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しっぽを握るのは交尾のお誘い!? 白狐と異郷で奥方修行!
いたるところにププッと笑える要素があります。
白朱番狐衆なる看板を背負っている狐の稲守。
黙っていればかなりの美丈夫、頼れる兄さま。
なのに七緒を前にするとなんということでしょう。
とたんにおかしなテンションになってしまいます。
最初の出会いは決して明るいものではなく、
ふたりの人生に孤独をもたらすものだったけれど
稲守の執念で20年の時を経て結ばれます。
所々、真剣な部分はあるんだけど
最後のSSがパンツと褌の話で
やっぱりコメディ!?と明るい読後感♡
初読み作家さん。文章のリズムがとても好きだった。良いタイミングで読点を抜いてくれるので、呼吸にぴったり合う心地良さがある。和風な詰所内の描写が凝っていて、単語を目で楽しむ要素もあって良かった。
孤独に過ごした都会から逃げるように田舎に引っ越して来た七緒と、白狐の稲守のお話。
しきたりを盾に強引に連れて来られた七緒は、稲守の奥方として過ごす日々が始まる。ここで七緒が強制される役割は、まるで昭和の嫁のようで萌えなかった。
敷地から出ることを禁じられ、見送り・出迎えはもちろん、旦那が脱いだ服を受け取るのは当然みたいな。七緒も反応の全てが女子のようで、なおさら貞淑な妻といった様相。そこに賑やかな仔狐たちの子育てが加わり、母であり妻であって男要素ゼロになってしまった。
ストーリーは稲守の初恋が実は七緒だったという王道系。早い段階で恋愛的盛り上がりが終わり、後半は過去の種明かしがくるのを待っている状態。稲守の一途さが分かりやすく、恋愛面は安心感を持って読めた。
だが各所の詰めが甘く、行動原理が一言書いてあれば良い方に変わるのになあと惜しく思う点が多々ある。ただ「帰りたい」と言われても共感できず、帰りたい理由は必要な一言。些細なことだが作品への信頼度に関わり、先への期待値や没頭度合、読む心持ちも変わってくるところだと思う。
ずっと一途に七緒だけを思い続けていた稲守の好感度は抜群。特に好きだったのが、卵を食べる七緒へのお願いのセリフ。純粋にいいなあとしみじみ思える。七緒に対するときだけ、たまにキャラ崩壊してるところも可愛くて好き。
仔狐たちは無邪気で癒されたし、モフモフも楽しめて良かった。
七緒は女子設定の方が違和感なく読めるキャラ。視点主だが内面描写が薄く魅力を感じなかった。
読後感は良い。
攻めは「白朱番狐衆」の頭目、白地金襴の陣羽織を羽織り、大太刀を持って戦う最強の白狐。本当ならば、百を超える番狐衆を率いているはずなのに、なぜか館にはちびっこたちしかおらず、日々一人で戦っている。
力という面だけではなく、精神的にも強い人。でもその強さが、弱くなる瞬間があるのがとても萌える。そんなキャラ。
対する受けは、異形のモノが見える以外は至って普通の、孤独な青年。でも真面目で真っ当なので、読んでいて苦痛がないです。するっと入っていける感じ。
嫌なキャラクターが一人もいない、けれどストーリーがちゃんと展開していて、二人の過去に繋がっていく。鴇先生の作品を読んだのは初めてでしたが、他の作品も読みたいなと思わせてくれたお話でした。
狐とかお稲荷様モノが大好きなので、王道でオチは予想できてもやっぱり萌えますね。
子供の頃に犬を事故から救って以来不思議な力を持つようになった七緒。彼は、そのことがきっかけで人と関わることを避けるようになる。
田舎の古民家へ引っ越し、妖に襲われそうになっているところを救ってくれたのは、狐面をつけた男だった。
受けの七緒も不憫で健気で初心で、もちろん可愛いのですが、攻めの稲守が年齢のわりに恋愛面ではとても純粋なんですよ。シッポを握られただけで騒いだり、顔を見られたといっては焦ったり。位の高い眷属様なんだから「ちょっと落ち着け」と言いたくなりますw子狐ちゃんたちもいっぱい出てきて愛らしいです。
二人とも長い間孤独に耐えてきたから、これから先はいっぱい家族が増えるといいですね。
稲荷の神域を護る白狐×妖や霊が見える24歳。
受けは幼い頃の事故が元で、髪と瞳の色が変わり、妖が見えるようになった。気持ち悪がられて親や親戚に疎外され、親の死を機に家も追い出されたため、インターネットで見つけた山村の民家に移り住むことになる。
引っ越し当日、妖の大群に襲われた受けは、狐面をかぶり狐耳としっぽを生やした、白狐だという人外の男に助けられる。テンパったままその男の尻尾を掴み、狐面の下の素顔を見てしまった受け。実は尻尾を掴まれることは白狐にとって性的な意味を持つ行為で、素顔を見られることはその人間を嫁にしなくてはならない行為だった…という展開です。
白狐の住む結界内の屋敷にとらわれた受けは、その屋敷に住む眷族のチビ狐(人型和服ケモミミ)たちと仲良くなり、お菓子を作ってやったり手をつないで敷地内を見回ったりするようになります。幼い頃から迫害され続けてきたのに、心根の優しい受けがすごくいい子だと思ったし、チビ狐たちの面倒を見る姿が保母さんかお母さんみたいで、読んでてニコニコしちゃうくらい微笑ましい。
夜だけ帰ってくる攻めとの関係は本番なしで、無理に連れてきたくせにちゃんと受けの気持ちを尊重する攻めに萌えました。生真面目なのに天然ボケ気質な攻めが面白い。いろいろ起こる大小の事件が、すべて受けと攻めの絆を深める要素になっていて、じれじれとした2人の進展を楽しめました。
攻めは人型にも大狐姿にもなれて、途中獣○もあります。
苦手な方はお気をつけください。