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毒のように甘い、おまえの身体――刑事が愛した無垢なバレリーノの真の姿は……。 知られざる絶版名作を発掘! カリスマが描く、衝撃の官能BL!
妻を殺された刑事が
とあるバレエ団ダンサーに接触する。
妻が死に際に呼んだ名と同じ名前を持つその美青年に
刑事は抗いがたい魅力を感じ…。
不義密通、殺人、復讐、凌辱強姦など
あらゆるドロドロ、エログロが詰まった本作品。
168ページ(2段組)という短さながら
ダークサスペンス、ホラー、人間ドラマなど
様々なジャンルのエッセンスが詰まっており
非常に読み応えある一冊です。
まず印象に残ったのは
舞楽『蘭陵王』に着想を得た劇中劇の激しさ。
裏公演で行われるそれは公開売春のようなもので
美しきバレエダンサー、玲司扮する陵王が
敵方に捕らえられたところを
客が舞台上で思うまま犯すことができるという代物。
ガラス瓶の挿入などプレイの痛さもさることながら
男に虐げられて生きていくしかない玲司の運命を示唆しているような描写が非常に象徴的です。
そして玲司という人物の描写の巧みさ。
儚げで美しい容姿と、不憫な境遇。
悲劇のヒロインのような姿から一転、
後半に驚きの事実が明かされることで
一気に忌み嫌われる醜い存在に姿を変える。
その落差の描写が素晴らしいです。
自分の美しい容姿を心の拠り所とし
醜い姿を人目に晒したくないと縮こまる姿は
悲しきモンスターのようで痛々しい。
そんな醜い姿で、酷い言葉を投げつけられながら
犯されるのがまた凄いのです。
さらに玲司、佐野、桐生という三人の男の愛憎関係。
愛情の反対は無関心である、とあとがきにあるように
『無関心』以外の何かで強く結ばれた男たちの
凄絶な物語に圧倒されます。
特に、耽美なダークヒロイン物(男だけど)かと思いきや、突如現れた伏兵により、アブノーマルな監禁物へと移行していく話運びにはゾクゾクさせられました。
そして何といってもエロ描写。
玲司が生卵を入れられたり
玲司ともう一人のゲイボーイとで
四つん這いになって一つのバイブを挿入し
逆綱引き状に押し合ったり・・・
コメディと紙一重なエロ描写の数々は
アイディア、筆の巧みさ共に素晴らしいものでした。
94年に立風書房から出版された本書ですが
今読んでも古さを感じさせない面白さがあります。
巨匠の貫禄を十分に感じさせる本書は
ハーレクイン社の復刻BL第一段に
非常に相応しい良作であったと思います。
注:けっこう盛大にネタバレ。そして激しく長文。
キドバレエ団団長と後援会長の女性が殺された。刑事・桐生勲は被害者の後援会長である身重な妻が最期まで口にしていた「レイジ」という名と、ある一枚の写真を手掛かりに独自で捜査していた。
キドバレエ団は裏で売春も行っている。このバレエ団が十八番とするのが舞楽『蘭陵王』をモチーフにしたバレエ『陵王』。たぐい稀な美貌を隠すため戦場ではわざと獰猛な仮面を着けて戦ったといわれる陵王を演じるのが、美貌の花形ダンサーの土御門玲司。玲司は幼い頃木戸に拾われ、客に身体を売らされていた。バレエ『陵王』の裏では、ステージの上で実際に陵王に扮した玲司を観客が犯すという饗宴も行われていた。
生前妻は玲司を特に贔屓にしていたので、桐生は偽名を使い彼に近づく。妖しい美貌、しなやかな肉体、数多の男達の肉悦の奴隷として歪んだ快楽を植え付けられた淫らな身体に反して、それを恥じる淑女のような反応。玲司の全てに惹かれ、溺れて行く桐生。玲司もまた、初めて自分を大切に扱ってくれる桐生を愛し始めていた。
そんな中度々殺人事件が起こり、桐生は妻の裏切りと玲司の秘密と罪を知る。
妻の裏切り…女を憎む玲司と妊娠するまで無理矢理繋がり、桐生の子供として産もうとしていた。
玲司の秘密…血を見ると全身に出る赤い痣。美しい玲司の、一番醜い姿。
玲司の罪…浮かび上がったおぞましい痣を消すためには大量の血を浴びる必要があり、そのために木戸と共に殺人を繰り返してきた。
妻を殺したのも玲司で、それを目撃した木戸の血で痣を消した。
玲司の美貌の裏に潜んだ残忍な獣と醜い赤痣。それを目の前にしても玲司を愛する桐生は、自分も死ぬつもりで玲司を殺そうとする。が、醜い姿を晒したまま死にたくない玲司は、桐生を殺し桐生の血で醜い痣を清めた。
そこに現れたのが、桐生の妻の兄で、親友の刑事・佐野清孝。佐野は殺された妻の捜査をしている時の桐生に不信を感じ、密かに桐生の行動を追っていて、桐生が玲司に惹かれていることも感じていた。佐野は、桐生に対し友情を超えた感情をもっていた。その桐生が目の前で殺され、激怒した佐野は玲司の動きを封じ殺そうとする。しかし、二人は互いの『何か』感じ取り、佐野は思いとどまった。
そこから、佐野の監禁・陵辱が始まった。
前半は、複数での陵辱はあれどエロは甘めで、危なげな美しさをもつ天才バレリーノとそれに引き込まれていく男の物語ですが、玲司の秘密が明らかになって、佐野のとの監禁陵辱生活の後半が怒涛の山藍ワールドです。
佐野の陵辱はバラエティに富んでいて、鶏卵をあそこに入れたり、ゲイボーイとのバイブ逆綱引き、そしてフィ○トファックまで…生卵とか割れたら殻が地味に痛そう!(((( ;゚Д゚)))ガクブル また、陵辱中に赤い痣を出させ、それを揶揄するという精神攻撃も。
最初は玲司を苦しめて嬲り殺しにするつもりだったのに、佐野はなかなか殺せずにいます。玲司のせいで、佐野は桐生を失ったのに。佐野の桐生への感情は愛を超えて執着という昏い感情といった方があっていると思います。親友の態度を崩さないまま、妹と結婚させ、2人のマンションまで自分の思う通りにしていたのだから。
桐生は死に、人々は彼を忘れるが、佐野と玲司の中でだけ桐生は生き続け、二人だけのものとなる。自分こそ桐生を殺し、自分だけのものにしたかったのでは…という己の心に潜む闇の獣。玲司を犯すうちに佐野はそれに気づき始め、玲司の処遇を決めかねていました。
玲司も抱かれるたび、桐生を殺した夜に佐野に対し覚えた獣性の共鳴を感じとっていました。
互いに持つ憎悪や殺意の中に、あの夜に感じた互いの獣の存在が入り混じって、それが心を揺さぶるんですね。
絡み合う二匹の獣。彼らの間に愛や慈しみはないのです。憎み合いながらも互いに共鳴し理解し合うことはできる。その考えにに辿り着いた後の二人が身体を繋げるシーンは、確かに愛は無いはずだけど、なんだかハッピーエンドにすら思える、美しくも激しい、まさに獣同士の交わりではないでしょうか。
赤く呪われた獣と、それを蹂躙し支配する獣。この二匹の獣を引き合わせた桐生を軸にした三角関係。互いに美しくも残忍な獣を裡に隠し持ち、一人の同じ男を想う彼らは、結局はお互いの存在しかないのだなぁとあとがきまで読んで私は結論付けました。
二段組とはいえこのページ数でよくぞこれだけ詰め込んだなと山藍先生に脱帽です。なのに内容が薄いわけでもなく、心理描写は簡潔に表現され、けっこう濃くてバイオレンスなこともあっさりと書かれているので満足な読了感。玲司のぶっ飛んだ設定も、佐野の凶暴性も、山藍先生作品なら納得!って感じです。
欲を言えば、座裏屋蘭丸先生の描く美麗な玲司とか、玲司と2人の攻めとの絡みの絵をもっとみたかったなぁ。
山藍先生に座裏屋さんの表紙で発売当時からずっと気にはなっていたのですが、痛い話だよなあ…と思いどうしても購入に踏み切れませんでした。がしかし、評価も高く綺麗な表紙につられ手に取ってみました。内容はすでに書いてくださっているので感想を。
これほど評価に悩む作品もない。と思いました。BL的な萌えという点ではかなり低い。けれど一つの作品として読むと、これはすごい作品だとも思う。
桐生の、妻への想いと玲司への愛情。初めは妻を弔うためだったのが、美しく儚い玲司へどんどん惹かれていく様は、あっという間に堕ちていく一人の男を見事に描きっています。
玲司も、あの美貌ゆえに凌辱され、そして悲惨すぎる過去の経験から怪物へと変貌してしまう。唯一自分を大切にし、愛してくれた桐生をああいう形で失う彼があまりに哀れでした。
そして佐野。彼の中に巣くう狂気がすごい。
とにかく玲司を取り巻く大人たちがあまりに外道で、そして彼の過去が悲惨すぎて、途中で読むのを放棄しそうになるくらいでした。そんな中、桐生と玲司の純愛がこの作品を救ってくれるのかと思いきや、そこで終わらない。
終わらないゆえにBLとしての評価は「趣味じゃない」なのですが、それゆえにこの作品の評価は「神」でした。事件の動機や真相にはびっくり。ミステリーとして読んでも遜色ない作品です。
桐生亡き後、桐生を愛した男二人の間に芽生えたものは愛だったのか。
これが20年も前に書かれた作品というのも驚き。すごい作家さんなんだなと感心します。
が、甘く優しいお話を好む方にはお勧めできない、ダークで狂気に満ちた作品でした。
一人の刑事が、妻を殺した犯人を捜すサスペンス
とは 違っていました。
山藍紫姫子氏のストーリーは、怪奇もの特有な 恐怖を感じてしまう。
美貌が故に 性の玩具にされた少年。
彼に対する、暴力 陵属シーンは生々しくて痛々しい。
殺人鬼を探して薄幸の少年に近づいた桐生だが
本当の鬼がどこにいるかは 誰も気が付かなかった。
ジキルとハイド氏のように、変貌する殺人鬼。
容姿の醜さを知られるのを恐れていた鬼の正体を知って
桐生は殺された。
桐生を追っていた 佐野にすべてを知られ、復讐のとして監禁 虐待を
される 玲司。
虐待は もちろん 強姦 sM的な攻めが続く
桐生の死によって 壊れてしまった佐野の魂との共鳴。
陵属のため あてがわれた ユリエを殺した時
玲司と佐野の壊れた魂が 重なり合った。
殺人鬼を愛した
殺人鬼とともに生きることをのぞんだ
悪徳を美とするような 世界観の中に引きづり込まれるように思える。