イラスト入り
六本木のホストクラブでオーナー兼No. 1ホストを務めているリョウ(受け)は、店を立ち上げる際に共同出資者となった実業家・國見(攻め)と愛人契約を結んでいる。出資金の返済が終わるまで、という約束での愛人契約だったが、甘やかされてもプライドが邪魔をして素直になれない。そんな折、対等な立場で結んだと思っていた出資と愛人契約に、ある裏の事情があったことを知ってしまい、激怒したリョウは契約の解除を申し出るが…。
『極上ホストは溺愛する』という作品のスピンオフで、そちらの作品の攻めに対抗心を抱いていたホストのリョウが今回の主役です。
前作を読んでいなくても問題なく読めます。今作のリョウがどうしてそこまで前作攻めに対抗心を抱いているか、という一点のみわかりにくいかな。
さて今作ですが、ホストの受けがプライドの高いいい男で、楽しんで読めました。
人たらしというか、とにかく女性客にモテモテです。攻めにもモテモテだけど、愛人だという自分の立場が気に入らないのか、攻めに対してだけはツンツンしています。
攻めは、六本木の夜の王と呼ばれる、数十店のクラブなどを経営する実業家です。傲慢な王様タイプなのかと思いきや、受けにはメロメロのようで、上質な男がプライドの高いツンデレ受けに無自覚に振り回される的な萌えが楽しめます。ドーンと構えていたいんだけど、思い通りにならない山猫のような受けに慌てさせられる感じかな。
誤解と行き違いから、受けが攻めを無視して逃げ回る展開になるんですが、その際もよりダメージを受けていたのは攻めのようでした。
受けと攻めの丁々発止なやり取りも楽しいですが、妙に楽しかったのが受けの仕事中の描写でした。Mな女医さんに対してサドっぽく返したり、お客をお姫様扱いしたり。さすがナンバーワンホスト、イケメンすぎる…。
受けの男前さにドキドキでした。前作より今作のほうが断然面白かった。
小柄な可愛い受け専門、という勝手なイメージを御堂なな子さんに抱いていましたが、こんな男前受けも描かれるとは!
攻めとの組み合わせが自分的にすごく好みで、正直前作よりハマってしまいました(「極上ホストは溺愛する」のスピンオフです)。
受けのリョウは、24歳にしてホストクラブのオーナー、そして現役の人気ホスト。
プロ意識が高く、自分の仕事に誇りを持って日々女性客と接している姿がカッコいいです。
ホストという仕事を馬鹿にされたときの啖呵の切り様がまた決まっていて、受けとか関係なく一人の男性として魅力的なキャラだと思いました。
そんなリョウが、出店の代償に愛人契約を結んでいるのが、六本木中心にキャバクラなど手広く事業を展開している國見。
傲慢系なのかと思いきや、意外にも包容力があり、年下で素直でないリョウを可愛がっている風なところに萌えがありました。
仕事で凹んだとき慰めてくれたり、危ない時助けに来てくれたり、ここぞというときに頼りになる、良い年上攻めだったと思います。
金の為と割り切って國見に抱かれていたリョウが、彼に愛され甘やかされるうち段々素直になる話、かな?
二人とも口が悪い方なので、すごく甘い雰囲気というわけではないですが、クライマックスの告白、そしてラブシーンにはやはり萌えました。
大きな展開はないですが、二人のキャラクターだけで十分楽しめた作品です。
評価は萌×2寄り。