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表題作ひだまりが聴こえる

杉原 航平
難聴の大学1年生
佐川 太一
杉原の同級生

その他の収録作品

  • 今はまだ道の途中
  • カバー下表紙1【表】~カバー下表紙4【裏】:【無題】お弁当の話

あらすじ

―――あいつ、耳聴こえねーの?

難聴のせいで何かと誤解を受け
周囲とうまく馴染めない大学生の航平は、
いつしか人と距離を置くようになっていた。
そんな時に出会った同級生の太一。
バカみたいに明るい性格で
思ったことを何でも口にする彼から
「聴こえないのはお前のせいじゃないだろ!」
と言われ、航平はその言葉に心の底から救われて……。
友達以上、恋人未満。
太一との出会いが航平を変えていく。

作品情報

作品名
ひだまりが聴こえる
著者
文乃ゆき 
媒体
漫画(コミック)
出版社
プランタン出版
レーベル
Canna Comics
シリーズ
ひだまりが聴こえる
発売日
ISBN
9784829685617
4.3

(815)

(487)

萌々

(186)

(84)

中立

(31)

趣味じゃない

(27)

レビュー数
86
得点
3462
評価数
815
平均
4.3 / 5
神率
59.8%

レビュー投稿数86

一歩前へ

最近は新刊目白押しですね。
どれを買ったらいいんかわからんくて、ついつい作家買いのみに。
これは久々に冒険した初読みコミック作家さん。
買って良かったです!!

作家さんも後書きに書いていますが。
「…BL?」という感じのストーリーです。
どっちかっつーと、青春ドラマ。
友情、障害、トラウマ、恋…みたいな。
物語のスパイスに恋もあり、的な。
それが新鮮というか、リアルというか。
BLお約束ではないけれど、ごく自然な展開がとても気持ちよかったです♪


難聴を患うイケメンだけど物静かで気難しい航平と。
元気すぎて喧嘩っぱやいのが玉にキズの太一。
キャラクターも大学の学部も全く違う二人ですが。
ある日お腹を空かせた太一へ航平が「お弁当」をあげた事が切欠で知り合います。
そのお礼にと、太一が航平の「ノートテイク」をお弁当と引きかえにはじめます。
太一の何気ない一言に航平は救われ。
航平の深い部分に太一が共鳴する。
やがて、夏休みに入り…?


本当に、一般誌でも十分通じるお話なんですが。
最後の最後で小さな台詞に、個人的にかなりズキュン!ときました。
何て言いますか。
最近、少しパターン化された展開のお話を読むことが多くて。
何となく萌えにくくなっておりまして。

このお話は、特に大きな事件もないんですが。
自然な感じで空気が緩やかに変わっていく。
恋の話と言うよりも、二人の青年の成長のお話で。
成長の中に恋というスパイスがある感じ。
それが逆に、すご~く萌えました!

幸せそうにお弁当を食べる太一の声が一番大切な航平。
たまに見せる航平の笑顔がもっと見られるようにしたい太一。
ふたりの願いは、やがて二人を成長させてくれる。
いいですね~。
こういう関係の二人、とても好きです。
特に、幸せな顔でお弁当食べる太一を見ていると、こっちまで幸せになります♪

聴力障害の話を少し。
私は片耳だけ軽い難聴なんですが。
歌を歌うのが生き甲斐みたいな人間なんで、難聴になった時は凹みました。
そして、もしもこの耳がもっと聴こえなかったら…と思うと怖いです。
どんな障害でも、自分だっていつなるかわからない。
だから、人の気持ちのわかる人間でありたいもんです。
難しいけれど。

31

エッチはないけど、恋でした。

それぞれに、
失ったものの悲しさを抱えて、
前を目指している二人
最初は
BLにしては 友情のイメージが強いナァと思いましたが
でも
エッチはないけど、恋でした。
読み終わった後、こころに 暖かなストーリー。
表紙のイラストをみて、もう一度読み返してみたくなります。
この先 の二人を応援したいです。

17

「諦めること」と「受け入れること」の違い

萌萌萌。(MAX:萌萌萌:神に近い)
タイトルへの興味と、鮮やかなのに柔らかな印象の表紙に一目で惹かれて即買いしてしまいました。
初コミックスだそうですが、新人さんとは思えないほどの手ごたえ。
カテゴライズに走らないキャラ造詣や、テーマのシンプルさ、くど過ぎず抑えすぎない量のモノローグ、シーンの切り方と繋げ方、コマ割りの抑揚のさじ加減などなど、とにかく基本的な部分がしっかりとしているので、ストーリーが心にすっと入ってくるんです。
個性で勝負(そういうのも大好き)というよりも、静かながら確かな基礎力が光る作風で、「真っ直ぐな漫画」という印象を受けました。
表紙そのままの作品世界なので、表紙を見て心惹かれる方がいらっしゃるなら、力強くお勧めしたいです。

難聴のせいで人と距離をとっていた航平が、単純で明るい太一と出会って少しずつ変わっていく――そのあらすじそのままに、航平が太一との出会いによって前向きに変化していく過程が丁寧に綴られています。
友情といってもいい純粋さで、どんどん距離を縮めていく二人の交流がとても自然。
一緒にいて楽しいこと。笑顔が嬉しいこと。相手を揶揄されれば我慢できないこと。隣にいなくてさびしいこと。そして少しずつ積み重なっていく信頼。
恋愛以前の、人と人の関わり合いという最も基本的な部分が大事に描写されていて、素直に引き込まれました。

航平の難聴は先天性ではなく後天性の突発性難聴です。
健常者という言葉を意識しないほどごく普通の中学生だったのに、カーテンを締め切った部屋で目覚めたある朝を境に、突然「障害者手帳作りますか?」と聞かれる立場になってしまった。
そんな航平が選んだのは、髪を少し伸ばすこと。
補聴器をつけた耳を隠し、読唇に必要な目を覆うその髪形。
耳が聞こえていた以前の自分に戻ることもできず、かと言って難聴という今の自分を受け入れきることもできない航平の中途半端な心情を端的に象徴しています。
おまけに手話のことも「俺には必要ない」ときっぱり固辞。
手話を拒絶することは、「そーゆー人達」の世界に交ざることへの拒絶でもあり、カーテンの向こうの「あっち側」の世界にいる人たちへの拒絶でもあります。
大学生になった今も、つまり航平の時間は、カーテンを閉め切った部屋で目覚めた「あの朝」で止まったままだということ。
けれど薄暗い部屋には、カーテンの隙間から一筋の明るい陽射しが注いでいます。

誰の視界にも入らない木陰の中で一人お弁当を食べていた航平の元に、空から突然落ちてきた太一。単純な性格の太一は明るく、そのよく通る声は真っ直ぐに航平の耳に届きます。まるで太陽のように明るく真っ直ぐに。
光に誘われてカーテンを開けた航平は気づいたはずです。
窓の向こうに広がるのは、これまでと変わりないつもの朝だと。誰かが窓を開けてくれるのを待つのではなく、自分の手でカーテンをひいて窓を開ければ、いつでも外の世界に出られるんだということを。

以前のようにさっぱりと髪を切った航平は、手話も習い始めます。
いつか訪れるかもしれない「その時」がきても、変わらず外の世界に出られるように。そして太一と会話できるように。
「諦めること」と「受け入れること」の違いをそっと教えてくれる、心が暖かくなる作品でした。
作家買いリスト追加完了!

※追記
ご意見を頂き、レビュー内容を一部削除致しました。
2014年11月7日以前に「役に立ったボタン」を押してくださった方、申し訳ありません。

16

お日様みたいな輝き

木漏れ日溢れる緑の美しい表紙とあらすじに惹かれ、手に取ってみました。
著者様のおっしゃられている通り、BL作品としては濃度が微弱なものの、カテゴリに囚われないフレキシブルな魅力ある作品です。
身体的ハンデであろうと何だろうとわかってあげようとする気持ちが必ずしも本人が望んでいるとは限らない、こうしてあげることが正しいという確固たるものがないから、それを当然正しいものだと解釈する誤謬や欺瞞が生まれる。
自分自身と周囲の意識がズレていくこと、その中で出会ったイレギュラーな存在、決して調和のとれた綺麗事だけでは語れない何かがこの作品からは感じられます。
とは言っても回りくどいことなく、本作品のテーマや伝えたいであろうことはすんなりとシンプルに入り込んできます。
それは、思ったことを何でも口にして行動するまっすぐな太一の存在が大きいからだと思います。
航平もまたその大きな存在に救われ、様々な心の隙間を埋めていく…。
BLという前に恋愛成分自体やや少なめですが、人が人に素直に惹かれていく過程や繋がりを大いに感じられました。
ちょっとづつ進んでいく静かな雰囲気、すれ違う切なさが伝わってくる感傷的な心象描写も好きですね。
タイトルに込められた意味がほんのりと心に沁みてくるところも素晴らしかったです。
恋人とはまた違う二人だけれど、例えどんなことが起きてもこれからも太一のお日様みたいな輝きで航平の行く手を照らしてくれるといいな…そんな風に思える心温まる物語でした。

16

心を開いていく家庭

以前に何かいい新刊ないかな~と探していてこの作品のことを見つけたのですが、まあいつか買おうかなくらいに思ってたのが間違いでした・・・
結局買っちゃいましたし笑
ちるちるのランキングで見かけてここまで評価高いならと本日購入し先ほど読み終わりましたが素敵な作品でした(●´ω`●)
最近はエロ好きなめ(というかストーリー重視)の作品を探していたのでストライクでした!

難聴で耳が聞こえずらい航平と弁当を偶然貰ったのがきっかけで友達になった太一のお話。
太一は名前からぽいですがアホ系すぐ言いたいこと言って手もだしちゃう感じの男の子です笑 彼は素直に感情をぶつけてくるのでひねくれた性格の航平の心を開くにはピッタリだったんじゃないでしょうか?

この本の序盤は、二人は知り合ったばかりなのでよそよそしい(主に航平)感じがするのですが終盤にはお互いに思いをぶつけあったり、すれ違いがあったりなど友情と恋心の進展が徐々に上がっていてその変化が分かりやすいので読み直すと面白いですヽ(^o^)丿

難聴=耳が聞こえない、手話が通じるなどと思われていて、いきなりの発熱により難聴になり本人もイライラしていただろうに周りからは面倒くさがれ障碍者扱いをされるのが嫌だったんですね航平は。だからあまり人と関わらないように昼は一人屋根の上(?)で食べて、自分のことを悪く言われているのも知っておきながら「聞こえないからいい」と対処してきたんですね。
それが太一が聞こえないから言っていいわけじゃない!と怒り今までそんなことを言われたことが無かったので涙を流したんですよね
この後なんで泣いたのか分かっていなかった太一ですがニブチンなので気づくのにはかなり時間がかかりそうです(゜゜)

太一も素直ないい人間なので、美穂ちゃんとの時にも耳が聞こえない設定の空想に夢を馳せている彼女につい一喝してしまいますが、そこが太一のいい所で航平が好きになった所なんでしょうね。
本人はそれが正しいから深い意味は無く言ったつもりなんでしょうけどそれが航平には当たり前では無かったのでかなり太一の存在には救われたと思います(ToT)/~

航平が階段でキスしたのは勝手にほっぺだと思ってます笑
告白もしたんだかしてないんだかニブチン太一くんは気づきそうもないのでくっ付いた後のぎくしゃくしそうな(太一が恋愛感情を持たれていたなんてちっとも気づいてなくて~)二人の話が読みたいので是非続きが読みたいお話でした\(^o^)/
作者さんがあとがきでBL要素がない・・とおっしゃってましたがそれでいいんです。エロがBLなんじゃない、男の子二人がすれ違ったり思いをぶつけあうのがいいです!言っちゃあキスもハグもいらんです✋

多少強引な太一のお陰で周りへの誤解なども少なくなり終盤では無口だったのが嘘なくらい自分から積極的に話せるようになっていて嬉しかったです。

話が航平視点と太一視点とが交互になっているので心情が理解しやすかったしどちら側にもつかないで中間の立場で読むことが出来ました(^^)
長くなってしまいましたが、かなりおすすめの作品なのでお手に取って感動を共有したいです(^o^)

14

この作品が収納されている本棚

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