、装丁も構成も絵本のようです。ふんわりとした1話から徐々にお話が濃くなっていき、3話では前・中・後でがっしりと本編が描かれています。
いろんな垣根を越えてみんなが仲良く暮らせるニィーニの森。みんなで仲良くできたらいいのに、という理想の森だと思います。
ただ、1話目の蛙のように最初からそこに住んでいるものにはわからないものもあって、それだってとても大切なものなんじゃないかと思いました。
番外編のカブトムシの話。運命の相手、という気がしました。生まれる前に約束した相手のことを、生まれ落ちた時に忘れてしまって、でもそれを思い出して寄り添って暮らす。それを見た人間たちにも影響を与えていく。これも一つの3話への布石だと思います。ニィーニの森という桃源郷に逃げてみんなで暮らせる「いつか」を待つのも一つの方法だし、たとえニィーニの森に行きつけなくとも自分たちが垣根を超えることで周りにも変化を起こすことができる。それも一つの方法、という提示ではないかと。
ほかにも深読みできる&語れるポイントはたくさんあるのですが、長くなるのでおいておきます。絵本や童話というのは、やさしく読みやすい中に深いテーマを隠してあって、じんわりと何かを響かせてくれるものですが、この本も作者の意図通り、そういう意味でも絵本のように仕上がっていると思います。
さらっと眺めるもよし、深く浸るもよし。本棚に並べて、絵本のように時折ページをめくるのがぴったりです。
ガツンとくる。
けど言葉にするのが難しい。
レビュー書くのをとても悩んだ神本です。
不思議なファンタジーBLだという前情報だけで読み始めた本作ですが、第2話(狼ウルフの章)でSHOOWAさんが何を描こうとされているのかが徐々に解ってきて、そこから先は息をつめて読みました。
ウルフの章には人が生きていく上での色んなテーマが何重にも込められているのですが、ここに出てくるウルフと仲間の狼との会話のあとの、ウルフとココの会話がすごく好きです。
「ウルフは群れを出て恐くない?」
「ああ ココがいれば何も恐くないよ」
仲間から変わり者扱いされて群れに上手く溶け込めなかったウルフにとって、ココの存在がいかなるものだったのかがよく分かります。
その次のカブトムシの章に登場するゲイカップルの会話も印象的。
「それ(=しがらみのない世界)は夢の世界だな」
「近い夢さ とっても近い夢だよ」
はみ出した者らが夢見て、或いは目指すニィーニの森は、
赤身の肉を食べてはいけない森
=肉食動物(=強者)は住めない森
あぁそれってきっと弱者たちの理想郷なんだろうなと。
そして物語は一気に本題へ。
ここからの内容は、さすがは初期の頃から人間のサガを描き続けてこられた作家様だなぁと感心せずにはいられないものでした。
SHOOWAさんが何を訴えたくてこの作品を描かれたのかがこの第3話からビシバシと伝わってきます。
ファンタジーに落とし込んではいるけれど、描かれているのは紛れもなく現実。
だけど読む人に合わせて如何様にでも読み取れるようになっている内容だと思います。
「卑怯だなんて思わないで 逃げるのよ楽園まで」
最後のこれにはウルフの章で堪えた涙腺も軽やかに決壊、ボロ泣きでした。
あーもーなんなんだSHOOWAさん…(TДT; )
私この人の漫画で何冊泣いてるんだろ。
はみ出しちゃう人たちには、キャラが発する言葉、交わす会話のひとつひとつが、ダブルミーニング、トリプルミーニングでグッサグッサと突き刺さってくる作品なんじゃないかなと思います。
BLかどうかって言われたら確かにどうだろうとは思うけど、そんなことはどうでもよくなるくらい良かった。神。