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まさかこれほど泣かされるとは…というのが正直な感想です。狐のモノノケと人間の純愛でした。
壮志(攻め様)は小学校四年の夏休み、1ヶ月ほど祖母の家に滞在することになり、その裏山でサトという金髪美少年に出会います。少年といってもモノノケなので実は100歳ですが、見た目は壮志と同じくらいの年頃の子供です。あまりの可愛らしいサトの容姿に、初めは少女と間違う壮志ですが、次第に明かされるサトの性別や正体を知っても壮志は子供の純粋さで恐れることなく受け入れるのです。サトとの出会いは壮志にとっての初恋となり、子供なりの純粋な愛情でサトに尽くします。毎日のようにサトに会い、サトを喜ばせたいと紙飛行機や飴玉をサトに与えます。壮志の無垢な恋心に心を打たれます。壮志がサトから生える狐のシッポに思わず触れてまい、驚いたサトが逃げて姿を消してしまうエピソードは、サトの物慣れない様子にキュンとしてしまいました。
やがて壮志の夏休みが終わり、来年の夏休みに必ず来ると約束するのですが、翌年もその翌年も壮志が裏山に来ることはありませんでした。5年という月日がたち、サトは山をおりて壮志に会いに行くことを考えますが、そのためには耳とシッポを隠す神通力が必要になり、山の神様にお願いをするのです。しかしその願いはあと200年ある寿命を10年に縮めることが代償でした。サトは壮志に会えない200年よりも、一目壮志の元気な姿が見られるなら10年でもかまわないと思うのです。
やがて山をおり、15歳に成長した壮志を見つけたサトは壮志に声をかけます。けれど残りの寿命が10年になったサトは驚くほどの早さで老化が進行し、見た目は20歳頃の青年になっており、サトルという名の別人として壮志に近づきます。両親が離婚し父子家庭となった壮志は、父親への不満や日々の学業や家事に追われ、かつての明るさが失われていました。彼を心配したサトは何とか彼を救いたいと思い、家事を手伝い彼の悩みに耳を傾けるのです。初恋のサトに似てはいるが、サトルがサトとは知らず、また恋をしてしまう壮志ですが、壮志と生きる時間が違うサトは長くは一緒にいられず、壮志の高校受験を区切りに姿を消してしまうのです。
その後も遠くから壮志の成長を見守っていたサトは、やがて山へ戻ることを決意し、その前に近くで壮志を見たいという思いから壮志のバイト先のカフェへ足を運びます。壮志は20歳の大学生、サトは30代半ばまで老化が進行していました。壮志はサトルに似た容姿に驚き、けれど年が違うので別人だと思うものの、惹かれるものがあってサトに話しかけるのです。一方サトは生方という別人として壮志に接します。やがて恋人同士になり同棲する二人ですが、サトは自分の正体を明かせず、残された時間や、老化の進行、壮志を騙していること、様々なことに悩み苦しみます。壮志はサトが何も話さないのは信頼が足りないからだと思い、溢れるほどの愛情をサトに注ぐのです。何か事情があるサトの様子に、出て行ってしまうのではないかという漠然とした不安を抱えながらも、サトを一途に愛し尽くします。一緒にいたい、愛しているのにずっと側にいられない、人間として壮志に出会いたかったというサトの気持ち…そんな二人の切ない純愛に涙が出ます。
壮志が可愛いと言って愛してくれる、その容姿も衰えていく、その恐怖に耐えられなくなったサトは、ついに壮志のもとを去ってしまいます。残された壮志は傷つき、サトとの失恋を引きずりながら社会人へと成長していきます。
壮志が25歳、サトはいよいよ寿命を終えようというある日、壮志の祖母が亡くなったことから、壮志は15年ぶりに祖母宅へ向かいます。初恋のサトのことが気がかりだった壮志は裏山に行き、そこに暮らす年老いたサトを見て、全ての事情を知ることになります。最後はハッピーエンドだって分かってるんですけど、分かってるんですけどね……泣けるんですよ(笑)サトにはもう命の時間が残されていなくて、弱々しく壮志に告白するのです。生方として壮志に会った時、成長していく壮志をどうしても近くで見たくなってカフェに行ったのに、運よく恋人になれて、その後のことを考えなかった、短慮だった事、壮志を深く傷つけた事を必死に詫びるのです。もう涙が止まりませんでした。サトが年老いても、その愛情が変わらない壮志。二人の願いが山の神様に聞き入れられ、サトは人間として壮志と生きることになりました。
別人だと思っていたサトルや生方に恋をしてしまったのは、本能なんでしょうね。魂で惹かれ合う二人の純愛でした。
ケモノミミは好きなのでタイトルに
惹かれて皆様のレビューを見てから購入しようと…。
サブタイトルの十年愛というフレーズに
切ない系かと思い、基本アンハッピーが苦手な私は
ドキドキしながらレビューを拝見しラストを
確認した上で購入しました(笑)
いやぁ、今年初めの号泣をさせて頂きました!
パターンとしては、ある設定かもしれませんが
主人公の佐登の一途さが本当に丁寧に書かれていて
相手の壮志を想う気持ちが伝わってきます。
そこが丁寧に伝わってきた分
ラストにかけては、もう佐登の純粋な一途さに
ホントに胸が熱くなって号泣でした。
泣けると思ってたけど、これ程泣けるとは〜…。
それと成長していきながらも自身の一途さで佐登を
愛し続けた壮志にも感動しました。
一途な愛のお話しで感動したい方へ
私としては是非オススメです!
もののけケモ耳ファンタジーで、私のツボにどんピシャリな作品でした。
キツネさんは大好きですが、この作品のキツネさんは健気で一途で愛しくて仕方ない。
それに攻め役になる人間の壮志も途中で欲望に忠実になっている時期がありますが、
キツネの佐登と二度目の再会をしてつかの間の恋人同士になってからは、
佐登への思いを疑うことが出来ないくらい必死で佐登への愛で壊れそうなくらいで、
かなり佐登限定では誠実な攻めだと感じます。
初めての二人の出会いは壮志が小学4年生の時で母親の実家である祖母の家に
夏休みの期間預けられ、そこで佐登にとっては初めての人間の友達になるのです。
出会った時に佐登にはケモ耳&尾があるから、人間では無いと知っても壮志は
佐登を一目見た時から可愛いと思ってしまい、女の子と勘違いして、男だと分かっても
その気持ちに変化がなくて、夏休みが終わってさよらなするときも幼いながらの
初恋なのねと感じるのです。
そして壮志が再会を約束して都会に帰って、佐登は夏休みを待ち続けるのですが、
5年過ぎても壮志は現れない。
約束を反故にされ、憤るのではなく、山に来れない何か深い事情が壮志の身に
起きたのでは無いかと心配し、壮志にもう1度会いたい一心で山の神に願う佐登。
佐登の願いは聞き届けられるが、その代償はかなり大きなものなのです。
5年ぶりに再会してもその代償がある為に長く傍にはいられない事情が出てきて、
1度目の再会は壮志が高校受験の時期で、2度目は大学生でバイト先で再会。
しかし、どちらも佐登としてではなく、二度の再会共に別人として壮志の前に現れる。
佐登の壮志の傍にいたい、でもいることが出来ない葛藤と苦しさ切なさが
身にしみるのですよ、それに置いていかれる壮志の気持ちも切ないです。
3度目の再会は壮志の祖母の死で叶うことになり、後半220Pくらいからは
読んでて涙ボロボロ状態になりました。
そして壮志がすごくいい男に感じたのが佐登の外見がどんなに変わっても
愛する気持ちが全然変わらないというところ、佐登が佐登ならそれだけで構わない、
そんな壮志の愛が、佐登の純粋な思いが奇跡を起こす!!
涙を流した分だけ幸せなラストで、それもやはり壮志の男気を感じさせる幕引きは
愛する者のことを1番に考え自分の思いに素直になった結果とはいえ素敵でした。
年明けの1月の段階でこんなに素敵なファンタジーが読めて最高でした。
BLアワードのノミネートに迷って再読しました。名倉和希さんは好きな作家さんです。子供の頃に少しの間だけ過ごした相手を忘れられずに、初恋をかなえるお話です。狐のもののけの佐登は、ホントに健気で一途で大好きなタイプです。
1ヵ月程度一緒に遊んで過ごした壮志が忘れられずに、壮志に会うためなら寿命を縮めることもいとわない佐登。でも10年って、意地悪過ぎないですか神様…。晴れて人間になって壮志に会いに行っても、自分のことは明かさない佐登の不器用さにキュンとなります。
一方、壮志は佐登のことが忘れられなくても、子供では何もできずに会うことができず、いつでも思い出しています。それでも、姿が違っても、惹かれるのはサトルであり、生方なのです。
衰えていく身体に怯えて、たった一人での死を選んだ佐登。
再度壮志に会えた偶然と、神様の粋な計らいで(意地悪って言ってゴメンナサイ)また同じ時を過ごせるようになった二人に涙が出ます。佐登の為に仕事を辞めて一緒に暮らし始めた、幸せそうな暮らしぶりも見れて良かったです。
とても切なく、人生や、大げさに言えば生きている今の時間が心から愛おしくなる素敵なお話でした。ケモミミファンタジーではありますが浮ついた雰囲気はありません。十数年におよぶ種族を超えた愛が非常に真摯に、ピュアに描かれていて、ちょっと泣きそうでした。
名倉和希さんは今まで読んだどの作品も相性がよく、ラブコメが多かったので、この作品もケモミミなラブコメかなっと思ってワクワクしながら気軽に読んだのですが…いやはや。良い意味で裏切られました。
壮志は自分に正直なところが何より男らしいイマドキの男性で私は結構好きなキャラクターでしたが…根本的な部分で大きくツッコミたい点がありますね!(笑) でも佐登の可愛さに免じて「神」評価にします。