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雪舟先生の挿絵も麗しく、名作の誉れの高い古い作品の文庫化、
その二巻目。
旧版は未読、この文庫化で初めて読んでおります。
※ ※ ※
風情のある中華風の世界観の中、
太陽のように強くエネルギーを持った新興の琰国の王子と
琰に滅ぼされた歴史ある湘の国の盲目の公子の恋。
前巻で互いの気持ちは確かめあって、その後の二人。
故国では亡き者のように扱われていた月心は、
20歳をとうに過ぎても元服もせず名もない身。
その彼を元服させ、名を与え、琰の戸籍を与え、
役割を与えて居場所を作ろうとする大牙。
身にあまることと喜び受け入れたものの、
元服してしまうと彼との関係が変わってしまうのでは……と
不安になって、でもそれを素直には告げられない月心は……。
よくできた世界観の中で描かれる、痴話喧嘩……です。
お互いベタ惚れ、あまあま。
月心は健気な美貌で薄幸の公子……なのだけれど、
あれだけ強くわかりやすく愛されてるのにグルグルしていると
だんだんイラっとしなくもないし、よく考えると
二人ともいい加減にしろ!みたいな気分になりもするのですが、
美しい筆致、丁寧な描写、魅力的な脇キャラ、を楽しみながら
まぁよく考えずに物語に浸って、
切なくうっとりするのが正しい読み方かと。
短編は、月心のことになると冷静さを失う大牙の嫉妬編。
書き下ろし「ともしび」は、盲目の彼を思いやる大牙の小さな話。
痩せても枯れても、嫉妬して無体を働いても落馬しても、太子は太子。
どうも唯一無二の愛とは別に妃を娶るのはありのようなので
そこはどうなる第三巻?!というところか。
『月と茉莉花』の続編で、文庫化したものです。
これから読まれるならば、文庫版の方がお勧めです。
もうすぐ三巻の文庫版の発売なので、慌ててこちらを読みました。
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受けは湘国の盲目の元公子、月心。
湘が琰国によって滅ぼされ琰の虜囚となり当初は無理矢理に大牙に抱かれていましたが、現在は心を通い合わせ離宮で大切に保護されています。
攻めの大牙は、病床の父王に替わって国政を取り仕切る琰国の太子。
本来は気性の荒い、いかにも一国の太子という傲慢さを持ちながらも、時間を作ってはせっせと月心の元へと通い不自由がないよう気遣う細かい部分も。
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今回は短編集のような印象です。 ただ、読み応えがあって、消化不良になることがないのがさすがです。
★羞花閉月
国では存在しない者とされていたため未だに元服していない月心のため、大牙が後見となり元服させることとなりました。
元服とは一個の人間として認められることで、その部分でも父王にさえも顧みられなかった月心の境遇が知れます。
琰の戸籍を用意され、名も整えられ、献身的に月心へ尽くしてきた老爺・柏翁も歓喜の中、一人浮かぬ顔、心に重荷を抱えた月心の姿が…
相変わらずの健気系な月心。
元服したらもう気軽に大牙と共に居ることができない、もしかしたらもう大牙に愛しては貰えないのかもしれない。
そんな疑心暗鬼に囚われ、人知れず涙します。
大牙の愛情を見ていればそんなことあるわけもないと感じることが出来るはずなのですが、こんな思考に陥ってしまうのもすべて、月心自身が今まで生きてきた中で己の価値など見出すことが出来なかった不幸故で。
★皓月千里
大牙の実弟、子瑞登場の回。
18歳の彼は兄を追って訪れた離宮で月心を見かけ、心を奪われてしまいます。
この回も、相も変わらずいつか大牙に顧みられぬようになることを覚悟しつつどこか諦めている月心がいます。
「どんな激しい雨もいつか必ずやむ」と嵐の夜に元気づけた大牙の言葉にも、何事もうつろわぬものはないのだと解釈するのですから。
大牙が多忙で離宮を訪れられない間に、子瑞と距離を縮めていた月心への怒り、弟への嫉妬。
それが爆発し無体を働いた大牙でしたが、彼の好ましいところはそれを詫びなければと考える健全な精神ですね。
基本傲慢系は嫌いですが、反省猿となる大牙はひじょうに好ましい青年でした。
★邯鄲之枕
湘国を打ち破ってから一年後(まだ二人が出来上がる前)のお話で、月心が女人の装いをして大牙の前へ現れ、実は女だったと言い出すのですが…
まあ、夢落ちなんですけどね。
うん、そうだよね、残念ながら(苦笑
でももしそうだったならBLとしては成り立たなくても、二人は正式な場で幸せになれただろうなあと思ってしまいます。
★ともしび(文庫化による書き下ろし)
ひじょうに短いですが、きちんとした一つのお話になっております。
目が見えないということの不便さやもどかしさや不安。
幼い頃から味わっていた月心のそういった心持ちを改めて不憫に思い、寄り添いたい少しでも理解したいと思う大牙のお話です。
三巻の購入を迷っていましたが、やはりこちらの二巻目を読み彼らのことをまだまだ読みたいと感じました。
なんちゃって中華風と称するには申し訳なく感じるほどに良く世界観が練られておりまして、文庫化の機会がなければまったく気づかなかった作品でしたのでルチルさんありがとうと言いたいですね。
ファンタジーというよりも歴史物に近い雰囲気で、その手のお話がお好きな方には読んで頂きたいなと思います。
なぜかシリーズ1冊目の「月と茉莉花」に到達。
「受けさんもうちょっと強くなって」 とのレビューのあと、
続きで こちらを読みました。
危なかった。
かなりノックアウト寸前。
あんなによわっちくて いらっとしてた受けさんなんだが
健気すぎて、だんだん絆されてきた・・・やばい、墜ちそう。
しかしまあ、二人して不器用なこと。
受けさんは目が不自由なのと隔離されてたから、コミュ障なのはしょがない。
おまけに存在意義を与えてくれたような攻めさんに対して大きくでれない
臆病になってもしょがない と百万歩譲っても
攻めさん、あんたもちょっと気遣ったれよ。
ほんまに不器用傲慢俺様やねんから・・・・
とちょっと怒るのだけど、不器用な二人がなんだかんだいって
好き合ってるのを確認してにやにやする羽目になる巻でした(笑)
あー面白かった。割と残りそうなので萌2.
次、3巻目いってみよー
ココナッツ
お返事、どうもありがとうございますm(_ _)m
そうなんですよね、太子ですものね。
雪舟さんの表紙もとても素敵で、やはり読んでみたくなりました!
とても参考になりました、ありがとうございます。
snowblack
ココナッツさま
コメントありがとうございました。
攻めですが……、確かに俺様系ですね。
私は俺様耐性が低くないせいか、ウルトラ俺様でもないように感じますが
どうでしょうね……
全体の性格はそれほど俺様とも思わないのですが(太子相当かと)
不器用なところがあるので、2巻もアクシデントがあると
無体を働いたりしてしまう(その後落ち込みますが)ところがあります。
こんな説明でご参考になりますでしょうか?
ココナッツ
わたしもこの度文庫化ということで、すごく文章がお上手と聞きますし気になっておりました。
ただ、攻めが結構俺様系ですよね?太子だから仕方ないけれど。
そこはいかがでしたでしょうか…