ボタンを押すと即立ち読みできます!
「惚れた弱み」「君に、恋に落ちた夜」の中編2作品が収録されています。どちらも弘樹の目線で進んでいきます。
二人は同じ会社に勤める新人社員×先輩社員です。仕事の話もストーリーに絡んできますが、恋愛模様の印象が強かった作品です。
「惚れた弱み」
高校で憧れの後輩だった小早川(攻め)の指導をすることになり、弘樹(受け)は内心で浮きたつものの、7年ぶりに会った彼は、高校時代とは打って変わって投げやりになっていて…。
俺の写真をオカズにしていたんだろう、と小早川にののしられて強姦される弘樹は、指導係を辞めたいと課長に申し出ますが、そこで小早川が変貌した理由を知り、諦めずに指導をしようとしますが、再び小早川に犯されます。
読んでいて、小早川が酷い男だという印象が薄いのは、繊細なイラスト効果もありましたが、弘樹がずっと小早川を信じていたからだと思いました。小早川もそんな弘樹に惹かれます。
「君に、恋に落ちた夜」
恋人同士になった二人。甘い生活を送っていたのに、小早川は突然退職することになり、弘樹は避けられるようになります。教えてもらった見合いの場へと来た弘樹でしたが…。
小早川の親が二人の関係を知って、引き裂こうとしたというものです。良くある展開なのですが、「辞める辞める詐欺」と秘書課のお嬢様方の情報網が面白くて楽しんで読めました。
走る事が生きがいだった小早川に、仕事の楽しさを教えて、新しい生きがいを与えようとする弘樹。単に好きだ嫌いだというだけじゃないのが良かったです。
先輩として出なく恋愛対象としての惹かれる過程も、親との確執の解決も、強姦への赦しもあっさりしすぎの感じはしますが、さらりと読める作品です。リーマンカップル、年下攻め、健気年上受けがお好きな方にお勧めです。
前半「惚れた弱み」は、新入社員と先輩社員の再会もの。
高校の陸上部で先輩と後輩だった加納と小早川。
高校時代は特別な付き合いはなく卒業後は会うことはありませんでした。
けれど加納にとっては、走る小早川の美しさや最後まであきらめない姿に励まされとても印象深くに残っていました。
そして数年後、社会人となった加納の勤務する部署に足の故障で走れなくなった小早川が新入社員として配属され、加納が指導することになったところからこの物語は始まります。
走れなくなった現状やしたくもない仕事につかなければならないことに鬱屈を抱えているとは言っても、いい年した大人がふて腐れた態度で周りに不快感をまき散らすなんて幼稚すぎて好きになれませんでした。
会社経営者の父親の命令で行かされた修業先の会社でお客さま状態で別格扱いというのも気に入らないワガママ坊やぶり。
でもそんなボクちゃんの寂しさや満たされない心の隙間に気が付いた加納が母性本能的に放っておけなくてついつい面倒を見ちゃう、仕事を放棄しようが同僚に迷惑をかけようが後始末して回り、強引に抱かれようと見放せないなんて過保護なお母さん以上でした。
こんな困った後輩なのに惚れた弱みなのでしょうね、あっさり何もかも許して両想いになってしまいました。
後半の「君に、恋に落ちた夜」は、その後の二人。
次期後継者、と言えば結婚問題やそのまた次の跡継ぎ問題があるだろうと思った通りのことが起きます。
健気な受けは自分が身を引けば相手を救える、受けを傷つけたくない攻めは自分が悪者になってでも受けをかばう、という王道的な筋書きどおり。
お互いがお互いを身を犠牲にしてかばいあう姿に絆された親にしばしの猶予をもらいとりあえずハピエン。
続編があったら、その数年後また同じ問題が起きて揉めるんだろうな、それで同じように身を引いちゃうんだろうなと思います。