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表題作恋は異なもの味なもの

丹羽亨
28歳,商社マン
柏葉芳晄
28歳,自衛隊の音楽団員・大学時代の知人

その他の収録作品

  • もう飛ぶまいぞ、この蝶々
  • あとがき

あらすじ

甘い容姿と軽薄な性格でモテ人生を楽しむ商社マンの丹羽は、大学時代唯一オトせなかった同い年の柏葉と数年ぶりに再会する。
自衛隊の音楽団員になった柏葉に、初めは軽い気持ちで近づいた丹羽。ところが、柏葉の心地よい優しさや控えめな色気に夢中になり、再び本気でアタック! けれど彼の態度は頑ななままで…。
さらに柏葉に思いを寄せるライバルまで現れ、丹羽はなりふり構わずに迫っていくが――!?
表題作加筆+後日談書き下ろし付き!

作品情報

作品名
恋は異なもの味なもの
著者
かわい有美子 
イラスト
いさき李果 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
発売日
ISBN
9784799714317
3.5

(58)

(11)

萌々

(24)

(14)

中立

(4)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
7
得点
197
評価数
58
平均
3.5 / 5
神率
19%

レビュー投稿数7

清廉でピュアなのに小悪魔的

どこかおっとりした雰囲気がある受けの柏葉がとても魅力的な作品です。
清廉でピュアなのに何故か時々小悪魔的な雰囲気が天然で見え隠れする。
そんな相手を本気で好きになるのが女に不自由したことがないチャラ男の丹羽。

営業先で偶然大学時代に丹羽にしては珍しく落とせなかった相手である柏葉が
自衛隊の音楽隊に所属していることを知り、まるでハンターの如く、
今度こそモノにしたいという下心いっぱいで再会することから始まります。

お話は丹羽視点で殆ど描かれているので、柏葉の心の内が本当はどうなのか
完全にはわからないけれど、単に育ちの良いピュアな男だけではない気がします。
始めは落とせなかった相手だと言うことで躍起になっている感もある丹羽が、
次第に自身の恋愛観とは相対する相手にどんどん本気になっていく。

でもその相手はやんわりと躱して、友人の域から先へは進めない。
丹羽が柏葉と再会したことで次第に恋愛に誠実に向き合って行くところもいいです。
この作品を読んでると先に惚れたほうが負けという言葉がピッタリ来る気がします。

恋人になってしまえば丹羽のペースになるかと思ったら、柏葉ペースになる。
これがきっと計算ではないところがまた妙にいいのです。
軽薄系の丹羽が柏葉にハマったことで、今までの行動、今後の行動が全て
柏葉に手のひらの上で転がされるのだろうとニヤけてくる展開。
男としては柏葉の方がもしかしたら数倍上だったのかもと楽しく思えるお話でした。

8

洗練された大人のコメディ♪

営業マンの丹羽は、遊び人。
柔らかな見てくれと態度を駆使して、とにかく人生楽しく要領よく
趣味は可愛い女の子を口説いて付き合う事。
そして、実は男でもOKという節操無し。
飽きたら綺麗に後腐れなく別れ(と本人は思っている)、
ひららひららと生きている。

ある日営業先で、見つけた自衛隊中央音楽隊のポスター。
その写真に、かつて大学時代に友人(彼にとっては知り合いは友人)だった
そして彼が一生懸命粉をかけても、全く暖簾に腕押しだった柏葉を見つけ、
コンサートに会いに出かける。

学生時代から変わらない、清潔で優雅な佇まいの柏葉。
軽い気持ちで近づいたのに、いつしか夢中になる丹羽。

この主人公二人の造形がなんともいい。
軽薄で計算高くて、でも実は案外いいやつな丹羽もいい味だが、
何と言っても柏葉!
段々と判明する彼の性格が、なんとも素敵!!(笑)
静かに柔らかで上品なまま、素で繰り出す辛辣なセリフがツボでした!

恋多い男と言われながら、実は今まで知らなかった気持ちに気がついた丹羽、
ようやく受け入れて貰って、Hに到るのだけれど……
そこからのすっかり掌で転がされている様に笑い、
(って、振返るとずっと振り回されていたのだが)
経験はないのに、なんとも男前な色気が溢れる柏葉がすごい。


作中でオペラ、主にモーツアルトの「フィガロの結婚」の
曲や登場人物が効果的に使われている。

書き下ろしの「もう飛ぶまいぞ、この蝶々 」のタイトルは
その有名なアリア「Non piu’ andrai」より。

すっかり主導権を握っている柏葉、
この書き下ろしではリバかな〜?って希望していたのに、
それはなかった、残念!
いかにもありそうな二人なので、続編か番外で希望します!

ゲラゲラと大笑いするような面白さではなく、
情景が浮かぶような描写や、
笑いと真面目さが混ざったしっくりくるやりとり。
女の敵みたいなドンファン丹羽が、ウブに見える相手に翻弄されて
思わぬ純情を見せるお話。

楽しかったです♪


6

攻め×攻め?

軽薄なモテ男が、本当の恋に目覚めたのは、、、

BL=ボーイズラブとは言っても、年齢や容姿は必ずしもボーイ(少年)じゃなくても構わないけど、
「こいつ、ホントに男?」
「男同士っぽくないな」
「男である意味あるの?」
なんて感想を抱くことは、まあ、ちょいちょいあるわけで、
でも、このお話は、実にこれこそBLの、男同士のお話だなぁって、ちょっと感動。

女の子には要領よく愛想を振りまいて、チョウチョのようにあちらこちらと甘い蜜を楽しんでいたモテ男丹羽が、柏葉に対しては今までの女の子相手の手管が通じずにビクビクしたり、いざ恋人同士になったらなったで、対等な関係を求められてオロオロしたり、
柏葉は柏葉で、、、

この二人、そのうち逆転しそう、
そこまで描いてあったら、文句なく神だな。

4

愛を交わした翌朝は…ハバネラを口ずさむ男

大学生の頃から女の子とチャラチャラするのが大好きで、営業マンになった今でもハンターよろしく、目をつけた一定水準以上の女性を落としては飽き、落としては飽きを繰り返している丹羽。
視点はこんな性格の丹羽なんだけど、なんといってもこの作品の中心は受けの柏葉の魅力のような気がする。
柏葉の職業は、自衛隊の中央音楽隊隊員。
漢であり、繊細な音楽家でもあり。
清潔感のある男性なのです。そして制服が似合う…
女好きの丹羽が、中央音楽隊のポスターですぐ大学時代の友人だった柏葉を見分け、深みのある声を思い出して、どうしてももう一度会いたくなる…
どんな女性と付き合っても浮ついてた丹羽がどんどん柏葉に本気になっていくさまは、どこかスリリングでもあり。
今回粗筋も読まずネタバレなしで読んだので、はじめかなりシリアスなテイストと感じて読んでいたのです。実際、柏葉のお母さんが難病でずっと闘病していて危篤になったり。
ところが。
ついに結ばれて一夜を過ごした翌朝の事。
柏葉が、カプチーノが飲みたい、淹れて。朝食食べたい、作って。とサラリと言い出すのです。
口ずさむはカルメンの「ハバネラ」。私に愛されたら用心するのね、ラ・ムール…
そこで、あ〜ラブコメ的な側面があったのか!
自然体で丹羽を圧倒する柏葉に、すっかり押されてる丹羽。
書き下ろしのタイトル通り「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」…もう飛ぶ事はできないぞ、丹羽。
柏葉はお母さんの病気などあって恋愛に時間も心も割けず、実は童貞処女なんですね。
だから丹羽との経験が初めてなんだけど、妙に恥ずかしがったり気持ちを隠したりという態度は一切取りません。感じるがままに感じ、欲するままに欲する…そんな柏葉は性的にもとても丹羽と対等です。
その意味で男x男の恋愛がとてもよく表現できていて、すごくすごく感服しました。

1

コメディ・オペラ風アダルトラブ!

コミカルなドタバタオペラを意識して書かれたという本作品。

「フィガロの結婚」の劇中歌を連想させるタイトルや、
遊び人な攻(受は彼をアルマヴィーヴァ伯爵と呼ぶ!)が
本気の恋をして右往左往する様など、
コメディ・オペラを見ているようで、クスリと笑えます。


商社マンでモテ男の丹羽(攻)が、大学時代の音楽サークル仲間で
自分が唯一落とせなかった男・柏葉(受・自衛隊の音楽団員)に再会。

ヘテロ寄りのバイで、恋愛では苦労知らずの丹羽(攻)が
ノンケでマイペースな柏葉(受)にいつものアプローチが通用せず
余裕のない姿をさらすのが、可笑しくも可愛い。

お互いに"相手じゃなきゃ絶対だめ!"みたいな情熱はないですが
一緒にいる時間の心地よさや、相手への思いやりなど
精神的な結びつきの上に成り立つ大人恋愛が素敵です。

とくに柏葉(受)は、病気の母親にかかりっきりで
それを過去の彼女に「重い」と言われ、うまくいかなかった。
丹羽(攻)は、そんな柏葉の真面目さや、家族思いな性格を
本心から好ましく思い、力になろうとしている。
互いを尊重し、長く付き合っていけそうな関係がいいなーと思いました。

もうちょっと遊んで、30代になったら
そこそこ家事のできるお嬢様と結婚しよう~なんて考えてた丹羽が
柏葉に完全に尻に敷かれ、ガッツリ料理もさせられてる後日談には笑いましたww
なるほど~「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」(←巻末SSのタイトル)ってそういう意味か。


エロは少なめですが、男らしさを保ったまま乱れる柏葉が素敵。
「君はどういうセックスがしたい?」と魅惑の低音ボイスで囁いてみたり
(攻より声の低い受っていいな~~)、舌技で丹羽を翻弄したり…。
これぞ大人の男同士のセックス、みたいな素敵なベッドシーンでした。
お互いに相手に奉仕しようとする姿に和み♪

オペレッタを見ているような、軽妙で楽しい雰囲気で
かつ、地に足のついた大人同士が恋愛しているリアリティもあり
なかかに完成度の高い作品だったと思います☆

5

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