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何度か再刊された人気作。
でも、現実社会では有り得ない設定。
神谷:離婚処理中の妻子持ち。商社営業課勤務。暁の死を知り、鬱。
暁 :脳腫瘍で亡くなった神谷の恋人。志貴と似ている。
志貴:両親の死亡後、3人の弟を扶養。神谷から「暁の代理」を請け負う。
大学中退の19才が、いくら頑張っても3人の弟を養いきれる訳がない。
志貴が神谷の支援を受けることに導く設定だとしても、どうして弟3人にしたのか、謎。
神谷には、忘れられない死んだ恋人が居る。
やり手の商社営業管理職の神谷は、「理解出来ない事は斬り捨て」で処理してきた。
神谷は「妻子と暁、双方大事にしたらよい」と割り切って、暁と交際。
海へ向かう途中、暁は具合を崩す。実は、暁は悪性脳腫瘍で余命僅か。
神谷に暁はそれを告げない。(告げられない暁の気持ち・・コレが神谷を苛める。)
「また行けば良い」と暁を説得して、家に送る。
「さよなら 神谷さん」と告げる暁。不愉快な神谷は振り返らず去る。
その後、暁は神谷を電話もメールも着信拒否。
神谷は、暁の行動が理解できず怒り、存在を脳内から消す。
暁の死を知ったのは、死の半年後、暁の友人から。
自責の念から神谷は自我崩壊。不眠になり妻子も失う。
志貴の弟の一件で、別れを告げる神谷に、志貴は一か月の同居を申し出る。
一か月の間、志貴が要求したのは、家の埃の掃除とゴミ捨て。
最後は、神谷の暁への想いの整理。
志貴は両親と死別した体験を元に、神谷と向き合う。「暁の事は、忘れないで欲しい。」
神谷は、暁の思い出を大事にしながら志貴と生き直すことを決意。
その後のSSはコメディ。松坂牛5キロ。
★著者が書きたかったのは、神谷の心の整理と、志貴の対応?。
過去の自分の振舞いのタラレバを引きずる神谷みたいな人は、昔からいる。
古典の「伊勢物語; 芥川」でも「露と答へて消えなましものを」と、
亡くした姫を想って泣いている。
以前ノベルスのほうで読んだことがあったのですが、こちらのほうが書き下ろしで神谷さん目線でのフォローがあるぶん、印象は良くなったように思います。
それでもやっぱり神谷さんはダメダメ男なことに変わりはないけど、彼のどうしようもない後悔や、寂しさ、弱さは、わかってあげたいな。という気持ちになりました。
繰り返しになるけど、神谷さんは本当に弱い男です。
苦労を知らず、人の傷みを知らず、傲慢に生きてきて、気づいた時にはなにもかも失って。
失意や後悔に溺れているなかで、暁に似た志貴に出会い、志貴を身代わりに、罪滅ぼしに、優しく接して自分の虚しさを埋めて。
そして志貴を愛しはじめてしまったら、今度は暁へのうしろめたさや多貴からの警告を理由にサッサと逃げてしまうし。
志貴の真実を知っても、お金で解決しようとする…
志貴をいっぱい傷つけてること、分かってない。
そんな神谷さんに対して、志貴の献身や愛情深さったらない。押しつぶされそうな重圧にも、耐えてみせる強さがある。正直もったいないくらい。
自分が神谷さんのまえでは「お気楽な大学生」でいることでひととき安らいでいたように、神谷さんが自分の前で「できる大人の男」でいようとした、そんな悲しい虚勢への共感もあるのかな。
神谷さんの空虚な心に種を植えるように、ひとつひとつ生き方を教える志貴の愛情や優しさは、神谷さんを少しずつ変えていきました。
バイク事故の勘違いがなければ、神谷さんは果して志貴に正直な気持ちを伝えられていたかな?
たぶん、その後もちょいちょい様子見にくる志貴に甘えて、ずるずるしていたような気がする。ほんとにヘタレ…
いろんな偶然の重なりに感謝して、神谷さんには志貴の献身にしっかりと報いてほしいです。
とにかく一番心に残るのは、やはり志貴たち4人兄弟のお互いを思いやる家族愛でした。
それぞれの苦労や我慢があり、一つ屋根の下支え合って暮らす4人には、胸を打たれっぱなしでした。
大黒柱として支える志貴はもちろんだけど、特にすごいと思ったのは多貴。家事にバイトに、下2人の世話、兄のフォロー。神谷さんのことまで。多貴がいなければ、みんなで一つ屋根の下、暮らせていなかったでしょうね。
由貴、仁貴も、それぞれ子供なりに考えて頑張ってる姿にはじーんときました。
どうしてもモヤっと感が残ってしまうのは、神谷さんが離婚前に事が進んでいることや、心の病気で通院していることが、のちのち明かされるからかなと。
離婚に関しては、お受験待ちというのは本編で明かされますが、妻の方にも別に相手がいることや、再婚することなどは書き下ろしでとってつけられた言い訳のようにも思えるし、心を病んでいれば、もう何も言えなくなるっていうか。
娘に関しても、片岡家の兄弟たち同様、これからはしっかり目を向けていってほしい、とリアル目線で思ってしまいます。心の傷みを知って、神谷さんはきっと強くなっていけると思います。
神谷さんのことをつらつら書いてしまったけど、やっぱり大きいのは志貴の頑張りです。
神谷さんに甘えていいから、これからたくさん幸せになってほしいな。片岡家に幸あれ。
四社合同フェスタ「不憫受け特集」でリストアップされていたので、以前から気になっていたこちらをついに読んでみることに。
「叶わない、恋をしている」というこれ以上ないほど切なげなタイトル。
そしてあらすじの「交通事故で他界した両親に代わり、三人の弟を育てている」という健気そうな受けが、援助と引き換えに、攻めの亡くなった恋人の身代わりになるというやつ。
これは涙なくしては読めないだろうなぁと覚悟して読み始めたんだけど、一回も泣かなかった……。
あれれ?
私が期待する不憫受け作品って、懐が深い攻めに出会って健気な受けが救われるというやつなんだけど、この作品は懐が深いのは受けのほうであって、割とというかかなりクズで傲慢な攻めが救済されていたわ……。
で、その攻めに対して、別にこんな男、救わなくてもいいのでは?みたいに感じてしまったもんだから気持ちの持っていきようがなかったです。
亡くなった恋人をどれだけ深く愛していたのかと思いきや、まさかの不倫。
しかも自分が妻子持ちだと知ったうえでつきあい始めたのだから、納得してると思ってたと言ってのけるし、好きの程度も「好ましいと思ってた」程度だし……。
(その愛し方を、ガラスの花瓶に生けられた切り花に例える表現がとても好き。)
この作品の中で一番不憫なのは、亡くなった恋人だと思いました。
そして幼い攻めの娘も不憫で、後半、受けの兄弟達を可愛がる様子にモヤモヤするというか、あんたは本当は我が子とこうやって接するべきだったのに、他人の子で何やってるの?と言いたくなる。
辛口ですみません。
攻めに関しては「しゅみじゃない」けれど、受けの兄弟達が頑張る様子が良かったので、萌です。
そして攻めを救うために、受けが押しかけ女房をするのかと思いきや、あの方法を取るというのが、私には思いもつかなくて、そこは素直に感嘆してしまいました。
当たりばかりの凪良作品を読んできましたが、これは普通かなあ。
ちょっと無理がある展開(大学生が小さい弟全員引き取ったり)だったり、色々無茶だなあと思うところがあったりしましたが、漫画なら結構こういう感じの話はある気がします。
小説がよくて漫画が悪い、もしくはその逆という事は決してないのですが、同じページ数ならば小説の情報量の方が媒体的に多いのは当たり前なので、何となく小説の方が物語の重みを期待してしまう気がします。私の場合ですけれど。
そういう意味では、薄いかなあ。同じ話でも、掘り下げが少ないのでそう感じるのかも。中途半端な印象です。
でも、この話は古いんですよね。
最近のものばかり読んでいたので、まあ、こういうのもあるかなあという感じでしょうか。
嫌いではないですが、大好き!でもないので普通に「萌」で。
曇天の空のようなお話し。
その重く重なった雲の隙間から、淡い光が差し込むような少しほっとする結末。
志貴が神谷を甘やかさずに支えるやり方が新鮮。
とにかく志貴の兄弟達に救われる一冊。
志貴の頑張りと、神谷の後悔が切ない。
スパダリかと思ったら、神谷はとんだヘタレだった!
箇条書きのレビューになってしまいましたが、
どう落ちるのかと、一気に最後まで読んでしまいました。
凪良さんにしては薄い気はしましたが、改訂版と知って納得。
個人的には、三男由貴が気になるので、由貴の話が読んでみたいですv