まほまほ
かんちゃん良い子でした、やはり...
本編読んでる時から「自己中やし、むかつくのに何故か痛々しいな...」と思っていたら、やはりかんちゃんの背景に抱えていたものがありました。
ただ、抱えるには幼過ぎたんです、重すぎました、全てが。
溢れて一杯になってしまった...
そこまで、耐えてしまうほどかんちゃんは優しく、そして家族を弓を愛してました。
弓もかんちゃんを愛していたが、心の何処かに過去に思った男が残っている、
そんな、弓の心に何となく気づいていくかんちゃん。
それと、平行して、ブラック企業で行われる不当理不尽極まりない扱い。
家族の為に我慢していたかんちゃん。日に日に煮詰まっていくかんちゃん。
そんな矢先、仕事でのミスを責められ、罰としてまっ裸になることを強要されるかんちゃん。
「もういやだ、もう無理かも」心の糸が切れかけた時、弓に辛い心情を吐露します。しかし、弓は「頑張れ!」と背中を押すのです。
もう、限界だったかんちゃんの、頑張れなくなっていたかんちゃんの...
弓も若いのでそこまで気づく事は出来るはずもなく、悪気は無いんです、が、
そこからかんちゃんは耐えて会社へ通い続けた結果、笑顔が可愛く、優しく、思い遣りあるかんちゃんが無くなっていく...
笑わない、怒りっぽいかんちゃんばかり増えていく
我慢し続けた結果「弓はバイトをのらりくらりとし気楽に暮らして、家族も俺の辛さを解らずに..」とかんちゃんの許容範囲を超えてました。
ある日、弓との諍いで思わず手が出てしまったかんちゃん、家を飛び出します。
超えてはいけない線と超えてしまったと茫然自失のかんちゃん
「かんちゃん寒いでしょ、お家かえろ」と手を差し伸べる弓
弓も一生懸命考えたんです、そして、かんちゃんの側にいようと思ったんです
この手と取れば、この手に縋れば、きっと俺は堕ちてしまう...でも取るしかなかったかんちゃん。一人で背負うには幼すぎて未熟すぎたのです。
互いに側にいることしか出来なかった、それが傷の舐め合い、惰性に変わっても
本編に繋がる序章として描かれた二人の話に涙しながら、一気に読めず、二度程閉じながら読みました。
おげれつさんの画力と効果的なコマ割りがB5サイズで凄く活きていると思いました。
どうすることも出来ない若さと優しさと弱さが瑞々しいくらいに、ヒリヒリした感情が流れこんできました。
これを読んで初めて「錆びた恋..」のタイトルの意味、「恋愛ルビ..」のかんちゃんの冷めた目が解りました。
再生した二人の愛おしさが倍増しました。
買って良かったと心から思いました。
おげれつさん凄いです。
「錆びた夜でも恋は囁く」の前日譚。
かんちゃんと弓のお話ですが、
この作品を読んでから、続刊を読むことを是非に薦めたいです。
そこには、弓を心から愛し、家族思いのかんちゃんがいて、
スナップ写真の中の様な、表情豊かながカレがいた。
高校を卒業し、弓との同棲を始めた かんちゃん。
一生懸命に働き、妹の夢のため、弓との生活のためと、
文字通り、自分をすり減らし、乗り切る毎日だった。
不条理な会社先輩から止めどなく続く、罵声、軋轢、パワハラ。
妹の学費捻出は必死であり、夢を叶えてあげたいのも本意。
それでもかんちゃんは逃げず留まり続けたけれど、
板挟みの日々は、いつしか、かんちゃんから笑顔が消え、
心の闇が表情も感情も奪って行く。
かんちゃんの闇とは裏腹に、マイペースでゆるく生きる弓。
逃げればいいんだ。とのアドバイスも、
現実と背中合わせのかんちゃんが選択できる訳もない。
黒く煮えたぎった感情は、やがて暴力と言う形で弓に向けられた。
殴られても、迎えにくる弓が差し出す手を、
後悔しながら、震えながら、ダメだとおもいながらも
かんちゃんは、また、握り返してしまうのだった。
使えない携帯を、いつまでも持ち続けていた弓。
捨てられない過去がそこにあるのは、かんちゃんも気付いていた。
弓は本当にかんちゃんのことが好きだったのか?
かんちゃんの優しさに甘え、寄生していたようにも見え、狡い。
真っすぐで、真面目すぎたから、心が破滅した。
かんちゃんが頑張り過ぎた過去は辛すぎる。
続刊で彼氏 秀那に時折見せる
優しさ、柔らかい表情が、本来のかんちゃんであるのだと知るとともに、
続話のタイトルがなぜ「ほどける…」なのか、判りました。
秀那の癒しで、かんちゃんの凍った心を解きほぐし、やさしさで包み、
秀那自身も知りたがってる、本来のかんちゃんに戻れたら。と思います。
かんちゃんは、怪物なんかではありませんでした。
心が痛くなる作品ですが、
「錆びた夜でも恋は囁く」「ほどける怪物」「はだける怪物」を読む中で、
無くてはならない、お話です。
DVについて、おげれつ先生は、良くリサーチや資料を調べた上で描かれたのだと思います。
かんちゃんが、どの様な環境で育ったのか、立ち位置の説明がありました、
かんちゃんは優しくて思いやりがある、母子家庭の長男、
誰にも相談できずに「頑張らねば、守らねば」と孤高の戦いを毎日続けていた。
個性が弱点に転じて、細くて堅いかんちゃんの心。信念が有っても細くて堅いと折れやすい。折れてしまうと、逃げ道が見えなくなってしまう。
自分に内在する抑制することが出来ない狂気を止めるには、自分を破壊するしか無いと、自死=狂気を閉じ込めた箱を壊して、人に迷惑をかける行為に終りを作る人が少なくないと聞きます。
かんちゃんは、DVに陥った人の最悪のパターンではなく、『恋愛ルビの正しいふりかた』→『錆びた夜でも恋は囁く』→『はだける怪物上下』と読むと、かんちゃんが本当はとても思いやりある良い人で、諦めない人というキャラ設定であることから、シリーズの終りに、かんちゃんに良い友人が出来て、底なし沼から抜け出ることが出来そうな展開になっているので、本当に良かった。
地獄の真っ最中だと、読んでもなんの救いにもならないかもしれないけれど(幸福の青い鳥は身近にいることに気づくことが示唆されている)、こんな風に苦しんでいる人がいる事を理解する為に、良い作品だと思います。
いまさらですが
【はだける怪物 上】の特装版小冊子 でついてきたこれ
個人的には【錆びた夜でも恋は囁く】の後に読みたかったかな....と何度も思ったわ
辛すぎて途中読む手が止まるんだけど これを読んでおくのと読まないのとでは かんちゃんと弓の関係や【ほどける怪物】【はだける怪物】を通して壁の写真にあそこまでこだわった理由が何だかぼんやりしたままになっちゃう
確かに暴力を振るってたかんちゃんが悪いんだけど 壊れていくかんちゃんを弓が追い詰めたようなところもある ってのが かんちゃんだけでなく弓にも深い影を落とし 互いのわだかまりに繋がってる
子どもすぎた恋と大好きだから離せなかった手 罪と贖罪
【はだける怪物 下】で弓がくれるアルバムに写真とともにしまわれていく思い出に俄然深みがでる
さすがおげれつさん 痛々しさ最上級だし やるせない 辛いし 辛すぎるんだけど
これは絶対読んでおかなきゃダメなやつ
はだける怪物 (上) 小冊子付特装版の小冊子です。
かんちゃん視点でまだ弓と付き合っていた頃のお話。
ちょうど「錆びた夜でも恋は囁く」の時だと思います。
上司に理不尽な扱いを受けるかんちゃん。
辛すぎて頭を抱えたくなりました。
かんちゃんの勤めていた会社が憎くもなりました。
小冊子とはいえ、結構なページ数がありました。
色んな思いがギュッと詰まってます。
私はこの小冊子を読んだことで本編の「はだける怪物」が更に面白く読めました。
この作品は、18歳未満の方には不適切な表現内容が含まれています。
18歳未満の方のアクセスは固くお断りします。
あなたは18歳以上ですか?