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1960年。発掘作業に勤しむ考古学者・アレンがタイムスリップ。
彼が時空を越えて辿り着いたのは、紀元前のエジプト。
そこでファラオの弟・ネフェルと出会う。
アレンが考古学者という設定なので、
歴史に詳しく古代エジプト語にも精通しています。
タイムスリップ先でも会話等には苦労しません。
大航海時代マニアの少年という設定を活かした『FLESH&BLOOD』同様、
この辺りは上手いなぁと思いました。
寂しい境遇から救い上げてくれた兄・ファラオ(アクナーテン)を敬愛し、
彼の為に生き、彼の為なら死ぬことさえ厭わないネフェルが、
初めて心を動かされたのが、遥か未来からやって来たアレンでした。
アレンも横暴なネフェルがふと見せる優しさに心を打たれ、惹かれていきます。
お互いに惹かれ、意識し合うのですが。
ちょっとした行き違いで、擦れ違いまくる二人。
どちらかが素直になって胸の内を明かせば、さっさとまとまるハズなのに!
プライドが邪魔をしてなかなか素直になれず、遠回りが実にじれったい!!
そんなじれったい二人に、エジプトの王位継承問題や信仰、
諸々の陰謀・策略が絡んできて怒涛の展開に。
死を覚悟して、ネフェルとアレンが抱き合う場面には、涙が出ました。
タイムスリップ物なので。
時空の壁に阻まれた二人が、どうやって幸せになるのか。
ここは松岡さんの腕の見せ所で、悲劇に終らせなかったのは流石です。
所々『FLESH&BLOOD』に通じるものがあり、
この作品が後の海斗やジェフリー達に繋がったのかなとも思いました。
そして波津彬子さんの美麗なイラストにうっとりで、
もしも復刻版が出ることがあるなら、同じ装丁でお願いしたいです。